狩猟犬に由来する犬種は好奇心旺盛!
犬の性格は千差万別。人間の性格が国籍や出身だけで決められないのと同様に、個体差が大きいので、もちろん、犬種だけで一概に語ることはできません。ですが、その犬種が人間とどのような歴史を築いてきたのか、どのような目的で作出されたのかを知ることで、犬種の性格の傾向を知ることはできます。
犬種標準では、犬種を7つのグループに分類しています。その中でも、キツネやウサギ、アナグマ等の小さな獣を駆除するために作出・利用されていた「テリア・グループ」と、テリア以外の獣猟犬をまとめた「ハウンド・グループ」に属する犬種は、小さな獲物を追い回していた本能から、活発で好奇心が旺盛な個体が多いとされています。
1.ジャック・ラッセル・テリア
テリア・グループの代表格といっても良いのが、ジャック・ラッセル・テリアではないでしょうか。ジャック・ラッセル・テリアはもともと、イギリスの牧師がキツネ狩りのために作出した犬種で、その後、コーギーなどとの交配を重ねて今に至ります。2011年にアカデミー賞を受賞した映画『アーティスト』に出演していた俳優犬ジャックの名演技は世界中の注目を浴び、ジャック・ラッセル・テリアを一躍有名にしました。
とはいえ、ジャック・ラッセル・テリアをジャックのように完璧な演技ができるまでトレーニングするのは一筋縄ではいきません。ジャック・ラッセル・テリアは好奇心旺盛ゆえに活発で我が強いため、しっかりとしつけをしないと言うことを聞かないワガママ犬に育ってしまいがちです。一緒に暮らす際には、しつけに対する覚悟が必要ですよ。
2.ビーグル
スヌーピーのモデルとして言わずと知れたビーグルは、ハウンド・グループに属する狩猟犬です。もともとはウサギ狩りに利用されていましたが、お互いに鳴き声を呼応させ合いながら、集団で狩りを行っていたのが大きな特徴です。その歴史もあって、集団生活に馴染みやすく、多頭飼いにも向いています。協調性があって人なつこく、好奇心旺盛な性格は世界中で愛されています。
一方で、個体差が少なく生理的にも安定しているという特徴から、今もさまざまな医学施設や製薬会社等で実験動物として利用されているというのも、目を背けてはいけない事実です。
3.ミニチュア・ダックスフンド
日本で圧倒的な人気を誇るミニチュア・ダックスフンドをはじめとする、ダックスフンド種もハウンド・グループに属する犬種です。ハウンド・グループは、狩猟の方法によって視覚ハウンドと嗅覚ハウンドの2つに分けられますが、ダックスフンドは嗅覚ハウンドに代表選手ともいえます。その特徴的で愛らしい短足が、アナグマの穴に入り込めるようにと改良されて生まれたという話はご存じの人も多いのではないでしょうか。
ダックスフンドは、狭い穴の中にいるアナグマを吠えて追い立てていたので、体格に比べて吠え声が大きいのも特徴です。これは、吠えることで敵を威嚇したり、主人に敵の居所を教えていたテリア・グループ、ハウンド・グループの多くの犬種に言えることでもあります。
4.ブル・テリア
どこかマヌケで愛嬌のある「ぶさかわ」な容姿が人気を誇るブル・テリアも、テリア・グループの犬種の1つです。ブル・テリアの作出の歴史は他のテリア犬種とは少し異なり、ブルドッグの闘争性とテリアの敏捷性の両方を兼ね備えた犬種として生み出されました。「ぶさかわ」ともてはやされている現代では想像できませんが、意外にも、その最初の用途は闘犬だったのです。特に、反撃はしても自ら攻撃を仕掛けることはしないという「騎士道」を体現するような戦い方で人気を博し、白いブル・テリアは今でも「白い騎士」と呼ばれているほどです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?好奇心旺盛さや吠え声の大きさは、上手くしつけないと問題行動に発展してしまうので、その点は注意が必要です。けれど、そのけじめやメリハリさえしっかりとつけられれば、好奇心旺盛な犬との暮らしは、エキサイティングで刺激的なものになることを約束してくれますよ。