保護犬との出会いは突然でした。
2019年、ワイマラナーのミッキーを引き取った我が家。
去年の初夏、犬好き同士で仲良くなった知人からある話を聞きました。知人の幼馴染み(以下、ママさん)がホスピスに入り、その方の愛犬であるワイマラナー2頭の里親を探しているというのです。ママさんが入院してから、そのワイマラナーたちは訓練所に預けられているとのことでした。
既に15歳で要介護のラブラドールと、3歳で元気盛りのキャバリアを飼っていた私は、引き取ることはできないけれど里親探しを手伝おうとポスターを作ってかかりつけの動物病院に貼ってもらったり、SNSを使って情報拡散をし始めました。
持病と年齢が里親探しの大きな壁に。
ミッキーの里親を探し始めた私ですが、とても難航しました。
- 大型犬(体重40kg超え)で13歳というハイシニアであること
- 会陰ヘルニア(お尻に袋状の大きな出来物があり、その中に膀胱と直腸が入ってしまっている状態)があり排便に介助が必要なこと
- 更には脇腹に拳3つほどの大きなしこりがあって、全身に転移した末期がんであるということ
このことから、中々飼いたいと言ってくれる人は見つかりませんでした。ひとりだけ、手を挙げてくださった方はいらっしゃいましたが、病気のことを詳しく説明すると音信不通になってしまったのです。
ママさんの訃報、預かりの期限が迫る
四苦八苦だった里親探しですが、7月の終わりにママさんの訃報が届きます。預かり先の訓練所も、飼い主を亡くした犬をこれ以上預かることはできないと言ってきました。
同居犬だったアンジーは引き取り先が決まりましたが、ミッキーを引き取れる人は現れませんでした。筆者は母、兄と同居しているのですが、ふたりが「ミッキー、もう引き取ろうよ」と言ってくれたので、腹を括り引き取りを決意しました。
2019年8月12日、ミッキーを引き取りに、預り先の訓練所に向かいました。
幸せだった保護犬
保護犬、と聞くと「虐待を受けていた犬」と想像する方も多いのではないでしょうか。
でもミッキーは違いました。ママさんはミッキーをとても可愛がり、たくさんの愛を注いで育ててくれたのです。そしてワイマラナーはとても忠誠心の高い犬種。
そのため、我が家に慣れるまで長い時間がかかりました。ミッキーにとって、飼い主はママさんだけ。
新しい環境に置かれ、ストレスが溜まったのでしょう。先住犬と噛み合いの喧嘩も何度もしました。喧嘩で怪我をした犬たちを病院に連れて行くたび、「間違った選択をしてしまったのだろうか」と涙を堪える日々でした。
そんな日々にも光が。現在のミッキー
喧嘩ばかりの日々でしたが、あることをきっかけに転機が訪れます。ミッキーが持病で体調不良になった直後から、先住犬のレト(キャバリア)がミッキーと一緒に寝るようになったのです。新しい環境で弱ったミッキーを気遣うように、ミッキーの顔色を伺いつつも、ミッキーの身体をペロペロと毛繕いまでする様になりました。
そこからは一気に仲良くなったレトとミッキー。今では一緒じゃないとお散歩も行かないくらい、べったりな関係になりました。人間が心配せずとも、犬たちはお互いに信頼関係を築いていました。
そしてそのあたりから、ミッキーの人間に対する態度にも変化が訪れます。とても素直に甘えてきてくれるようになり、お腹を出してへそ天までみせてくれるようになりました。
保護犬を引き取るということは、簡単ではありません。
ミッキーのように大型犬を引き取る場合は特に、経済面の負担が大きいのも事実です。フィラリアの予防薬や病気の際の処方薬も、小型犬の10倍近くの値段がかかり、フードの消費量も半端ではありません。
しかし、保護犬を迎えることで得られる幸せと愛は、そんな問題ちっぽけだと思えるほど大きなものです。私も家族も、胸を張って「ミッキーを引き取ってよかった!」と言えるほど、ミッキーとの生活は幸せで満ち溢れています。
嬉しいことに、治療もできないと言われていた末期がんも、寛解状態になるという奇跡も起きました。これからもミッキー、レト(キャバリア)、そしてゴジラ爺(ラブラドール)との幸せな時間を過ごしたいと思います。
この記事を読んでくださった方々が「いつか保護犬を引き取ろう」と思ってくださったら、ミッキーも私も嬉しいです。