犬を取り巻く過酷な環境
安楽死直前の出会い
この子は、リーシュマニア症という皮膚あるいは内臓の感染症を発症したからという理由で、飼い主に安楽死に持ち込まれました。まだ生後9ヵ月の若い犬です。耳はちぎれ、やせ細っています。
リーシュマニア症は治療をすれば治る病気です。たぶん飼い主は、手がかからない間は手もとに置き、手がかかるようならいらない、という態度なのでしょう。
ここはギリシャのクレタ島。もちろんきちんとした人もいますが、「犬は使い捨て」と考える人も多い土地柄のようです。この飼い主は、その中ではある種の良心があるとも言えるのかも。想像したくもないですが、「使えない」犬は撲殺したり、半殺しにして捨てるという行為もありますからね…。決してギリシャだけではないですけれど。
そんな土地で、タキス・シェルターは犬や猫などの保護活動にいそしんでいます。病院でこの子に出会った時、シェルター代表のタキスさんは飼い主と直接話し、この子をシェルターに連れて帰ることにしました。
保護
これまでの仕打ちのためにこの子の心はすっかり閉じていて、水も食べ物も受け付けず、触られるのも恐れています。一種のうつ状態にあるようです。
シェルターに連れてきて「ミラ」と名付けましたが、ミラは部屋の隅に縮こまって、人が来ると顔を隠します。きっと「人の手」は「暴力」を意味していたのでしょう。悲しいですね。
散歩に連れ出そうとしても、隠れて動きません。ミラの尻尾はずっと足の間に巻き込まれています。
変化のきざし
やさしく呼びかけ、やさしく触れて、ミラが安心できるのを辛抱強く待ちます。ミラの表情がちょっと変化してきたようですね。
そして数週間後!わああ…。
リーシュマニア症も治療の効果が出てきたそうです。
「ミラ!」
タキスさんが呼ぶと、ミラは尻尾を振って寄ってきました。他の犬たちの中に溶け込んでいます。
その後
元気になったと伝え聞いた元の飼い主が、ミラを取り返したいと申し出たそう。ええええー!
安心してください、タキスさんの答えはもちろん、「NO」でした。ミラを本当に愛してくれる里親さんの手に渡すのが、タキスさんの使命です。
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掲載YouTubeチャンネル:Takis Shelter