ゴミの犠牲になった子と、大小の子犬たち
発見
ギリシャ・クレタ島の保護施設タキス・シェルター。代表のタキスさんがある夜、ゴミ集積場の近くで子犬の声を聞きつけました。
まだ目も開かない子犬たちがひとかたまりになっているのを発見しました。
でも1匹が少し離れて転がっています。よく見れば、子犬の体は細いヒモのようなものでがんじがらめになっていました。
この子、もがいているうちにこうなってしまったのか、でもヒモの状態はまるで誰かが意図的に子犬に巻き付けたようにも見えます。考えるのもおぞましいですが…。
急いでからまったヒモを取り除きます。カッターで切るのに10分もかかったそうです。からだにきつく、きつく食い込んでいました。
まずはこの子だけシェルターに連れてきて手当をします。温かくしてミルクをあげて…。ミルクはしっかり飲んだのですが、でも実は、この子は命をつなぐことができませんでした。やはりすでにヒモに拘束された状態が長すぎたのでしょう。
間に合わなくてごめん、ミルクを飲んで安らかに…。
でもまだ他の子犬たちがいます。気を持ち直して撮影した動画で子犬の数を確認していると、あることに気づきました。
2匹の黒い子犬は、ベージュの子犬たちよりずっと小さいのです。どうして?と疑問がわきました。
答えは現場にある。この子たちは、それぞれ2匹の母犬から産まれたらしいことがわかりました。
まるくなっているのが、小さい2匹の黒ちゃんたちの母犬です!もう1匹の母犬が彼女の子犬たちの中から2匹を奪ったのでしょうか?
移動
「ペトラ」と名付けたこの黒い母犬と、奪われた2匹も入れた彼女の子犬たちをシェルターまで移動させることに。
この親犬はとてもおとなしく、人を受け入れて心配もしていない様子です。子犬たちをキャリーケースに入れると、母犬はみずからその中に入ってきてくれました。
もう1匹の母犬も黒犬でした。子犬たちと共に収容しようとしましたが、こちらの母犬は子犬を守ろうと人間に攻撃的なため、その場に犬小屋を設置し、この親子をそこで見守ることにしました。
小屋の中で子犬たちはくつろいでいる様子です。母犬は「グロリア」と名付けました。
その後
数日後、驚くことが起こりました。人になつかなかったグロリアが、ペトラに会いにシェルターをたずねてきたのです!2匹は友達だったのですね。もしかしたら姉妹かもしれません。お互いの子犬も分けへだてなく一緒に育てていくつもりだったのかもしれません。
そうと分かれば、グロリアの犬小屋もシェルターに運んで2つの家族の小屋を並べて置きました。そして子犬たちはすくすく育ち、ほとんどの子犬たちは里親さんの元に巣立っていったそうです。
でもグロリアはやっぱり、野生を愛する犬でした。ペトラがすっかりシェルター暮らしに落ち着いた後もグロリアは居つかず、タキスさんはその意思を尊重して、半ノラの状態で見守ることにしたそうです。きっと避妊の処置はしたのでしょう。
グロリアはシェルターの外で暮らしていますが、毎日食べ物をもらいに通っているそう。ペトラにも会えます。そういう形も、広い丘陵地帯の環境では可能ですね。2つの犬の家族の動画をご覧ください。
動画を見ることは保護支援にもつながります!
※こちらの記事は動画配信をしているYouTubeチャンネルより許可を得て掲載しております。
掲載YouTubeチャンネル:Takis Shelter