私が見てきた保護犬たち
我が家の保護犬の場合
うちには保護犬のポメラニアン(推定4才)がいます。一昨年、里親になりました。
他県の保護団体が、廃業した繁殖業者から保護、その後、当時私が手伝っていた預かりボランティアのもとへ搬送されてきました。
片方の後肢が膝蓋骨脱臼で完全に外れており、3本足で跳ねるように歩いている状態。
その後、手術により4本足で歩けるようになりましたが、膝がガクガクと折れるような不自然な歩き方。
獣医師によれば、脱臼が長い期間放置されていたため、骨がすでに変形しており、今後も改善は難しいとのこと。負担がかかる股関節や腰も、症状が出ればまた要手術とのことでした。
保護犬達の健康状態
このポメラニアンと共に預かりボランティアのもとに届けられた他の犬達も、皆、大なり小なり何らかの問題が見受けられました。
まず、化石のようにこびりついた歯石、興奮しやすい犬は犬歯が根本まで削られ、声帯が切られている、そしてどの犬も共通する全身から漂う表現しがたい臭気・・・。
メスの場合、膣脱といって性器が露出した状態のまま放置されていたり、保護後の避妊手術の際、無理な妊娠・出産で子宮がひどい状態になっていたことが判明したり・・・。
遺伝を考慮しない繁殖の結果、生まれつき目や足がない犬や、歯周病からアゴが溶けてしまっている犬など、悲惨な姿で保護された犬達について、毎日のように様々な保護団体のホームページで報じられています。
これが、質が良いとはとても言えない繁殖業者のもとで生まれ育った犬達の現実。
保護犬にチワワやダックス、トイプードルなど人気犬種が多いのはなぜ?
現在、里親募集の様々なサイトがありますが、人気小型犬種が、なぜこんなにも多いのか、考えたことはありますか?
これには一部の繁殖業者(ブリーダー)の存在が大きく関わっており、保護犬問題のカギともなるものです。
ブリーダーから保護される犬が多いわけ
1.動物愛護管理法の改正により、「生後56日を経過しない犬猫の販売のための引き渡し」が禁じられ、飼育期間が延びたため、飼育費用がかさむことから廃業する業者が出てきた。
2.繁殖業者が老齢になり、管理が行き届かず飼育環境が劣悪化し、崩壊、廃業に至るケース。
3.金もうけ主義のブリーダーが、キャパシティを越えて多数の繁殖犬を抱えた結果、管理しきれず崩壊するケース
2、3の問題はほぼ同義として「ブリーダー崩壊」と言われており、崩壊が明るみになった際、劣悪な飼育現場、悲惨極まりない犬達の姿が初めて外部の目に触れることになります。
それらは主に、保護に関わる団体のホームページなどネット上で話題になることが多く、テレビで報じられることも多少は出てきたものの、一般の人々の目に触れる機会は決して多いとは言えません。
パピーミルの特徴
崩壊に至るブリーダーの多くがパピーミル=子犬工場と呼ばれる業者。
その特徴として、
- 不衛生な環境
- 十分な運動ができない狭いケージ
- 十分な知識がなくても人気犬種であれば繁殖を行う
- 年2回以上の無理な出産を行う
※犬は年2回の繁殖期があるが、良質なブリーダーは母胎の負担を考慮して年1回の交配。また、5才以上は繁殖を引退させるのが一般的だが、それを越えても繁殖させる業者が問題になる。 - 特に最近見られる傾向として、人気の極小犬産出のため、餌を極端に少なく与えるなど無理な飼育を行う。
※障害のある子犬が生まれやすい。
これらは飼育頭数が数十頭~100頭以上の場合も多く、当然ながら管理が行き届かず、病気や障害のある犬もそのまま放置されているケースが多々あります。
※ただし、ブリーダーといっても様々な種類があり、特定犬種の血統を守ることを目的に、犬種および犬の繁殖について十分な知識を有し、良質な環境で健康な犬を繁殖している「シリアスブリーダー」と呼ばれる真の愛犬家もおり、明確に区別する必要があります。
犬達を救う取り組み
先に上げた法改正によって「終生飼育」が義務づけられ、不用犬として保健所に持ち込むことはできなくなりました。
また、ブリーダーの「動物取扱業」登録の際に、「犬猫等健康安全計画」に「販売が困難になった、あるいは繁殖に適さなくなった犬(猫)の取り扱いとして、連携する具体的な譲渡先や愛護団体」の記載が義務づけられたことで、保護団体が犬の保護に積極的に動けるようになりました。
