フード派も手作り派も知っておくと納得、犬とミネラル

フード派も手作り派も知っておくと納得、犬とミネラル

カルシウムやマグネシウムなどのミネラルは犬にとって必要な栄養素ですが、難してくとっつきにくいという印象があるものです。でも知っておくことで犬の健康管理の助けになります。

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記事の監修

東京農工大学農学部獣医学科卒業。その後、動物病院にて勤務。動物に囲まれて暮らしたい、という想いから獣医師になり、その想い通りに現在まで、5頭の犬、7匹の猫、10匹のフェレットの他、ハムスター、カメ、デグー、水生動物たちと暮らしてきました。動物を正しく飼って、動物も人もハッピーになるための力になりたいと思っています。そのために、病気になる前や問題が起こる前に出来ることとして、犬の遺伝学、行動学、シェルターメディスンに特に興味を持って勉強しています。

犬にとって重要な栄養素、ミネラル

大きな骨をくわえたジャックラッセル

ドッグフードの原材料一覧は重量ベースで多く含まれているものから順番に記載されています。ですから最初の方に書かれているのはフードのメインとなる肉類や穀類などタンパク質や炭水化物源となるものです。

そして一覧の最後の方になると、何やら見慣れないカタカナの単語が増えてきます。それらはビタミン類やミネラル類、アミノ酸類で、ビタミン類やミネラル類は重量にすればごく少量ですが、生き物の命を維持するのに不可欠な大切な栄養素です。アミノ酸はたんぱく質の構成成分で、そのフードのたんぱく源に加えてより強化したいアミノ酸がある場合などに添加されていると思います。

ここでは、その中のミネラル類についてご紹介したいと思います。

ミネラルには多くの種類がありますが、それらの機能には例として次のようなものがあります。

  • 骨や軟骨の形成
  • 神経や筋肉の機能維持
  • 体液のバランス調整
  • 血液中の酸素の輸送
  • ホルモンの合成

ドッグフードの場合、食材から供給されるミネラル類に加え、ドッグフード用に要求量とバランスを考たミネラルが添加されています。

またフードの原材料欄で「キレート」という言葉が亜鉛や鉄などのミネラルと共に書かれているのは、亜鉛や鉄などの吸収性を高めるためにアミノ酸やたんぱく質と結合させるキレート加工をしたミネラル、ということです。

主要ミネラルと微量ミネラル

ミネラルと食材のイラスト

一口にミネラルと言ってもたくさんの種類がありますが、生き物にとって必要なミネラル類は大きく分けて、1日当たりg単位での摂取が必要な主要ミネラルと、必要量がごく少量である微量ミネラルという2つのグループに分けられます。

主要ミネラル

主要ミネラルとは多くの人にとって馴染みのある、カルシウム、リン、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、塩素です。

カルシウムとリンは骨と歯を構成するのに使われる非常に重要なものです。それだけでなく、血液の凝固、筋肉の収縮、神経系の機能などにも必要なミネラルです。

マグネシウムはカルシウム、リンと共に骨と歯を構成する成分です。筋肉や神経が機能するにも欠かせません。

カルシウムとリン、マグネシウムはバランスよく摂取することがとても重要です。これらのミネラルは肉類、内臓肉、骨、魚類、未精製の穀物、海藻などから摂取できますが、ミネラルのバランスを取るためにはササミや赤身肉など筋肉部分だけでは不足です。

ナトリウム、カリウム、塩素は体液のバランスを制御し、筋肉、神経、心臓の機能を保つために必要です。「犬に塩は不要!体に悪い!」という認識で、手作り食を与えている犬でナトリウム不足になる例もあるそうです。塩は犬にとって不要なのではなく、人間と同様に摂り過ぎがいけないと理解することが大切です。

微量ミネラル

微量ミネラルにも多くの種類がありますが、よく知られている一般的なものでは、鉄、亜鉛、銅、ヨウ素、マンガン、セレンがあります。

鉄は血液中のヘモグロビンを構成する、細胞の維持などの役割があり、内臓肉、赤身肉などから多く摂取できます。亜鉛は多くの代謝や酵素をサポートし、皮膚や被毛の健康と維持にも必要です。卵、レバー、魚介類などに多くに含まれます。銅と鉄、亜鉛の量はお互いのバランスが重要です。

銅は様々な代謝に必要で、レバーや大豆などに含まれます。ヨウ素は甲状腺ホルモンの産生に必要で、主に海草類から摂取できます。マンガンは細胞の働きや代謝、骨や関節の健康に必要なミネラルです。全粒穀物や豆類などに多く含まれます。

セレンは抗酸化作用を持ち、ビタミンEと連携して免疫機能をサポートします。内臓肉や魚類に多く含まれます。

愛犬がミネラルを適切に摂取するために

フードと食材

ミネラル類が生命の維持にどのくらい大切かがお分かりいただけたかと思います。

ドッグフードの場合は、適切な量を与えていれば必要量が摂取できるよう配合されているので不足する心配はありません。気をつけなくてはいけないのは、サプリメントなどを利用する場合です。ドッグフードを与えている場合には、健康な犬ならミネラルのサプリメントは必要ありません。

体の不調や怪我などで一時的に何かのミネラルを補給したい時には、必ずかかりつけの獣医師に相談して必要量を確認して与えましょう。ミネラル類は不足すると体調を崩しますが、過剰に与えても体に異常を引き起こします。

手作り食の場合には、ミネラル類は知識を持って意識して与えないと不足しがちです。また、過剰にならないようにも気をつけなければいけません。その他の栄養素についても最低必要量を摂取することが重要で、健康状態によってはさらに強化したい場合もあるので、愛犬の食事を手作りメインにする場合には、ペット栄養管理士や栄養学に詳しい獣医師に相談してから始めることを強くお勧めします。

インターネットを通じての相談を受け付けているところも増えていますので検討なさってみてください。手作り食の場合、必要な栄養を全て食材から摂取することはハードルの高い課題です。肉類の他に骨や内臓肉をコンスタントに与えたり、野菜や穀類も栄養価を計算したりして要求量をクリアすることは可能ではありますが、サプリメントを利用することに柔軟でいることも必要だと思います。

完全手作りは難しいけれど安心な肉類を与えたいという場合には、野菜や穀類などがミックスされ好みの肉類や魚類を自分でプラスするプレミックスタイプのフードを利用するという手もあります。このタイプは一般的なフードと同様に必要なビタミンやミネラル類が配合されています。

まとめ

食事中のゴールデンレトリーバー

犬にとって必要なミネラル類についてご紹介しました。ここに挙げたことは、ごく簡単にまとめたさわりの部分だけですが、どのミネラル類も生命を維持するのに大きな役割を果たしていることは分かっていただけたかと思います。

大切な愛犬が食べているものを理解することは安心につながります。犬の食事について考えるきっかけになれば幸いです。

《参考URL》
https://www.petmd.com/dog/nutrition/evr_dg_mineral-the_right_sources

【獣医師の補足】

 ペット栄養管理士は、日本ペット栄養学会が認める民間資格です。
微量必須ミネラルの一つである銅については、ベドリントンテリアで常染色体劣勢遺伝の銅関連性肝炎があります。その肝炎では、銅の輸送機能に異常があり銅が肝臓に蓄積し肝炎が起きます。ラブラドールやドーベルマンなどでも銅関連性肝炎の発生が報告されていますが、ベドリントンテリアのように遺伝的要因が特定されたものはなく、フードへの銅の添加方法の変化(それによる銅の生体利用率の向上)が原因ではないかという意見もあるようですが、よく分かっていません。

獣医師:木下明紀子
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