犬をわが家に迎える
犬を初めて飼う。これは私たち家族にとっても未知の体験であり、本当に飼っても大丈夫かなぁと言うのが最初の思いでした。また、犬をわが家に迎えることはどういうことなのかと家族でもじっくりと話し合いました。
私を除いて、妻と子どもは犬をわが家に迎えることに賛成でした。だれが面倒を見るのかについても私は強く意見を言ったつもりです。最後は、妻と子どもの粘りに負けた格好になり家で犬を飼おうということになりました。
犬を引き取るまで
犬をわが家で飼い始めるようになったのは、今からもう20年も前のことです。
子どもたちもまだ小学生で、わんぱくの盛りでした。ただ当時、子どもたちは犬がかわいいから飼いたいと思いが強く、犬を飼うのがどんなに大変で困難が伴うと言うことなんかまるで頭にありませんでした。
ペットショップに出向く
犬を飼うことが決まると、どんな犬を、どこで手に入れるかということになりました。犬を譲渡するイベントに参加して手に入れるか。野良犬を見つけるか。いろいろな方法がありましたが結局は、ペットショップに赴いて気に入った犬を飼うということになりました。ペットショップにはいろいろな品種の犬がいましたが、どれも高額です。
そんな時に、ふと見つけたのがゲージの中でちぢこまっていた小さな柴犬です。店主はこれは売り物ではない言いました。「この犬は保護犬です。今朝がた公園近くで保護したものです。もしよろしかったら差し上げます。」子どもたちも大喜びしました。
愛犬との生活
わが家に迎えた犬の名前は「メリー」と名付けました。メリーは茶色の雌の柴犬の雑種でした。しかし愛嬌のあるかわいい犬でした。メリーは食欲も旺盛ですくすくと育っていき、病気にかかったこともほとんどありませんでした。
ただ晩年は、足腰も弱くなり、白内障に罹り目もほとんど見えなくなりました。痴呆症も入り「ワオーン」小さなうなり声をあげるようになりました。
愛犬との別れ
メリーが旅立ってたのは、桜の咲く3月の末でした。朝から急に息遣いが荒くなり、食欲はすでにありませんでした。脱脂綿に水を含ませて与えようとしましたがもう受け付けません。
元気な頃はアイスクリームが大好物だったメリー。そう思いアイスクリームを匙ですくって口許にそっと持っていきました。かすかに舌先に入れ、力なくですが「ペロ、ペロ」と舐めてくれました。メリーにとってこれが最後の食事になりました。
悲しいけど「さようなら」の瞬間がやってきました。妻と私にみとられながら最後の時を迎えました。さいごは私の腕の中にうずくまるように逝きました。年齢は15歳。
子どもたちには、その日のうちに電話でメリーが亡くなったことを告げました。電話からは嗚咽が聞こえました。
犬を飼って良かったこと
犬は人間にとって最高の友達です。利発で従順で心優しい動物です。嬉しいことも悲しいことも苦しいことも共有できる動物です。
まさしくメリーはそんな犬でした。メリー本当にありがとう。そしてさようなら!