犬の嗅覚が発達した理由
犬はいたる所で『においかぎ』をしますよね。お散歩中には、その場から動かなくなり、飼い主さんが「ちょっとしつこいんじゃない!?」と感じるほど、一生懸命に『においかぎ』をすることもあると思います。犬の嗅覚は人間と比べると犬種によっては1憶倍もあるとか。犬の嗅覚がそこまで発達したのにも理由があるようです。
あまり良くない視覚の代わり
嗅覚は犬が持っている五感の中で一番優れている能力。そして視覚に関して動体視力はいいものの、静止いている物を見る能力や色の識別は不得意で、視力自体も0.2~0.3ほどしかありません。その視覚に代わって嗅覚が発達したのではないかと考えられています。
犬にとっての嗅覚は私たち人間が、目で物を見るのと同じくらい当たり前で大切なこと。私たちが何も見えない暗闇の世界を不安に感じるように、犬も『においかぎ』ができないことは落ち着かない状態なのです。
命を繋ぐため
犬の嗅覚が発達したのは生きていくために必要だったから、という理由も考えられています。犬は野生時代、食べるために狩りをしていた生き物です。遠く離れた場所にいる獲物のニオイを察知する必要があったでしょうし、子孫を残すために交尾の相手を探すことも重要だったはず。
しかし、今現在、家庭犬として人に飼われている犬は、本来必要であったための能力を使えるシチュエーションがありません。獲物を探す必要もなければ、交尾の相手を自ら探す必要もないのです。そこで大切になってくるのが『においかぎ』になります。犬にとってお散歩中の『においかぎ』の行動は、運動以上に大切なものといっても大袈裟ではないのです。
犬が『においかぎ』をする意味
『においかぎ』の役割は?
犬の『においかぎ』は、私たちが目で物を見るとの同じくらい自然な行為。特に強い興味があるニオイや、気になるニオイがあったときは丹念に『においかぎ』をして好奇心を満たします。
- 情報収集するため
- 不安を解消するため
- 挨拶をするため
犬はわずかなニオイから膨大な情報を得ることができる生き物。優れた嗅覚を活かし多くの情報を集め、そして確認しています。お散歩中にあちらこちらのニオイを嗅ぎたがるのは、多くの外の気になるニオイと接することができるから。他の犬のマーキングをチェックしたり、知らない初めての気になるニオイがあると、集中して『においかぎ』をしたりします。
知らない初めてのニオイに関してはお散歩中はもちろんですが、ご自宅でも新しい物を置いたときに一生懸命に『においかぎ』すると思います。これは新しいものに対して少し不安を感じている場合があります。不安を解消するため、『においかぎ』で安全な物なのか確認しています。
また、外出先から帰宅したばかりの飼い主さんをクンクンするのは、飼い主さんが身に着けている物についた外のニオイから、その日の行動を確認するため。犬はそのニオイだけで飼い主さんが、その日会った人やどんな場所に行ったかなど想像しているのです。
そして、犬同士の挨拶も『においかぎ』のように、鼻やお尻のニオイをクンクンしていますよね。もちろんこの行動も、相手のニオイから多くの情報を収集をしているのです。
特にお散歩中の『においかぎ』は、外の様々なニオイを嗅ぐことで脳への刺激にもなります。脳への刺激は、ストレス軽減や認知症の予防にもつながるので、全く嗅がせない、また無理に止めることはできるだけ控えましょう。
犬の『においかぎ』はストレス発散?
犬の『においかぎ』はストレス発散にもつながります。ただし、「当たり前の自然な行為」のひとつなので、『においかぎ』ができないことが、ストレスになると考える方が自然なのかもしれません。情報収集や不安を解消する役割がある行為なので、止められてばかりいると好奇心を満たすことができず、不安が募ってしまうでしょう。
自然な行為ができないということは人もストレスになります。なのでそういったワンちゃんらしい行為を止めさせることはしないようにしましょう。また『においかぎ』以外にも、ストレス発散する方法を考えてあげましょう。
まとめ
上記にも書いたように、犬の嗅覚は人間の視覚と同等な能力になります。私たちが毎日、目で物を見るのと同じくらい、犬の『においかぎ』は自然な行為なのです。そして丹念に『においかぎ』をしているときは犬にとって、楽しい時間でもあります。そんな『においかぎ』を無理に止めてしまうのは、あまり良いことではありません。
『においかぎ』ができないのは人間の感覚でいうと、見えない状態で知らない場所や初めていく場所へ連れていかれる感じだと思います。お散歩中の『においかぎ』は周囲へ迷惑をかけないよう配慮して、『においかぎ』ができる時間を作ってあげましょう。