愛犬との出会いから家族になるまで
出会い
愛犬と初めて出会ったのは2年前の12月11日です。自宅近くの保護犬カフェで出会いました。6歳になるトイプードルの女の子でした。お客さんのお膝が大好きで、空いているお膝を見つけるとピョンと飛び乗るとても可愛くて元気な子でした。
里親になろうと思ったらカフェに行き保護犬達と触れ合いながら相性をみます。気になる子がいたらその子が持っている病気や懸念事項を確認し、受け入れることが出来れば里親になれます。私は1ヵ月半ほぼ毎日通って現在の愛犬と触れ合い、里親になることを決めました。
その時に見せて頂いたカルテには腹部の複数の腫瘤、歯槽膿漏そして両ひざのパテラが記載されていました。
里親になるまで
そのカフェでは里親希望者に対し、下記のような譲渡条件があります。譲渡条件の説明と契約には約1時間ほど必要ですが、そのカフェには自宅までのお届けが無かったので自分で連れて帰ることが出来ました。
主な譲渡条件
- 犬が飼える住宅に住んでいる。
- 店舗が指定したペット保険会社と契約をする。
- 店舗が指定したフードを購入する。
- 避妊手術を受けさせる。
- 譲渡時に協力金を3万円以上支払う。
- 協力金とは別に寄付をする。
- 毎月会費を支払う。
あと細かい条件はいくつか有りますが、大体こういう事をクリアすればその日のうちに連れて帰ることが出来ます。
健康診断と手術
契約を済ませ引き取ったらまずしなければいけない事は健康診断です。私はさっそく動物病院に連れて行きました。
健康診断
獣医さんに避妊手術、お腹の腫瘤、歯槽膿漏、そしてパレラの治療をお願いしました。そして検査をして頂いたところ先生から予期していなかった驚きの説明を聞くことになったのです。
まず、体重が保護時の4,16キロから3,75キロに減っていたのです。ショックでした。保護されてから400gも減っていたのです。獣医さんは、「4キロ未満では命の危険があるので全身麻酔をかけての手術はできません。歯槽膿漏はかなり酷くて重度です。内臓に影響を与えるレベルです」とおっしゃいました。
「えっ!手術は出来ないのですか?」反射的に出た私の言葉に、「この状態では麻酔から目が覚めない可能性があるのです。要するに手術に耐えらずに死んでしまうということです」と先生が答えました。保護されてからのほんの2~3ヵ月で体重の1割が減った子がどれぐらいの日数で400フラムも体重を増やすことが出来るのか、先生にも分からないとおっしゃいました。
犬の腫瘍の50%は悪性です。腫瘤が悪性の腫瘍だった場合体重が4キロになる前に手遅れになる可能性もありました。「せっかく私の所に来てくれたのに、この子を死なせるわけにはいかない!」右にも左にも行けない状態で、私はセカンドオピニオンを求めて別の動物病院を訪ねました。
手術
次に行った病院の院長先生はすぐに肺のレントゲンを撮り、転移が無いことを確認して、「肺に転移が無いので手術をする価値はあります」と言って手術が可能であると言って下さいました。最短で手術ができる日を予約して、神様に祈る気持ちで帰宅しました。
その後、手術は大成功でした。3カ所にメスが入る大きな手術でしたがなんとか耐えてくれました。この時ほど神様にお礼を言ったことはそれまでの人生でありませんでした。
しかし、栄養状態がとても悪かったので術後の回復はかなり遅い方でした。しかも、傷口が治らず開いた箇所が何か所かあったので、抜糸と同時にホッチキスで止めて頂きました。それからまた2週間、安静の生活が必要でした。手術が成功し、まずは第一ハードルをクリアしましたが、その後も歯槽膿漏の手術を受ける必要があり、半年間に2回も全身麻酔の手術を受けました。しかも歯を4本失いました。
せっかく保護されて命を繋いで私の所に来てくれたのですから、これからは健康で幸せな暮らしをして欲しいと心から願っていました。そのためにはどんな事でもしようと考えていた私ですが、小さな愛犬の複数回の手術は精神的にかなり厳しかったです。
その時の私にできることは獣医さんを信じ、愛犬の生命力を信じることしかありませんでした。決っしてめげないと決め、その後の幸せな生活を願いながら楽しい毎日を心の中で思い描いていたので辛い日々を乗り切ることが出来たのだと思います。
生まれ変わった愛犬
手術が成功して、愛犬は本当の意味で生まれ変わりました。術後の回復はかなり遅かったですが日を追うごとに確実に良くなっているのが分かりました。手術から半年後に7歳のお誕生を迎えました。その日は元気いっぱい、お友達のワンちゃん達とドッグランで遊ぶことができました。
我が家に来て1年4ヵ月。家族やご近所の方に可愛がられて、きっと幸せを感じてくれていると思います。心配で眠れない日もありましたが、今の我が家は愛犬のお陰で笑顔溢れる毎日です。
大きな手術をしたので他の子のように長生きできないかも知れませんが、毎日が豊かで幸せな日々であるように、これからも家族みんなで愛情を注いでいこうと思っています。
まとめ
私は出会うまでの愛犬の6年半を知りません。ただ、酷い状況下で生活していた事だけは確かです。愛犬の健康状態は保護団体から聞いていたのとはだいぶ違い驚いた点はありましたが、病気があり里親を必要としていたので早く引き取って正解だったと思います。
仔犬から育てるのとは違い、保護犬にはどんな過去があるか分かりません。保護犬は長い間辛い生活をしてきた子達が殆どで、身体や精神に病気を持っている子がとても多いです。せっかく生まれて来たのに喜びを知らずにこの世を去るのは悲し過ぎます。今の私は力不足で愛犬しか助けることが出来ません。
もし、お家にワンちゃんを迎えようと考えておられる方がおられたら、保護犬の里親になるということを選択肢の一つに加えて頂きたいと思います。