迷路のように仕切られた糞尿まみれのごみ屋敷
レスキューは身体的・心理的負担との闘い
米国テネシー州で、多頭飼育が崩壊しネグレクトの状態におちいった60頭以上の犬と、その他の動物が発見されました。警察が介入する事案で、令状により家宅捜索が行われ、動物愛護団体The Humane Society of the United States (HSUS) が状況の記録や動物たちの保護のために協力しました。
荒れ果てた部屋の隅の冷蔵庫を開けると、そこには犬の遺体が詰め込まれていました。想像を絶する現場の場数を踏んでいるHSUS職員でさえ、思わず泣き崩れます。
家の中にも外にも、最悪な衛生状態でケージの中に放置された犬たちがあふれていました。即席の医療検査では、尿による皮膚の炎症(尿やけ)、栄養失調、脱水、貧血といった症状が確認されました。また足や体毛には乾燥した便がこびりついていたのです。
HSUS職員:「ここはまさに恐怖の館ですよ。」
家の中は板で細かく仕切られ、まるで迷路のよう。ひとつドアを開けるとその先に必ず、ボロボロの犬が現れるのです。
バスルームの床は一面に糞尿まみれ。床に置いたケージの中の猫もやはり、糞尿まみれです。
HSUS職員:「呼吸をするのもの困難です。」
ここに強力な防塵マスクなしで入ったのは大きな間違いでしたね。家じゅうまるごと、感染源のようなものです。ちなみに(念のため、)コロナ禍のずっと前です。
HSUS職員:「この子たちをここから解放してあげられることはとてもうれしいです。でも(この状況を直視し対応することは)私たちとって精神的にこたえます。」
そう言ってこの方、半泣きです。心を強く持たなければできない仕事です。
カメラを見つめるこの子は、口元をずっとプクプクさせています。おそらく肺炎じゃないでしょうか。
この子はケージから出され腕に抱かれて、ずっとシッポを振っています。
今後の犬のケアのためと、証拠とするため、確実に全ての動物たちの記録を残します。
保安官:「今回、摘発できてよかったですが、もっと早くにできればよかったとも思います。」
一軒家の家の中でひそかに行われていることは、なかなか発覚しにくいものです。それに、発覚しても、法律が甘くて手を出せない、裁けないというケースもありそうです。
現場で簡易検診。やせ細ったこの子の命をつなぎとめることができそうです。
その後
最初に泣き崩れていた職員は言います。「この現場のことは長く私たちの記憶に残るでしょう。」
それでも、人知れず苦しんでいる動物たちがいる限り、HSUSのような動物愛護団体は強靭な精神力を保って前進します。
動画を見ることは保護活動支援につながります。
※こちらの記事は動画の制作・配信をしている団体より許可を得て掲載しております。
動画制作者:Humane Society of the United States
掲載YouTubeチャンネル:The Humane Society of the United States