廃業した業者から高齢の繁殖犬をレスキュー。里親探しの意外な障害とは

廃業した業者から高齢の繁殖犬をレスキュー。里親探しの意外な障害とは

生態販売の繁殖業者の犬舎に初めて入りました。繁殖リタイア犬たちの里親探しを頼まれました。

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繁殖リタイヤ犬

通報

それはある女性の1本の電話から始まりました。

「市内の繁殖業者さんが病気になり廃業されました。高齢犬たちがまだ取り残されています。なんとかお力になっていただけないでしょうか?」

女性は、あちこちの愛護団体や新聞社に手紙を出したそう。でも、どこからも返事は何も返ってこなかったと言います。

私自身も、センター収容の幼猫子猫対応に追われており、正直なところ困りました。その週は幼猫11匹、成猫1匹、計12匹の猫達をセンターから引き出していたのです。

私の愛護団体は、センターに収容されて処分される命を助ける活動をしています。繁殖業者からのリタイヤ犬に関わる時間の余裕はないと最初は思いました。

でも、やはり聞いてしまえば犬たちのことが気になるので女性の話をちゃんと聞き、現場をこの目で見てみようと思いなおしました。

高齢犬

通報してきた女性は、数年前に東京からリターンしてきた方でした。

保護犬を引き取ろうと地元のセンターを訪れた際に、掲示板で『里親募集』の小さな貼り紙を見て連絡したところ、それは繁殖業者のリタイヤ犬の里親募集だったそうです。

女性は、犬舎を見学したいと何度も訪ねたそうですが断られ、この数年間で犬舎に入れてもらったのは、たったの1回だったそうです。

その時、女性の目に飛び込んできた想像を絶する世界に言葉を失ったと言われました。女性は、数年かけて3匹の高齢犬をそこから引き取っていました。それが自分の限界だと言われました。でも、まだ残っている犬たちをなんとか救えないかと、様々な場所に、救援依頼の手紙を送っていたようです。それに応えたのは、私が初めてだったみたいです。

当時は小さなウサギのケージに、小型犬たちが入れられて、そのケージが山のように積まれていたと言います。そのころは、そこに100頭の繁殖犬たちがいたそうです。

でもその繁殖業者が病気になって廃業を余儀なくされたことで「まだ使えそうな犬たちは他のブリーダーが持って行ってくれた」と繁殖業者は私に言いました。

「もう使いものにならないような高齢犬たちだけが残された」と。

最終的に残された犬たちが少なくなったことで、ウサギのケージから犬用ケージにアップグレードされたそうです。

その数、13頭。

里親募集

この犬たちの里親募集をしてほしい。

それが通報してきた女性と、そしてその女性に数年かけて説得された繁殖業者の、私達ボランティア団体への相談でした。

でも実際に現場に行って繁殖業者の方とお話したところ、半分以上の犬を残しておいてほしいと希望されました。手放すのは本意ではなかったみたいでした。

「里親希望者が現れたら手放すべきではないですか?犬たちにとっては、これが最後のチャンスかもしれませんよ。繁殖をリタイヤしたこの犬たちを手放して里親につなぐことがあなたがこの犬たちにしてあげられる最後の優しさではないですか?」と言ったらその方は黙って頷かれました。

その方にとっては、商売道具でもあったわけですが、犬たちにそれなりの愛着も持たれていました。1匹1匹、名前をつけておられました。犬たちもなついていました。

批判がもたらす副作用

私はSNSにて里親募集を開始しました。

どうして里親募集をするのかも正直に書きました。そして当然ですが、犬たちの写真や動画も載せました。

すると起きたことは、繁殖業者に対する批判のコメントでした。もちろん、その気持ちは十分に理解しています。

現場を目の当たりにした通報者の女性と、ボランティアとして活動している私たちには、犬たちを商売道具に使う繁殖業者たちへの怒りの気持ちがもちろんあるのです。それは誰よりも強いかもしれません。実際に現場を知っているのですから。

だから、助けたいと動きました。私達はほとばしるような怒りを実際の救出活動のエネルギーに変えています。

でも自分の怒りの気持ちをそこに書き残すだけの批判コメントでは、実際に犬たちを助けることはできません。それどころか、救出活動を妨害することになりかねません。その違いにいつか気が付いてほしいです。

里親募集をしてほしいと思っている繁殖業者本人が、もしその批判コメントを見たらどう思うのでしょうか?またその繁殖業者から仔犬たちを仕入れていた生態販売のお店が批判コメントを見たらどう思うでしょうか?

