「犬と政治家」2020年の選挙をきっかけに研究をスタート
犬と政治、一見関係のなさそうな組み合わせですが、アメリカでは政治家が選挙キャンペーンに愛犬の助けを借りることはかなり一般的です。
オハイオ州のマイアミ大学とインディアナ州のパデュー大学の政治科学の研究者が、政治的マーケティングツールとしての犬の役割について分析研究をスタートさせたと発表がありました。
2020年世界中の注目を集めたアメリカ大統領選の際、バイデン新大統領の愛犬が保護犬出身であることや、先住犬は2008年の副大統領就任時に迎えた犬であるといった情報が数多く報道されました。
またそれらのニュースを受けて、トランプ前大統領時代にはいなかった「ファーストドッグ 」がホワイトハウスに戻ってくることを歓迎する声がツイッターなどSNS上に溢れました。研究者はこれらの動向を見て、この度の研究のアイデアを思いついたのだそうです。
独自のSNSアカウントを持っている政治家の愛犬たち
研究者は、大統領だけでなく数多くの政治家が自身の愛犬についてSNSに画像や動画をアップしていることにも言及しています。そして愛犬が登場したポストでは何万件もの「いいね」が付いています。
バイデン大統領の愛犬には彼らの名前でのSNSのファンアカウントが複数あり、それぞれ11万フォロワー、20万フォロワーを持つ「インフルエンサー」です。
ファーストドッグ だけでなく、この研究を行なっている大学があるオハイオ州とインディアナ州の知事の愛犬も独自のSNSアカウントを持っています。ソーシャルメディアを通じて愛犬と政治家の姿を発信することは、今や侮れない影響力があると言えます。
有権者は政治家の愛犬について気にかけている?
この研究自体は2021年4月に始まったばかりなのですが、具体的にどのようなリサーチを行って行くのでしょうか。すでにいくつかのリサーチが進んでいるのですが、SNSを通じて募集した参加者へのアンケート調査が実施されています。
参加者に対して愛犬についてエピソードや画像をアップしている政治家のうち誰のことを覚えている又は知っているか、そのことが政治家に対する認識にどのように影響するかなどが質問項目に含まれていました。好意的に感じるか、それとも犬を利用することにイライラするか、などです。
またそれらの投稿をどのメディアで見たのかも質問されました。一口にSNSと言っても例えばツイッターとインスタグラムでは利用者の層がかなり違うからです。
政治家と愛犬が一緒に写っている画像が頻繁にアップされる場合、犬の特徴と政治家のイメージが関連付けられるかどうかにも、研究者は注目しています。
今のところ参加者からの回答は順調に集まっているそうです。研究チームはこれらのデータを分析し、近いうちに参加者との対面実験を実施することを計画しているそうです。
それは架空の政治家を作り、犬有りと犬無しの画像を見せて参加者が持つ印象が変わるかどうかといったものです。犬の犬種を何にするかはまだ検討中だそうです。確かに一緒に写っている犬がジャーマンシェパードかトイプードルかでは受け取る印象も変わると予想されます。
研究者は2022年の米国中間選挙の前に研究を終えたいと述べています。外国の選挙の話とは言え、犬が人々の心理に与える影響という点が興味深く、改めて研究結果を紹介できるのを楽しみに待ちたいと思います。
まとめ
アメリカの政治家が選挙の際に愛犬の存在をアピールすることが増えたことから、政治戦略における犬の役割についての研究がスタートしたという話題をご紹介しました。
ソーシャルメディア時代になり政治家と愛犬の関係がより大きく注目されるようになったとは言え、アメリカでは政治家なかでも大統領の愛犬は常に注目されてきました。
上の画像は第32代大統領フランクリン・ルーズベルトと彼の愛犬ファラの銅像です。このような像が建てられていることからも、政治家と犬を結びつけるイメージが強いことが伺えます。
この研究は、犬という動物は政治家だけでなく人間にとって特別な存在であるということを改めて浮き彫りにするかもしれませんね。