保護犬と受刑者を救うプログラム
米国ミズーリ州で実施される刑務所内の更生プログラムのひとつに、犬のトレーナー養成プログラムがあります。受刑者が犬のトレーニングに従事することで、規律や忍耐、コミュニケーションを体感するだけでなく、出所後の職業にもなり得るプログラムです。
保護団体Stray Rescue of St. Louis(セントルイス動物保護団体)は、同プログラムで州内のひとつの刑務所に協力しています。
体験者の声
動画では、このトレーニングプログラムを終了し、出所した男性が体験を語ります。男性は保護団体のTシャツを着て、子犬を抱いています。
「刑務所から出所しても、生活を立て直すことは難しいです。セントルイス動物保護団体がチャンスを与えてくれて感謝しています。」
「若い頃に悪事を働いてぶち込まれました。刑務所の中でもギャングとの色々な関係は切れません。そこから足を洗うのはかなり努力が必要です。」
「この更生プログラムが始まった時に面談して、参加できることになりました。」
彼は子供の頃から、また刑務所に入る前にも、犬を飼っていたそうです。人の社会では悪事に手を染めましたが、犬との親和性はあったのでしょうね。
「孤独な刑務所暮らしで、犬と交流できることは救いでした。」
男性が初めて担当したのは、「ジェリーフィッシュ」というメスのピットブルでした。
本気で更生したいと考える受刑者に、何の偏見もなく、「受刑者」という認識さえ持たずに接してくれるジェリーフィッシュは、彼にとって本当に大切に思える存在だったでしょう。
犬のトレーニングというより、人の方がドッグセラピーと更生トレーニングをしてもらっているわけですね。
「それまでは犬のトレーニングの経験はほとんどありませんでした。でもジェリーフィッシュはとてもいい子で、今では水難救助犬です。こんな素晴らしいことはありません。」
記念撮影。前列がトレーニング中の受刑者、後列がセントルイス動物保護団体初めとする関係者ですね。みんな、いい顔しています。
この写真は事務所のようなところで、皆さん私服で撮った写真ですが、動画で次に映し出される記念写真は、いかにも「ムショ内」といった雰囲気ですよ。
この男性は、トレーニングプログラムを受講する受刑者グループのリーダーになったそうです。
「私の人生の中でも最も良い経験でした。」
愛情、規律、助け合い、目標、達成感…そういったことが全て、彼にとって新しい経験だったのかもしれません。
「セントルイス動物保護団体から派遣されるドッグトレーナーから犬のトレーニング方法を教わりました。彼らは偏見なく私たちに接してくれ、感謝しています。」
受刑者たちが手にしているのはきっと、トレーニング終了証でしょうね。
「『フーナ』という名前の若い大きな犬は、セラピードッグになるべくトレーニングしました。この子は今、セントルイス大学のカウンセリングセンターに所属する職員として活躍しています。私にとって、フーナは一番大きな成果ですね。」
最後に
男性はその後出所し、その足でセントルイス動物保護団体を訪れたそうです。すると、なんとそこでドッグトレーナーとして採用され、翌日から働き始めたそうです!
彼だけでなく、同じく元受刑者でセントルイス動物保護団体の職員として働いて家庭を持った同僚もいるそうです。
「人生を無駄にしない決意で頑張ります。」
更生の意志がある受刑者が立ち直るきっかけとなるこのようなプログラムは、とても意義がありますね。同団体では、保護活動への支援とともに、この更生プログラムへの支援も募集しているそうですよ。
※こちらの記事は動画配信をしている団体より許可を得て掲載しております。
掲載YouTubeチャンネル:Stray Rescue of St. Louis