批判コメントを入れる人たちは、怒りをその人たちに向けて書いているのですが、実際にその人たちがそのコメントを見て、考えを改めることはないと思います。

そのようなコメントで考えを改めるような人たちであれば、そのような商売は最初からやっていなかったことでしょう。

それどころか、自分たちに不利となるそのような批判コメントを目にしたら、怒りを覚えると思います。批判する人たちとは考え方が真逆なのですから、当然の事だと思います。そこに相互の理解は生まれにくいのです。

その人たちはその人たちの信念をもってその商売をしていると思います。それを批判することは、今回の繁殖リタイヤ犬の里親募集を台無しにしてしまうことにもなりかねません。

愛護団体に相談などしてしまったこの繁殖業者を、生態販売のお店は責めると思います。

その結果、やっと太陽の光を浴びられるチャンスを与えられていた繁殖リタイヤ犬たちの希望を潰してしまうことにもなりかねません。それが起こりうる状況にあるのです。この繁殖業者は、生態販売者の管理の中で生活をしていらっしゃる人なのですから。

そこに至るまでの事情のすべてを知らないのに、目に飛び込んできた情報だけで安易に批判するのは大変危険な行為になりかねないのです。

怒りを超えて助ける行動へ

そのようなバッググランドを知っている私たちは、慎重に里親探しを行っています。

でも人々の怒りの声は、このような写真や動画を見せられると、どうしても巻き起こります。

怒りの声をあげることよりも、実際に助けてほしいと私は思います。

私達のようなボランティアは、その怒りを実際に助ける活動へといつも変えて行動しています。

そこが大きく違うことに気が付いていただければと、事実を事実として公表するのですが、なかなか思うように伝えることができません。

批判を超えて実際の救済に乗り出す人が一人でも増えていくことを願いながら、私は発信し続けています。

最後に

この子たちのことは、現在、SNSにて里親探しを行っています。

既に数人の方たちが、引き取りを申し出てくれています。
でも、まだ全頭が決まっているわけではありません。

産まれてからこの犬舎から1度も出たことがないこの子たちに、残された時間を、有意義に、幸せに暮らしてほしいと願って、私たちは活動を続けています。


※こちらの記事は動画や画像の撮影・制作・配信をしている団体より許可を得て掲載しております。
 掲載団体名:ディ・アンク

ディ・アンク

▼▼ Facebookページはこちら ▼▼
https://www.facebook.com/diankshimonoseki/

▼▼ 里親募集中の情報はこちら ▼▼
https://www.pet-home.jp/member/user564895/post/

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ユーザーのコメント

  • 投稿者

    女性 ひろこ

    この記事を拡散希望です!
    店舗やウェブサイトで売られる動物たちと、その生みの親たちや仲間たちがどんな悲惨な状況に置かれている可能性があるか、よく考えていきましょう。
    それは許されないと気づき、家族や友達と気づきを共有しましょう!
    里親制度を支援しましょう!
    私の大事なペットはシェルターから引き取った里子です、うちのかわいい雑種ちゃんは里子です、というのが、「クール」だという文化を作っていきましょう!
  • 投稿者

    50代以上 男性 ワンちゃん大好きっ子

    まず思う事は先進国日本はペットはまだ物扱いだと言う事
    ヨーロッパやアメリカでは家族の一員と認められて生活しています
    ペットショップで売られているのも多分、日本だけだと思います⁉️
    だから悪徳ブリーダーも出て来るし、今だに商品扱いですよね
    もっと国が規制を厳しくして不幸なペットちゃんを生まない様にしてもらいたいと思います。
  • 投稿者

    女性 匿名

    高齢犬を助けたいと私も思いますが、ブリーダーが本当に廃業するのか確かめないと、また新しく不幸な犬が生まれてしまいます。
    残したいと話しているのなら、保護活動されている皆さんが便利に使われるだけになってしまわないか心配です。
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