アラスカの犬ぞりレースの闇…過酷な飼育環境から救出されたマギーのお話

アラスカの犬ぞりレースの闇…過酷な飼育環境から救出されたマギーのお話

犬ぞりレースは観光資源としても活用される楽しい行事です。でもよく見ると、中には犬の虐待事案もあるようで…。米国アラスカ州でそのような犬の1匹が保護されました。

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多くの犬が一斉に円を描いて回っている不気味な映像

保護

鎖を一杯に引っ張って、後足で立ち上がって喜んでいるのは、「マギー」です。

毎年の犬ぞりレースに参加しているあるチームが所有する多くの犬の1頭です。ここは、犬ぞりレースのために犬の繁殖が行われる犬舎なのです。

動物愛護団体PETAの職員の訪問に、マギーは本当に嬉しそう。

後ろには、20頭、30頭、もしかしたらそれ以上もの犬たちが、マギーと同じように短い鎖で棒につながれ、吠えています。

マイナス28℃(!!)の極寒の中、大きな開口部のある小さな木製の小屋とエサのボウルだけ与えられて、お互いに接触しない距離で等間隔に配置され、それぞれがつながれた棒を中心に円を描いてくるくると回っているのです。

動画でみると、何とも不穏な雰囲気です。

極寒の地の犬というと、シベリアン・ハスキーやアラスカン・マラミュートといった毛深くがっしりした犬を思い浮かべますか?

マギーも他の犬も、体毛はそれほど厚くなく、ほっそりしています。これでマイナス30℃近い環境では、犬といえどもどこまで耐えられるのでしょうか。

水は凍ってしまうのでもちろんありません。雪を食べるのです。

さらに、PETAによると、エサは腐りかけやカビっぽい肉を入れた「シチュー」と呼ばれるものだとか。

マギーも一生懸命吠えていますが、声がでません。ヒン、ヒンと空気の洩れる音がします。

鎖につながれた首輪が喉に食い込んで、声帯がつぶれてしまったのではないかと、PETAは考えます。

犬舎の運営者たちは、マギーをレース向きでないと判断して、人を介してPETAに譲り渡すことに同意しました。

マギーだけが、この場所を離れることになりました。

他の犬たちが盛んに吠えています。「不審者!不審者!」と言っているのか、「私も連れてって!}と叫んでいるのか…。

アナタにはどう、聞こえますか?

長い旅

よかったら、北米の地図を見てください。アラスカ州と米国の他の州との間には、広大な国、カナダがどーんと横たわっています。

マギーはアラスカからカナダを通過してどんどん南下する長い旅に出ました。

旅の途中の宿泊施設で、マギーは生まれて初めての色んなことを体験します。

ブーブー音がでるおもちゃ。ブラッシング。お風呂。おやつ。きっと、室内で過ごすのも初めてでしょう。

マギーはそれらひとつひとつを、試し、堪能しているようです。

そして4,300kmの車の旅の末、やっとPETAの施設にたどり着きました。ここでマギーはしばらく過ごします。

その後

PETAの施設で過ごしていたマギーに、里親さんが名乗りを上げてくれました。

車に乗るのもへっちゃら、フレンドリーな性格、おもちゃ遊びが大好きで散歩も上手。理想的な家庭犬として、マギーは老夫婦に引き取られました。

マギー、長い旅の最後に、これからここが温かいあなたのうちですよ。

最後に

犬ぞりレースには賛否があり、参加者にはきっと、犬を大事に扱う団体もいれば、ぞんざいに扱う団体もあるのでしょう。それを主催者は賢明に判断し、適切に管理しなければならず、レースを楽しむ側も目を光らせることが必要です。

これはきっと、犬のブリーダーの質の問題と似ているのかもしれませんね。見極めが重要。犬を不適切に扱う業者や個人は糾弾され、淘汰されるべきでしょう。

私たちが愛する犬たちのために。

マギーの長旅と、極寒の地で鎖につながれた犬たちの様子を、動画でご覧ください。

※こちらの記事は動画配信をしているYouTubeチャンネルより許可を得て掲載しております。
 掲載YouTubeチャンネル:PETA (People for the Ethical Treatment of Animals) 

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