こうして以前より状況が改善されたとはいえ、繁殖業者そのものの明確な定義付けや特定の資格制度などが設けられるまでは、保護犬が生まれるこうした背景もまた存続し続けると思われます。
保護犬が生まれるもう一つの理由。一般の飼い主
現在、保健所では個人による犬の持ち込みも簡単には受け入れず、新たな飼い主を自ら探すよう促す努力をしています。
迷い犬など引き取り手が現れない収容犬に関しては、各自治体の動物愛護センターにて里親希望者への譲渡、または登録保護団体が受け入れ里親募集するなど、保健所の引き取り数及び殺処分数は減少傾向にあります。
ただし、数としては減っているものの、依然、飼育放棄される犬はゼロにはなりません。
飼い主が飼育放棄する理由
引っ越し
引っ越し先の住居がペット飼育不可のため飼えなくなった。
経済状況の悪化
倒産、失業、収入減で飼育が困難になった。特に倒産の場合、経営者には中・大型犬愛好者も多く多頭飼いも見られるため、保護する側も受け入れに苦労する。
飼ったものの本人または家族にアレルギーが出た
飼い主が高齢で飼育継続が難しくなった
独居の親に、家族が犬を飼うことを勧めたものの、飼育者である親が病気または亡くなり、犬が行き場を失うケース。
または、もともと飼育していた犬が飼い主の高齢化で世話ができなくなった場合、犬も高齢であるケースも多く、里親探しもより難しくなる。
個人の多頭飼いが手に負えなくなった“多頭飼育崩壊”
次々と犬を購入し、避妊・去勢が追いつかなかった(あるいは最初から行わなかった)ために、自家繁殖が進み、個人では手に負えないほどの頭数になってしまったなど。
このケースでは、飼い主自身の心の問題もあり、飼育状況が悪く、悪臭や吠え声などに気付いた近隣住人からの通報で発覚することも。犬達の健康状態の悪さ、無作為な繁殖による遺伝的問題などが目立つ。
埼玉県庁の動物指導担当に問い合わせたところ、保健所持ち込み理由として、近年特に目立つのが、「経済状況の悪化によるやむを得ない引っ越し」と「飼育者の高齢化」が挙げられました。これは全国的な傾向であり、今後も増えることが予測されます。
保護団体、ボランティアの終わりなき闘い
ここまで挙げてきた行き場を失った犬達は、保護団体の多大な努力によって新しい里親を探す努力がなされ、幸せになる犬達も増えてきました。
しかし、一方では、限られた受け皿に対し、壊れた蛇口から漏れ続ける水のごとく、飼育放棄される犬は後を絶ちません。
保護に当たるのはNPO、非営利団体、または個人など様々ですが、保護犬達の医療費、餌代、交通費など多くが寄付や持ち出しでまかなわれているのが現状で、保護に関わる人々の負担は増す一方にあります。
保護犬をめぐる様々な現状
飼育頭数は減っているのに犬があふれている現状
日本の犬の飼育率は、毎年1%ずつ減少傾向にあるといいます。
なのにペットショップが新規開店していること、多くの子犬が産出され続けていること・・・そして保護される犬が絶えないということ・・・不条理かつアンバランスな現象が起きています。
飼う側の意識の問題
現在のたくさんの保護犬が生まれる背景には、「犬を飼うなら子犬から」といった“子犬信仰”、そして誰でも簡単にショップで犬が買える仕組みがあります。
そして、その犬種の特性を理解せず、安易に流行りで購入する購入者側の意識、「かわいい」というだけでより、スタンダード(基準)より極端に小さい極小犬を求めるなど、流行に左右されやすい側面が要因として挙げられます。
どのような需要であれお金に結びつく物事には供給がある、このことを忘れてはいけないと思います。
変わっていくべき保護犬の受け入れ
私が一時、ボランティアとして保護犬達を連れ歩く中、様々な人と会話する機会に恵まれました。
その中で、特に気になったのが、「かつて犬を飼っていた。また飼いたいけれど、もし自分が先に逝ったら可哀想だから飼えない」と仰る60代以降の方々がたくさんいたこと。
犬の保護・譲渡団体の中には、単身者や高齢世帯には譲渡しないところも少なくありません。しかし、ますます進む高齢化のいっぽうであふれる保護犬という現状において、譲渡範囲を広げる必要も出て来るでしょう。その際、飼い主が病気などで飼えなくなった時は、団体に戻し次の飼い主を探すなど、あらたなシステム作りが必要になるでしょう。
