犬への虐待というと、殴る・蹴るなどの暴力や食事を与えないネグレクトを思い浮かべる人が多いと思いますが、実は犬を愛する飼い主さんが気が付かずにしてしまう“優しい虐待”があるのです。その虐待は、一見幸せそうな愛犬と飼い主さんの間に起こっていますが、結果的に両方を不幸にしてしまうことがあるため、その事実にできるだけ早く気が付く必要があります。
甘やかしすぎるという虐待
愛犬のことが大好きで、大切に思う気持ちは犬を幸せにすることでしょう。しかし、その愛情の向け方を間違えると、犬の健康を害することになったり精神的に不安定な犬に育ててしまったりすることになるのです。
「厳しくするとかわいそうだからしつけをしない」「欲しがるものを何でも食べさせてあげる」「外は汚いから散歩はしない」などが挙げられ、犬が欲しがるからとチョコレートの入ったお菓子を与える人や汚れないために常にカートに乗せて外出するという人もいます。そしてそれらの行為をしている人は、自分が愛犬を大切にしていると思っているのです。
しかし、喜ぶ顔が見たいからと犬が本来食べてはいけないものを与えたり、栄養バランスの乱れた食事を続けたりすることは犬の健康を害します。結果的に病気を引き起こしたり死を招いてしまったりすることもあるのです。また、愛犬を守りたいからと他の犬や人・自然のものなどに触れ合わせる機会を奪うことで、犬の社会性が育たず分離不安になったり攻撃的になったりすることも。
犬が犬らしさを失わずに人間社会に適応して生きていくためには、飼い主さんが適切なしつけを行い、健康的な食事と運動を心がけることが大切です。甘やかしという”優しい虐待“で、犬にとっての本当の幸せを決して奪わないでください。