不幸な犬を増やさないために…
約32,500と約5,600。これは、令和元(2019)年度に全国の自治体に引き取られた犬の数と殺処分された犬の数です。約32,500頭の犬が保健所や動物愛護センターに引き取られ、約5,600頭の犬が殺処分となっているのです。そして引き取られた犬の約10%が、飼い主によって持ち込まれています。
「癒されるから」「楽しいから」「かわいいから」といった理由で犬を飼いたいと思う人は多いでしょう。確かに、犬はかわいいです。犬との暮らしは癒されるし、楽しいです。でもこうしたプラスの面にばかり目を向けてしまうと、飼い始めてから「こんなはずじゃなかった」と後悔するかもしれません。
不幸な犬を増やさないためにも、これから犬を飼いたいと思っている人は、犬を飼うことのマイナスの面も知っておくべきです。そこで今回は、犬を飼ってはいけない理由をご紹介したいと思います。
犬を飼ってはいけない理由
1.費用がかかる
犬を飼うと、さまざまな費用が必要です。ペットショップやブリーダーから犬を入手するのであれば、まずその購入費がかかります。
それ以外にも初期費用として
- 登録手数料
- 狂犬病予防注射
- 混合ワクチン
- 健康診断
- ハウス、トイレ、食器、首輪、おもちゃなどのグッズの購入
毎月かかる費用として
- 食費
- おやつ
- ペットシーツなどの消耗品
- シャンプーやトリミング(ペットサロンを利用する場合)
毎年かかる費用として
- 狂犬病予防注射
- 混合ワクチン
- フィラリア予防薬
- ノミ、ダニ予防薬
- 健康診断
その他の費用として
- ペット保険
- しつけ教室
- 病気やケガの治療費
- 避妊、去勢手術
- 家具などの修繕費や買い替え
など、想像以上に費用がかかります。
寿命が15年だとして、小型犬でも生涯で約500万円以上の費用がかかるとも言われています。年間で計算すると約34万円です。犬にこれだけの費用をかけられますか?
2.しつけが大変
犬は賢いです。でも飼ったその日からトイレに排泄できたり、飼い主の指示に従えたりするわけではありませんし、むやみに吠えたり、人を噛んだりしてはいけないことを言葉で伝えて理解してくれるわけでもありません。飼い主がきちんとしつけをしてこそ、犬は人間社会の中で周りに迷惑をかけることなく暮らしていくことができます。
犬のしつけは大変です。いくら賢いとはいえ、教えたことを1回では覚えてくれません。同じことを何度も繰り返し教えなくてはならず、それはかなり根気のいる作業となります。教えたことをなかなか覚えてくれないからといって、叩いたりしてはいけません。しつけを投げ出してもいけません。犬のしつけは、飼い主の義務なのです。
3.自由が制限される
犬を飼うと、飼い主の自由が制限されます。まず出かけているときは、犬の散歩や食事の時間を気にしながら過ごすことになるでしょう。友達と盛り上がっていても「犬が待っているから…」と帰らなくてはいけないかもしれません。
これまで広い選択肢の中から選べた旅行は、犬同伴で泊まれる宿泊施設の中から選ぶことになります。観光も犬が一緒だと行けない場所は多く、行きたいところへ行けない可能性があります。
ペットホテルに犬を預けるという手もありますが、それには費用がかかります。また飼い主がいないことや、慣れない環境にストレスを感じてしまう犬は少なくありません。
物件を探すときも犬を飼っていたら、ペット可という条件が外せなくなります。どんなに気に入った物件があっても、それがペット不可だったら諦めざるを得ません。
4.世話に体力や時間を奪われる
犬を飼ったら、食事や水を適切に与えることはもちろん、散歩や排泄物の後始末、歯磨きやブラッシングなどのお手入れといった世話を毎日しなくてはいけません。
犬を飼う前は「それくらいどうってことない」と思うかもしれませんが、実際に毎日これらの世話をこなすのは大変です。家族で分担できればいいのですが、ひとりで全ての世話をするとなれば体力は消耗し、時間もかかります。
大型犬の場合、散歩は1日2回各1時間程度ずつ必要なので、それだけでも毎日2時間は犬のために費やすことになります。
もし犬の体調が悪くなったり、ケガをしたりしたときは、仕事を休んだり予定をキャンセルしたりして、動物病院へ連れて行く必要があります。こうした世話は、犬の生涯にわたり続きます。犬の世話に体力や時間を奪われても、飼ったことを後悔しないでいられるでしょうか?
5.介護が待っているかもしれない
犬の平均寿命は14歳程度と言われています。犬は人よりも成長スピードが早く、7歳前後でシニアの仲間入りとなります。犬は昔よりも長生きになりましたが、その分シニア期が長くなっています。
犬もシニアになると、さまざまな老化の症状が表れ、認知症になることもあります。介護が必要になるケースも珍しくありません。年を取っていなくても、ケガや病気で介護が必要になることもあります。
犬の飼い主になったら、たとえ介護が必要になっても、最期まで面倒を見る責任があります。「介護が大変だから手放す」は通用しません。
まとめ
今回は、犬を飼ってはいけない理由を5つご紹介しました。犬を飼ってはいけない理由を知って、犬を飼うことに不安を感じるのなら、今は飼うべきではありません。犬を飼ったことを後悔し、不幸な犬を増やしてしまう可能性があります。
犬を飼うということは、ひとつの命を預かるということです。そして預かった命には、最期まで責任を持たなくてはいけません。それなのに「世話ができなくなった」「引越しで飼えなくなった」「言うこと聞かない」といった理由で、保健所や動物愛護センターに犬を持ち込む飼い主がいます(動物愛護法の改正により、安易な持ち込みに対して引き取りを拒否できることになっています)。
犬を飼うことのマイナス面も受け入れる覚悟と、最期まで責任を持って面倒を見る覚悟がないのなら、犬を飼うのはやめましょう。
ユーザーのコメント
50代以上 女性 ここらぶ
20代 男性 匿名
死ぬ犬は減って入るが0にはならない。もし全員が責任を持って飼う人ならば死ぬ犬は居なくなるのに。実際飼ってる俺も愛犬を幸せにできてるか解らない。でも捨てられるより遥かにマジだろ。頼れるバディがいるんだし。俺は幸せにしてやりたいし。犬は幸せを求めて貴方のもとにきたのです。奇跡的な確率で。ならば不幸な犬生にしないでください。幸福な日々を願ってます。