トリマーになるための心得その1「修行は覚悟の上」
トリマーになるには専門学校に最低でも2年は通って犬の骨格構成や犬体学、看護学などを学ぶ必要があります。
さらに、トリマーの基準となる実技も学ばなければなりません。
犬の保定の仕方や、正しい道具の使い方、犬種の基本となるカットスタイルの勉強などもしていきます。
これらをみっちり勉強して、トリミングサロンや動物病院などで就職になるのですが、ここからが本当の修行の始まりです。
いきなりカットをさせてもらえるわけではありません。
初めのうちは犬のお世話から、先輩がすぐにカットに入れるようにブラッシングやシャンプーを済ませるというとこからしなければなりません。
動物病院の場合はそれらの合間に、患者の受付や診察時の先生のアシストをしなければならないのでかなり大変です。
これらの業務を一通りこなし、時間が出来たところでお店の子でのカット練習をやらせてもらえます。
しかし、カットについて先輩が手とり足とり教えてはくれず、仕事中の作業をしながら先輩の技術を盗むしかないのです。
先輩の時間がある時には教えてもらえるチャンスもありますが、カットをお店で教えてもらえるということはあまり期待できません。
とにかく自分自身での修行あるのみですよ。
トリマーになるための心得その2「凹んでも復活する気力を持て!」
トリマーの勉強をしていると、今までの仕事ではありえなかった凹み方をよくします。
それもこれも”対人間”ではなく”対犬”だからです。
トリマーの道具というのは間違った使い方をすれば犬を傷つけてしまうものばかりです。
対人間なら話をして「今動かないでくださいね」と言って伝えることができるのですが、対犬ではそうはいきませんね。
話が通じるわけではないので、犬をけがさせないようにする犬の扱いをマスターしなければならないのです。
また、トリマーの勉強をしていると様々な犬と出会うことになります。
大人しい子もいれば噛み付く子もいますし、怖がりで硬直してしまう子もいたり、テーブルの上でしっかり立ってくれない子もいます。
これらの子達それぞれに扱い方を変えなければならず、この方法を見出すのに試行錯誤して、自分で習得していかなければなりません。
学校では基本的な保定の仕方を習いますがこれは基本に過ぎません。もちろん基本の保定をベースにはしますが、その犬によって変えていかなければならないのです。
はじめの頃というのは犬の扱いが分からず、犬を怒らせてしまったり噛み付かせてしまったり、犬を嫌がらせてしまい作業が進まず、先輩から怒られてしまうこともあります。
自分ではどうしたらいいのか分からず、泣きたくなるぐらい辛いこともあるでしょう。
その際、自分は向いてないのではないか、才能がないのではないかと自己嫌悪に陥ってしまうこともあるかと思います。
しかし、ここで分かってもらいたいのが、先輩がなぜ怒ったのかということです。
前述でもお話しましたが、トリマーの道具は間違えば犬を傷付けることになりひどければ犬の命を奪ってしまうこともあるのです。
それぐらい危険な仕事であり、飼い主さんの大事な犬の命をお預かりしているということを忘れないで欲しいからなのです。
そしてそんな思いをあなたにしてほしくないからなのです。
なかなかうまくいかない日々が続くかもしれませんが、凹んでも必ず復活する気力を持つことが大事な心得なのです。
トリマーになるための心得その3「お金がなくても辛抱せよ!」
一人前のトリマーになるには、ある程度の修行が必要です。
1頭を一人ではじめから仕上げることができて、一日5頭のできるようになれば一人前のトリマーと言えるでしょう。
その一人前のトリマーになるには人それぞれではありますが、専門学校を卒業してから修行して早い人では3年、長くて5年以上はかかります。
ですから辛抱をすることを重々承知しなければなりません。
それに加えて、お給料が低いことで有名な職種です。
正社員で働いたとしても15万円~20万円。
お店によっては指名制度があり、それによりお給料に上乗せされるシステムがありますが、そういうところばかりではありません。
アルバイトでも賃金は安く、800円程のところがほとんどです。
その中で道具の整備や道具の購入のやりくりをしなければならないため、貯金はおろか、自分のために使えるお金はほとんどないのです。
これだけ聞くとげんなりしてしまうかも知れませんが、お金では得られない経験をたくさんできる職業なのです。
いつもお世話になっている先輩方の一人前になるまでの話や、本当の意味での犬の魅力に気づけたり、自分が犬と通じ合える瞬間などが味わえたりします。
また、飼い主さんと犬との深い絆や飼い主さんの思いを知ることができます。
そしてトリマー冥利につきるのが、飼い主さんから「可愛くしてくれて、ありがとう。」と笑顔で言ってもらえることです。
これを言われた瞬間に肩の力がおり、「トリマーを続けていて本当に良かった」と思えるのです。
トリマーという仕事に就き、一人前になるまでには幾度となく苦難を乗り越えなければなりませんが、辛抱することは良いトリマーになるために必要なことなのです。
辛抱するということを心得てトリマーへの第一歩を踏み出してください。
最後に
ここまで随分厳しいことをお話してしまいましたが、これがトリマーになるために必要な3つの心得です。
厳しいかもしれませんがそれを乗り越えることができれば、きっと、あなたは素晴らしいトリマーになれます。
大変な道のりですが、志したからには最後まで自分の納得いくまで追求し、信念を貫き通してください。
そうすれば見えてくるもの必ずがあります。
ぜひ、良いトリマーになってくださいね。
心から応援しています。