介助犬と一緒にフライトをする場合の訓練イベント
アメリカのアラスカ航空では1年に1回、介助犬が必要な人が犬と一緒にフライトをする場合を想定した無料訓練イベントを実施しています。
このプログラムは今年で6回目となり、参加した人々の好評を得ているそうです。
アラスカ航空は盲導犬育成の非営利団体と提携して、訓練中の介助犬、実際に働いている介助犬、犬のハンドラー、視覚または聴覚が不自由な人、車椅子利用者などを対象として、このイベントを行っています。
飛行機の模擬機内を利用しての本格的な訓練
イベントは訓練用の模擬機内を使用して行われます。全ての設備が実際の飛行機と同じ仕様で作られているため、参加者は実際に犬と一緒に機内にいるときの感覚が体験できます。
参加者は座席に着いて犬がキャビンの空間に慣れるようにするための説明を受けます。他には緊急着陸の際の安全対策や、降りる際に出口に向かう際の手順などについて講習を受けます。一般の乗客が受ける説明だけでは十分ではない点が分かるのは、訓練イベントの利点のひとつです。
実際のアラスカ航空の客室乗務員やパイロットが操作や説明を行い、参加者からの質問にも答えてくれます。犬たちも座席の下や救命用ボート内に入って指導を受けます。
飛行機内という特殊な空間は実際に経験してみないとイメージがわきにくいため、このような訓練は実際のフライトがどのような感じになるかのシミュレーションとしてとても有効です。
また、人も犬も一度似たような体験をしておくことで、実際のフライトの際に心に余裕ができるのも大切なメリットです。
このような訓練イベントが持つ社会的な意義
このイベントの実施に携わっている盲導犬育成団体のスペシャリストであり、自らも視覚が不自由で盲導犬ユーザーでもあるジェイク・コッホ氏も盲導犬と一緒に訓練イベントに参加しています。
訓練イベントは単に犬と人がフライトを疑似体験するだけでなく、機内で犬と人が過ごすための問題点や改善が望まれる点をあぶりだすのにも役立ちます。
近年、航空機メーカーは客室スペースを最大限に活用しようと試みており、そのために座席の下や足元のスペースが縮小されがちです。介助犬であるラブラドールやゴールデンレトリーバーといった大型犬に必要なスペースを確保するために、コッホ氏はこのような訓練イベントでの結果を航空機メーカーの技術者に伝える役目も担っています。
ハンディキャップのある人、その人々と同乗する介助犬に代わって、安全で快適な移動手段を設定するという社会的な意義のあるイベントだと言えます。
まとめ
アメリカのアラスカ航空が年に一回実施している、介助犬とそのユーザーやハンドラーのための訓練イベントについてご紹介しました。
空港や飛行機内というのは、ストレスの多い空間です。ハンディキャップのある人々と介助犬への負担が最小限になるように取り組んでいるアラスカ航空の姿勢は素晴らしいものですね。同じような試みをする航空会社が、1つでも多くなればいいなと思います。
《参考URL》
https://www.seattlepi.com/local/seattlenews/article/Guide-dogs-learn-to-fly-14557596.php