なぜ人と犬は共存できるのか?歴史からひも解く犬と人間の関係性

なぜ人と犬は共存できるのか?歴史からひも解く犬と人間の関係性

イヌとヒトは太古の昔からパートナーとして共生してきました。会話によるコミュニケーションが十分にできない違う種族であるにもかかわらず、どうして犬と人間はパートナーになれたのでしょうか?今回は【犬と人間が共生できる理由】について、イヌとヒトの歴史を紐解きながら解説いたします。

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イヌとヒトの出会い

寄り添って同じ方向を見つめるオオカミの群れ

オオカミを家畜化したのが始まり

2~4万年前の人類は、狩猟採集をして生きていました。その頃に犬の原型であるオオカミも野生で生きていました。ヒトはなんと、そのオオカミを家畜化して手懐けて狩猟採集のパートナーにしたのです。

オオカミの中でも性格的に手懐けやすい子を選んでいったことで、家畜化されたオオカミは人の輪の中で生きるようになったと言われています。そうして家畜化されたオオカミは交配を繰り返す中で現在のイヌへと繋がってきたと考えられています。人類が欧州へと移住した際にも、イヌを一緒に連れて行ったことが分かっています。

「母犬」という認識による絆

イヌとヒトがなぜ絆を持てたのかという理由に、イヌがヒトに対する認識が「母犬」であったことがあります。ヒトはオオカミを家畜化する中で、ヒトが食べているものの残飯を与えるなどの”飼育”を行いました。オオカミからすれば、お世話をしてくれる存在は「母犬」という重要な存在だったのです。

イヌとヒトの共通点

犬をしつけする飼い主のシルエット

社会性を持って生きること

イヌ(家畜化されたオオカミ)とヒトはそれぞれ群れを成して生活するというスタイルが一緒です。群れの秩序という社会の中で生きるという生き方が同じということが、イヌとヒトが共生することができた大きな理由です。

単独行動をする猫には他者に従うという概念はほぼないため、犬のようにしつけを行うことは難しいです。群れのリーダーに従い、群れの和の中で生きていくというイヌの習性があったからこそヒトの指示も聞いてくれて、チームとして生きることができたのだと考えられます。

場の空気を読む

ヒトもその進化の歴史の中で、集団で移動生活をする中で協調性を身に付け、攻撃性を抑えることができるようになりました。イヌも同じく無駄な争いを避け群れの中で生きてきた動物で、群れの中でケンカが起こると両者の間に割って入る「カットオフ」という仲裁の行動を取ります。

群れの断裂は自分の命にかかわることなので、イヌもヒトも「場の空気」を読むようになりました。このように、犬も人も群れの和を大切にするということが共通しているため、共生しやすかったのではないかと考えられています。

協力して仕事をする

現在の犬も、何かの役割であったり仕事をこなしたりすることが大好きな子も多くいます。イヌはヒトの狩りを手伝ったり、他の家畜たちを管理したり、畑への侵入者を撃退するといった仕事を担ってきました。ヒトはイヌの命を守る飼育をし、イヌはヒトの仕事を手伝うというギブアンドテイクで共生してきたということも、イヌとヒトが良きパートナーになれた理由の1つです。

犬の表情筋の進化

笑顔の男性と目を閉じるレトリバー

人間と犬は会話によるコミュニケーションを取りません。犬は人間の言葉の単語をたくさん覚えることができますし、人間も犬の鳴き方で何となく感情を汲み取ることができますが、人間同士のように高度な会話によって意思疎通をすることはできません。

しかし、イヌとヒトは共に生きてきた歴史の中で「お互いの表情から感情を読み取る」という方法を獲得しました。現在の犬はオオカミから進化する中で、とても豊かに表情を動かせるよう表情筋が進化してきたと言われています。

犬が笑顔のように見えることがありますが、限られた類人猿しか笑顔にはなりません。イヌはヒトの笑顔に近い表情を獲得することで、ヒトと意思疎通を図りやすくなったのです。そして、犬が困ったような悲しいような表情をすれば、言葉がなくても私たちは察してあげることができます。

イヌもヒトの表情を読み取る能力を獲得することで、言葉がなくても意思疎通が図りやすくなりました。イヌがヒトに寄り添った表情筋を獲得してくれたこと、そしてイヌがヒトの表情を読み取る能力を得たことが、人間と犬がより深い絆を生むことの助けになったのです。

イヌは「幼さ」を持ち続けるように進化した

芝生を走るゴールデンレトリバーの子犬たち

幼形成熟「ネオテニー」とは

オオカミからイヌになる進化の過程での大きな変化の1つに「ネオテニー(幼形成熟)」があります。これは「性成熟を迎え成犬になった後にも、幼い子犬の容姿や行動を持ち続ける」という状態のことです。

カワイイ方が大切にしてもらえる!

オオカミはヒトに家畜化されている中では、ヒトに気に入られた方がメリットがあります。つまり、ヒトが「カワイイ」と思ってくれた方が自分のことを大切にしてくれるということです。そのため、オオカミからイヌへと進化していく中で、性成熟を迎えた後の成犬でも子犬のような”遊び”をしたり、頭蓋骨が子犬のように丸いままであったりといった、幼形成熟という形になったと考えられています。

野生のオオカミは"遊び"をしない

野生のオオカミでは成体になった後に”遊び”はほぼ見られないのに対し、現在の犬は成犬になっても子犬の行動や態度が見られることがあり、遊びが大好きな子も多いです。ちなみに、人間にもネオテニーが確認されています。

まとめ

肩を組む女の子と犬の後ろ姿

今回は【犬と人間が共生できる理由】について、イヌとヒトの歴史をふまえて解説いたしました。まとめると、

  • イヌはヒトに家畜化される中で手懐けやすい性質になった
  • ヒトとイヌはギブアンドテイクの協力関係だった
  • ヒトとイヌには群れの中で生きることが共通していた
  • ヒトとイヌは表情による意思疎通をするようになった

以上の4つが、イヌとヒトが共生しやすかった理由だと考えられます。最初のオオカミを手懐けたときはいったいどのような状況だったのかと、想像するととても感慨深いですね。最初は互いの利害関係の一致というだけであったかもしれませんが、何万年という時間を共に生きる中でそれ以上の絆が紡がれてきたというところが素敵です。

ヒトとイヌの悠久の歴史を感じながら、ぜひ隣にいるパートナーをなでてあげてくださいね。

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