住まいと犬の調査について
不動産・住宅情報事業で知られる『HOME'S』が「住まいと犬の調査」を発表したことをご存知ですか?
犬を飼う方にお住まい環境と飼い犬についてたずね、その相互関係を調べたものです。
インターネット調査で、有効回答数は420(複数回答あり)。
この調査によって、人と犬と住まいの最新事情が明らかとなりました。
持ち家一戸建てに小型犬
調査をみると、犬を飼っているのは圧倒的に持ち家一戸建てにお住まいの方が多く、また、その半数以上がチワワやプードルといった小型犬を飼われていました。
なお、中型犬・大型犬も、同じく持ち家一戸建てで多く飼われています。
いずれの住宅環境でも小型犬を飼われている方が多く、中型犬・大型犬に差をつけています。
次に多いのが持ち家アパート・マンションに小型犬という組み合わせ。
アパート・マンションは共同住宅ですから、持ち家の方よりは周囲に気を遣わなくてはいけないかもしれませんが、その分しつけをきちんとされた犬たちの様子が浮かんできますね。
犬を飼う経緯
入手経路は多くが『ペットショップ』からでした。次いで『ブリーダー』、『友人・知人』とつづきます。一方で『愛護団体』や『里親』からという経路は少なく、今後の課題となりそうです。
犬のお気に入りの場所
調査では、犬の家でのお気に入りの場所もリサーチしています。
一位は『リビング』で半数以上。次いで二位は『人間の近く』で、さらに『ソファーの上』、『寝室』と続いています。
どれも人間のくつろぐ場所が、犬たちにとってもお気に入りの場所ようです。
反対に水周りや押し入れなど、人から離れた場所は犬には不人気。
犬小屋も人から隔離されてしまうせいか、いまいち不人気でした。
なんだか、犬小屋の意味を考えてしまいますね‥‥。
お気に入りの場所からみえてくる主従関係
この調査で面白いのは、お気に入りの場所からみる飼い主と犬の主従関係の考察があるところです。
調査では、『愛犬はじぶんと飼い主とではどちらが偉いと思っているか?』をたずねる項目があり、それによると、半数以上が『飼い主のほうが偉い』としつつも、『同じくらい』が約1/4、『犬のほうが偉い』と答えた方も1割程度いました。
この結果を『犬のお気に入りの場所』と照らし合わせると、犬のほうが偉いと答えた方の犬たちは、そうでない方たちの犬に比べ、寝室や人間用のベッド、布団をお気に入りにしていることがわかりました。
実際に犬に布団を奪われたことのある方ならおわかりかと思いますが、犬はそこのけそこのけとばかりにスペースをたっぷりとって寝に来るため、人間は大変きゅうくつな思いをするものです。
飼い主である人間を押しのけて寝るということは、じぶんのほうが偉いと思っている可能性が高いということでしょうか。
皆さんのお宅のワンちゃんは、人間のお布団で寝ていませんか‥‥?
おすわり、お手が上位
さて、犬のしつけをみる項目では、『おすわりが出来る』が一位でした。おすわりが出来ると、ある程度のしつけが出来ているように見えますよね。
次いでほぼ同率で『お手が出来る』、『トイレ(小)を決められた場所に出来る』、『トイレ(大)を決められた場所に出来る』と続きます。
定番の『待て』がこれらより下位に来るのは意外ですが、これは飼い主さんと犬の上下関係への意識が以前より希薄になってきていることのあらわれでしょうか。
さまざまな癖や技
調査ではさらに、個々の犬たちの変わった癖や出来る技なども調べています。
回答は犬の変わった寝相についてが多数で、それを見つめる飼い主さんたちのまなざしが浮かんできます。
中には、幽霊が見えるらしい、などちょっとこわい声も。
散歩の回数
毎日、犬は散歩をするもの‥‥。
そんなイメージが、現在はすこし変わって来ているようです。
調査によると、散歩は『1日2回以上』という方と、『1日1回』行なっているという方がそれぞれ3割で全体の6割を占めていました。
半数以上の方は、従来のイメージどおり毎日散歩を行っているようです。
注目すべきは残りの4割。これは『週2~3回』など、毎日散歩をしていないという方たちです。
中には、散歩はしていないという方も1割以上いました。ここから見えるのは、現代の飼い主さんたちの多忙さ、高齢化、そして犬の高齢化ではないでしょうか。
しつけや住環境は犬の性格に影響するか
しつけや住環境が犬の性格に影響を与えるかどうか、飼い主さんたちはどのように考えているのでしょう。
回答は単一回答で、結果は『非常に影響する』、『少し影響する』がそれぞれ4割で全体の8割を占めました。多くの飼い主さんが、人間側が提供する物事によって犬に影響を与えているとおもっているようです。
現代の飼い主と犬
『住まいと犬の調査』から、見えてくることが、3つあります。
1、外から気付かれにくい
ひとつは、飼い犬の半数は小型犬であり、多くは持ち家一戸建ての室内にて飼われているため、外から気付かれにくいということです。
かつて犬は、外にある犬小屋にて飼われていることがほとんどでした。
わたしも小学生のとき、犬小屋のあるお宅の前は通るのがこわかった記憶があります。
しかし、小型犬の人気によって、中型犬や大型犬も人間と共に室内で飼うことが主流となってきました。
あそこの家で犬を飼っている、などといった情報が外から見えづらくなってきている今、飼い主さん以外とほぼ接触しないまま生涯を終える犬も少なくないのかもしれません。
2、犬の地位の格上げ
ふたつめは、犬の地位の格上げです。
かつて犬は、家族の中で一番下の位置づけがふつうでした。
外で飼われ、粗末な食べものを与えられ、鎖でつながれたあげく、家にあがれば主人に怒られてきました。人間の中で、犬の地位というものはずいぶん低いところにあったと思います。
しかし、現代は一家族あたりの人員が減ったせいか、犬は子どもやパートナー同然という認識になってきています。
核家族、一人暮らし世帯が増えれば増えるほど、『犬のほうが偉い』『同じくらい偉い』という認識の飼い主さんは、これからますます増えることでしょう。
3、犬の高齢化
最後に、散歩からみえる犬の高齢化です。
散歩をしないという回答のなかには、犬が老犬のため、といった理由があるのではないでしょうか。
わたしの飼っていた犬も、最後の数年は散歩に行っていませんでした。寝てばかりで、無理に散歩に出してもすぐに引き返してしまっていたからです。
犬が高齢化すれば、それに合わせて当然散歩の回数や時間は減ります。しかし、それでは犬もただ老いていくばかり。
散歩に代わる、犬の好奇心を満たせるものが必要な時代になってくるのではないでしょうか。
まとめ
皆さんのお住まいは、どんなところですか?
人間はある程度の条件が揃えば、じぶんで住むところを選べます。
しかし、犬は生まれてから死ぬまで、人間の選ぶところに住むよりほかありません。
今回の調査では、犬を飼う方は持ち家一戸建てにお住まいが多いとわかりましたが、賃貸アパートでも、持ち家一戸建てでも、大好きな飼い主さんと共にいられるなら、犬はどこでも構わないのではないでしょうか。
狭いよりは広いほうがいいだとか、金銭的な余裕があるほうがいいだとかは、人間の価値観です。
たしかに、まったく金銭的余裕がないまま犬を飼うことはあまりおすすめできませんが、それより大切なことは、犬とたくさん楽しい時間を過ごすことです。
犬にとっては、広い家に一匹で置いておかれるより、飼い主さんと過ごす時間がほしいはず。
今ある住まいのなかで、めいいっぱい犬と素敵な時間を過ごしていきましょう。