放浪犬だった雑種の成犬
この成犬は住宅街で時々見かけられていて、首輪やリードは何も付けていなかったそうです。ただ、あまり人が居ないような時に歩き回っていたので、なかなか保護しようにもうまくいかなったそうです。そんな時、外に繋がれている犬の所に時々現れては、その犬のご飯を食べていたそうです。
可哀そうにやはり野良犬だったのでしょう。でも、その犬を攻撃することはなく、ご飯だけを少し食べてまたどこかへ行ってしまうのを、繰り返していました。
そしてある日その場所の近くでやっと保護されて、センターへ収容されました。
成犬を引き取るまで
保護センターへ収容されてからは、ある程度の健康診断を受けますが、フィラリアが擬陽性でした。症状も現れていないほどで、重篤ではありませんでしたが、その日から投薬が始まりました。
食欲もあり、見た目は元気そうな成犬でした。ただ、片方の目が潰れているようで、ウィンクをしているような顔つきです。その目は、怪我とか病気とかで潰れたのではなく、生まれつきの小眼球症で、眼球がとても小さいとの事でした。
片方の目でも生活に支障はなく過ごしていたのです。ただ、その性格はとても人を信用していないような顔つきで、上目遣いで見上げていました。
そして、その後ある家庭に引き取られていきました。しかし、数日でその家から居なくなって数週間後にやっとのことで保護。また同じ保護センターへ戻ってきました。
それからボランティア団体に引き取られ、譲渡会で新しい飼い主を探していました。
そんな経緯を知っていたのでとても気になり、我が家で問題なければ引き取ろうと思い譲渡会へ出向きました。トライアル期間を過ぎて正式譲渡になり、名前は『うみちゃん』になりました。
その成犬との生活
まず、初めての家でも特に怯えたり、唸ったり、吠えたりすることは全くなく、先住犬とも上手に付き合っていました。暫くは散歩で外には行かずに排泄などは庭で済ませていたのですが、10日ほど経った時に外への散歩に連れ出してみました。
庭から出たがらなければ行かないつもりでしたが、スッと外に出たのでそのまま散歩に行ったのです。もちろん、一番の心配は脱走なので最初はリードを3本付けて散歩していたのです。しかし、何となくリードが付いていた方が安心しているように見えました。
その後は先住犬ともじゃれ合ったり、家族が外から帰ってきたら玄関まで出てきたりと、短期間で慣れていったのです。
あれから7年位経って、シニアになり心臓の投薬をしていること以外は元気に毎日過ごしています。
保護犬を引き取る事
保護犬の中でも収容された時から人慣れをしている犬やなかなか心を開かない犬もいます。全国の保護施設やボランティア団体などにはいろいろな性格の犬達がいますが、まだ見学などに行ったことがない方にはぜひ一度、見学に行って欲しいです。
もちろん、譲渡の希望とかではなくどんな犬や猫たちが収容されているのかを見るだけでもいいと思います。
そして直ぐに飼育できる状況でなくても、いつか犬や猫を飼ってみたいと思った時に、保護犬を一つの選択肢として考えてみることができると思います。自分の家庭の条件に合った犬がいるかもしれませんね。