店長の指示も疑問
過剰反応とネグレクト
米国では、ペットショップに関する法令が市や州単位で異なります。ペットショップで生体販売(生きている犬や猫その他の動物の販売)を許可する州はまだ多いようですが、徐々に犬、猫を主とした生体販売禁止の機運が高まってきているようです。
禁止法案の内容は一律でなく、ペットショップでの犬、猫の販売は全面禁止や、保護犬、保護猫のみ販売許可(子犬工場や子猫工場からの仕入れは不可)などの形態があるようです。
そんな中、動物愛護団体The Humane Society of the United Statesは、ニューヨーク市のあるペットショップで潜入調査を行いました。ショップで2ヵ月間働き、その実態を暴いたのです。それによると、発熱や感染症を発症した犬が放置されたり、店員による虐待も観察されました。
下のスクリーンショットで囲いの中にいる2匹の小型犬。何かに注目しながら後足で立ち上がり少し吠えましたが、すぐに静かになって座りました。すると奥に立っている従業員が、手に持ったタオルで2匹を打ち据えたのです。棚などを清掃するため、スプレー洗剤をしみこませたタオルのようです。犬たちは何が何だかわからず、たじろいでいます。
ポメラニアンの子犬は、目の感染症でしょうか。両目ともつぶれています。治療を受けさせることなく放置だそう。
ガラスの小さなショーケースに入れられた子犬たち。手前の子はひっくり返されてたたかれ悲鳴を上げています。奥の子は、壁にぶつかるように放り投げられました。意味もない虐待に見えます。
手前の子は、毎秒のようにくしゃみが止まりません。これでは体力を消耗して死んでしまいます。それも放置。感染症であれば、周りの犬たちにも広がりかねません。
他にも、おなかのケガが化膿しているような子、黄色い鼻水を垂らした子、足を引きずる子なども。ショップの床には血便も落ちています。どうみても異常です。
覆面調査員の指摘に、店長は…
体温が40℃を超える子も「微熱ね」。犬の平熱はせいぜい39℃です。覆面調査員がそう訴えると、店長はぶっきらぼうに「じゃあ、アスピリンを飲ませて、冷水につけといて」
体調不良を示す記録は購買者に見せてはいけないという指示が出されるそうです。
販売用の子犬のデリバリー
悪い評判の立つ子犬工場から、どんどん子犬が運び込まれます。おそらく格安で、その中で状態のいい子が何匹かいればいい、ということなのかもしれません。子犬も子猫も、ドル($)にしか見えないのでしょう。
扱いも見るからに乱暴です。
最後に
ニューヨーク市にあるこのペットショップがどうなったのかはわかりません。しかし、この動画があがったのは2017年の夏。その後、2020年の夏には、ニューヨーク州議会の上院で、犬や猫のペットショップでの生体販売禁止法案が可決したとのこと。施行される日も近いかもしれません。
日本の状況はどうでしょうか。日本でも乱立するペットショップでの生体販売禁止ムーブメントが盛り上がるでしょうか。
市民がペットショップやインターネット上で子犬を買わないという意思を見せることで、このビジネスを排除し、私たちが愛する犬たちの受難を確実に減らすことができるのです。犬を飼う決心をしたら、里親さんを待っている犬たち、そして殺処分される犬たちはいくらでもいるのですから。
動画を見ることは保護活動支援につながります。
※こちらの記事は動画の制作・配信をしている団体より許可を得て掲載しております。
動画制作者:Humane Society of the United States
掲載YouTubeチャンネル:The Humane Society of the United States