犬がしつけを忘れる原因①「覚えたわけではなかった」
犬がしつけを忘れる原因には「しつけを覚えたわけではなかった」ことがもっとも多いです。
飼い主さんや家族は「〇〇を覚えた!」「〇〇をできるようになった!」と、大喜びしていたかもしれません。しかし、それは「教えたことをたまたまできてしまった」というだけだったのかもしれません。
犬が上手にしつけができたときに、思いっきり褒めてあげましたか。しっかりと覚えるまで毎日繰り返ししつけをおこないましたか。一度できたからもう大丈夫ではないのです。何となくできてしまっただけで習得したわけではなかったのでしょう。ご褒美におやつを使ってしつけを行っているのであれば、おやつなしでも指示に従うことができるようになるまでトレーニングを続けることが重要です。
監修ドッグトレーナーによる補足
犬の記憶力には一時的な記憶の「短期記憶」と長期間保持できる「長期記憶」があります。犬はこの短期記憶を苦手とするらしく、人間の短期記憶が数10秒~10分以上あるのに対し、犬は10秒程度しか保持できないと言われています。
今やっていることを覚えたとしても、犬は数秒前のことを忘れてしまうのです。だからといって記憶力が低いわけではありません。長期記憶に関しては長いものなら生涯忘れることなく記憶を保持しているとも。
昨日できたことが今日できないのは当たり前。犬の記憶が消えないうちにしつけを繰り返すし、根気よく教えることが大切。上手にできたらしっかりと褒めてあげましょう。
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犬がしつけを忘れる原因②「叱られると勘違いしている」
犬に指示を出しても従わないからと叱ってしまったことはありませんか。従わないからといって、怒鳴ったり叩いたりする飼い主さんもいらっしゃるようです。怒鳴ったり叩いたからといって、犬が指示や言葉を理解することができるわけではありません。ただ痛みや恐怖を感じ、何が起きているのかもわからずに不安にさせるばかりです。
しつけをしっかり覚えて理解してもらうためには、「伝える」という気持ちが大切です。従わなかったからといって叱るのではなく、従うことができたときに思いっきり褒めてあげてください。そうすることでしつけは成功しやすくなります。
監修ドッグトレーナーによる補足
しつけにおいて「叱る」のは、逆効果となるケースが多くみられます。例えば、「おすわり」で座らないと叱る、を繰り返していると、犬は「おすわり=叱られる」と勘違いして学習してしまいます。これは他のしつけでも同じ。
犬によっても習得するスピードは違います。出来ることを見つけて愛犬のペースに合わせてしつけを行うことがとても重要です。犬が「叱られる」と学習しないように上手にできたことをしっかりと褒めてあげましょう。
犬がしつけを忘れる原因③「環境が変わってしまった」
引っ越しをした、赤ちゃんが生まれて家族が増えた、新しく犬を迎えたなど、環境の変化によっていつもできることができなくなってしまうことがあります。決して、しつけを忘れてしまったわけではありません。大きな環境の変化に戸惑っているのです。
特に、環境の変化が影響してしまうのが「トイレ」のしつけです。トイレ以外の場所で粗相をしてしまうことが増えてしまったのは、トイレの仕方を忘れたわけではありません。トイレの場所を変えてしまったり、家族などが増えたことでストレスを感じてしまったりなどが原因と考えられるため、粗相をしても叱らずに、新しい環境に慣れるまで様子を見ながら待ってあげましょう。
犬がしつけを忘れる原因④「反抗している」
飼い主さんや家族に対して、何か不満があるのかもしれません。「ママが私の言うことを聞いてくれないなら、私も聞かないもん!」と自分の要求が通らないことですねているのかもしれません。
最近、愛犬の様子に何か変化はありませんでしたか?お散歩の時間が短くなってしまったり、運動不足になっていることでストレスを感じているのかもしれません。飼い主さんや家族が自分以外の何かに夢中になり、スキンシップやコミュニケーションが不足していることも反抗の原因になってしまいます。
犬がしつけを忘れる原因⑤「コマンドが変わった」
犬がしつけを覚えたあとは、コマンドを変えてはいけません。今まで「待て」だったのに、急に「待って」に変わってしまったら犬は戸惑ってしまうんです。
私たち人間には同じ意味だと理解できても、犬にはほんの少しの変化でもわからなくなってしまいます。上手く対応することができる犬もいますが、ほとんどは戸惑ってしまいます。一度決めたコマンドは統一すること、そして家族で共有することも大切です。
監修ドッグトレーナーによる補足
犬のしつけでは、言葉だけでなくコマンドを出す姿勢や動作にも気をつけましょう。言葉は同じでも、立ったり座っていたり、右手で指示を出したり左手に変えたりなど、ちょっとした姿勢や動作の違いも、犬にとっては混乱して違う指示なのかと考えてしまうこともあります。
犬はつねに飼い主さんのことをよく見ています。とくに繊細で怖がりな子なら、ちょっとした違いにも敏感に反応して混乱しているのかもしれません。ご自身がどんな言葉や動作をしているかを把握して、同じように伝えられるようにしましょう。
犬がしつけを忘れる原因⑥「認知症の可能性」
犬が認知症を発症して認知機能が低下してしまっている可能性があります。トイレの場所がわからなくなってしったり、間に合わずに粗相してしまったりなど、さまざまな症状があらわれます。
日本国内の調査では、犬の認知症は11歳頃から発症し、13歳から急増するとの報告もあります。「最近、愛犬の様子がおかしい」と感じたら動物病院を受診しましょう。
まとめ
犬がしつけを忘れる原因には、
- 覚えたわけではなかった
- 叱られると勘違いしている
- 環境が変わってしまった
- 反抗している
- コマンドが変わった
- 認知症の可能性
などが考えられます。しかし、決して忘れてしまったわけではないことがほとんどです。犬は、一度覚えたことをそう簡単に忘れてしまうことはなくとても賢い動物です。
忘れてしまう原因には、認知症などの病気の可能性もありますので、日ごろから注意深く愛犬の様子を観察することを心がけましょう。
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20代 男性 匿名