ケース1. エレベーターのドアに犬のリードが挟まる事故
先ごろ、米・フロリダ州タンペベイの集合住宅で、上昇するエレベーターのドアにリードが挟まり宙づりになった犬を、たまたま通りかかった男性が救助したというニュースが話題になりました。
咄嗟に救助した男性を賞賛する声が多い中、飼い主に対する批判の声が大きかったようです。このような事故はどうして発生するのでしょうか。飼い主が注意していても起こる可能性があります。
CNNニュース:エレベーターにリードが挟まった犬、男性がとっさの対応で救出
筆者の苦い体験
実は、私にも苦い経験があります。犬から5年以上前になりますが、冬の季節のお散歩帰りのことでした。エレベーターがフロアに到着して犬を抱えて庫内に入った瞬間、リードがドアに挟まり上昇し始めたのです。
犬の首が絞められないように、ドアに挟まったリードを強く引っぱりました。幅1㎝の革製のリードがちぎれ、危機一髪のところで助かりました。お気に入りのリードがちぎれてしまいましたが、愛犬の命には代えられません。リードがちぎれなければ、愛犬の首が絞めつけられたまま宙づりになっていたのです。思い出しただけで恐ろしくなります。
対策法
マンションのエレベーター内は狭いため、リードをつけた状態で犬を抱えても垂れ下がったリードがドアに挟まる危険性が高いです。以来、犬を連れてエレベーターに乗るときは、必ず犬のリードを外しています。さらに犬を抱きかかえるW対策をして、愛犬を事故から守っています。
- エレベーターが危険なのではなくリードが危険
- エレベーターに乗る前にリードを外し、抱きかかえるW対策を行う
- 万が一ドアに挟まった場合は、犬の首が締まらないようにリードを強く引っ張る
ケース2. エレベーター内で犬が人に吠える
犬猫が飼えるペット飼育可マンションでは、犬を飼育している人ばかりではなく、ペットを飼育していない居住者もいますし、中には犬が嫌いな人もいます。犬が苦手な方の中にはトラウマ経験がある方も多く、吠えられたことがきっかけで犬が近寄るだけで拒絶反応が出る方もいるようです。
犬は”犬嫌いな人間”が分かるといいますが、表情や空気を敏感に感じ取り相手に威嚇して吠えることがあります。
対策法
ペット飼育可のマンションでは、犬が苦手な人の気持ちを配慮することが大切です。エレベーター内で抱きかかえても、犬が吠えることはあります。キャリーバッグ等に入れてなるべく犬が吠えないように飼い主が注意しましょう。
また、犬が苦手な方があらかじめ分かっている場合は、「犬を連れていますので、お先にどうぞ!」と一声かける勇気も必要です。
ケース3. 高齢者や子供にケガをさせてしまった
エレベーター内で他の人にケガを負わせてしまう事故は、小さな子供やお年寄りなどが被害者となるケースが多いです。
- 子供が犬を撫でて噛んでしまった
- 待機中のお年寄りに犬が吠えて転んでしまった
エレベーター内では、犬との距離が近いために、子供やお年寄りが犬に手を差し伸べてしまう恐れがあります。見知らぬ人にいきなり頭を撫でられたり触れられたりすると、普段大人しい子犬でも恐怖心が芽生え、相手を噛んでしまうことも。
対策法
エレベーターに乗車している時間はほんの数分ですが、「到着する前に触りたい、撫でたい」と思うのが子供心です。他の居住者とエレベーターに乗り合うときは、犬の顔を壁側に向けて他の人と接触しないようにガードしましょう。
愛犬が人にケガをさせてしまったら
愛犬が人にケガをさせてしまった場合、法律上では民放709条の不法行為に該当し、被害者に対して保証義務があります。
- 治療費
- 通院費
- 損害賠償(休業損害など)
- 慰謝料
犬の飼い主同士の話合いの元で示談が成立しても、同じマンションで顔を合わせるのが苦痛になるなど、被害者と加害者双方にとって精神的苦痛があり、後々までしこりを残してしまう可能性があります。
エレベーター内での犬の事故やトラブルを防ぐために大切なこと
このような事故やトラブルを引き起こさないためにはどうすれば良いでしょう。犬や猫が飼育できるマンションは、居住者同士のトラブルを回避するために飼育規約が設けられています。
マンションによって規約の内容は異なりますが、エレベーター内では、ペットは抱きかかえるかキャリーバッグ等に入れて移動するのが最低限のマナーです。犬と飼い主が快適に暮らせるようにルールを守りましょう。
まとめ
犬のリードを外して抱きかかえて乗車すれば、”大切な命”を守ることができます。さらにキャリーバッグに入れて犬の顔を壁側に向けることで、他の人に危害を加えるトラブルを避けることができます。
愛犬が苦情を言われたり、他人にケガをさせたりしてしまったら、飼い主としてやるせない気持ちになりますね。マンションでの犬の事故やトラブルは、居住者に対する配慮があれば、未然に防ぐことができます。あまり神経質になると犬がストレスを抱えてしまう恐れがありますので、室内ではのびのびとさせ、共有部分や敷地内では決められたルールを守りましょう。