飼い主と離ればなれになった“被災ペット”問題
2011年に起きた東日本大震災時には、大津波や原発事故によってやむを得ずペットを置き去りにしてしまったり、混乱の中で離ればなれになってしまったりする家庭が数多くありました。
災害時に飼い主と離ればなれになったり飼い主を失ってしまった犬たちは“被災ペット”と呼ばれ、問題解決までに長い期間かかるものとしてあつめ世間でも注目を集めています。
また同時に、東日本大震災をきっかけに災害時の避難所でのペット受け入れに関する対応やペット連れの避難時のマナーなど、さまざまな課題が見つかりました。
そして2013年には環境省が『災害時におけるペットの救護対策ガイドライン』を策定し、ペットの同行避難を原則とすることや自治体に対してはペット受け入れ可能な避難所へ誘導することなどを提言。飼い主に対しても災害時に備えて、ワクチン接種や健康管理、適切なしつけを行うことなども推奨しています。
愛犬と離ればなれになったらやるべきこと
災害が起きた時に愛犬と離ればなれになってしまった場合、パニックに陥ってしまうこともあるでしょう。万が一愛犬とはぐれてしまった場合には、まず自治体の保健所や警察署などに問い合わせることが必要です。
ただし、災害発生時には保健所や警察なども正常に機能していない場合もあるため、すぐには愛犬を見つけることができない可能性もあるでしょう。
しかし、時間の経過とともに動物に関する情報などは保健所や愛護センターなどに集約されてくるので何度も通うなどして愛犬を探すようにしてください。また、災害発生からしばらくすると動物愛護団体のボランティアなどによって被災ペットの救護・保護が行われるようになります。
動物の救援本部が設置されることもあるので、そうした場所に確認に行くことも有効な手段だと思います。
また、最近ではtwitterやfacebookなどSNS上で愛犬に関する情報提供の呼びかけをしたり、ペットの保護情報を確認することもおすすめです。個人で動物を保護してくれている人や迷子の動物の目撃情報などをSNS上にアップしている人も少なくないので、有益な情報をスピーディに得られる場合もあると思います。
災害で愛犬とはぐれた時のために備えるべきこと
災害時に愛犬と離ればなれになってしまう事態を想定して、防災グッズの準備などとともにしておくべき備えがあります。
まず、愛犬が災害に驚き脱走してしまい行方が分からなくなってしまった場合に備えて、首輪に迷子札などをつけておくようにしましょう。自治体から発行される鑑札をつけておくことも大切ですが、個人で保護した場合などには鑑札では飼い主の情報がわからないため、すぐに会うことができない場合もあるのです。
そのため鑑札とは別に飼い主の名前や電話番号を記載した迷子札をつけたり、首輪の裏側などに電話番号を直接書き込んでおくなどするといいでしょう。
家の中では首輪をしていないということも多いかもしれませんが、災害発生に備えて常に首輪をつけておくようにすると安心です。
また、犬の情報を把握することのできるマイクロチップを埋め込むこともひとつの方法ですので、災害の備えとしてもぜひ検討してみてください。
さらに、愛犬と離ればなれになってしまい探す際には愛犬の写真や特徴が書かれた紙などがあると便利です。保健所や動物救援団体の本部に行く際などもそうした情報を提示することでスムーズに保護、引き渡しが行われやすいので防災グッズのひとつとして用意しておきましょう。
また、災害時には身分証明することなどがむずかしい場合もあり、本当にその犬の飼い主であるか確認できず犬の引き渡しがができないことも。そうした場合に備えて愛犬と飼い主家族全員が一緒に写っている写真なども用意しておくと証明手段のひとつになると言われています。
まとめ
愛犬と離ればなれになってしまうような災害は起きて欲しくないですし、「自分は大丈夫だろう」と漠然と思っている人も少なくないでしょう。しかしこの数年で過去に例を見ない自然災害が多発しており、被災することは誰しもが他人事ではなくなっているはずです。
愛犬と同行避難することはもちろん離ればなれになってしまうことも想定し、事前に準備できることはしっかりとしておきましょう。
ここで紹介したことはすぐに取り組める簡単なことばかりですし、災害時だけでなく脱走や迷子になってしまった場合にも活用できることなのでぜひ取り入れてみてくださいね。