逆を言えば、そうしたシステムさえあれば、単身者や高齢者でも飼えるということ。幅広い意味での、保護する人と飼う側とのつながりがますます求められるのではないでしょうか。
里親になるということ=健康上の問題ごと引き受けるということ
繁殖引退犬や販売に適さない犬が多く保護されているということは、健康上様々な問題を抱えた犬が少なくないということです。
保護犬の里親になるということは、こうした現状があるということをしっかり念頭においていただきたいと思います。
こんなふうに強調するとマイナスイメージかもしれませんが、ペットショップで購入するとしても、その子犬の背景を考えれば、遺伝的疾患や健康上の心配は決して皆無ではありません。子犬の時には分らなくても、成犬になって発現することも十分考えられることです。
さいごに
繁殖業者からの保護犬を見てきて、様々なことを感じます。それは怒りというより、人の欲の犠牲となった犬達が一身に受ける不条理さ。
預かりボランティアのもとに搬送されてきた当初から、我が家の犬はとても人なつこく、聞き分けがよく、本当にそんな悲惨な場所にいたのかと疑いたくなるほどでした。
が、この子の体形なのだろうと考えていた首から背中にかけての固さが、我が家に迎え入れてしばらくすると消えていることに気がつき、さらに私が関わった他の保護犬達も同様、首の後ろがガチガチに固かったことを思い出しました。
言葉で語らない彼らが、体で自らの身の上を語っていたことに、改めて気付かされたのです。
これから犬を飼おうという人、また既に飼っている人も、ネットで検索すれば犬達に今、何が起きているのかを知ることができます。
どうぞ、新たに迎える犬は保護犬も選択肢に入れてください。
必ず、運命の犬に出会えるはずです。なぜなら、彼らは特別な関係を築ける誰かをずっと待ち続けているからです。
ユーザーのコメント
50代以上 女性 匿名
うちでも ダックスを 飼っていて いつも一人にしてしまうからと 里親として 一匹を 貰う予定でいましたが いつも一緒に 居たからと 2匹のダックスを 譲り受けました。譲り受けて家に着いてから気づいたのですが2歳の子は右足の指が奇形になっていたし4歳の子は舌がちょっと横からって感じで…2匹とも爪は延び放題毛はカラマリ放題身体はガラガラ…餌さをあげたらガッツク❗って感じ
トイレちゃんとできてたって言ってたけど全くダメ…家族とも大変だけど引き取って良かったって言ってます。この子たちも家族だから幸せにしてあげたいです。
50代以上 女性 匿名
40代 女性 匿名
40代 女性 あお
一匹でも多くのわんちゃんたちが救われることを願っております。私一人では非力ですが、多くの人たちが保護犬のこと、ペットショップビジネスの実態を知ってもらえることを願うばかりです。
30代 女性 匿名
家族が反対してます。
犬を飼うことは家族全員が賛成です。
でも保護犬を団体から引き取る事に賛成が得られません。
主人は
◎身分証のコピーを簡単に他人に渡すべきではない
◎寝室や他のプライベートなスペースに他人を通すべきではない
息子は
◎去勢、避妊手術はさせたくない
(犬なのだから本来、命に関わる病気の治療以外で外科手術など身体にメスを入れる事は反対。
繁殖はさせたくないし、多頭飼いもしたくないから尚更必要がない)
※前に飼っていた犬♀は首にカプセルを埋め込むタイプで負担の極力少ない避妊方法でした。
◎飼い主なのに引き取った後に報告の義務や団体の指定した飼い方をしなければいけないのはおかしい。
飼い主としての自由や権利がない。
との事でした。
あと、
譲渡費用もペットショップは生体の価格、ワクチンの価格が明記されていますが、
団体さんに寄付または譲渡金として設定されているもの全てに領収書や証明書があるわけではないから気持ちが悪いと。
何に使われるか保証がないし、お金をかけるなら確実に自分達の犬にかけたいという事です。
犬を飼う側も本気だし、犬の一生を預かる責任があるので
やはり飲めない条件があります。
こういった飼育方針の場合は
やはり保護犬は譲渡していただけないのでしょうか?
50代以上 女性 マミコ
50代以上 女性 匿名
先日、里親募集のページを見てたら元気をもらえそうな
可愛い子が載ってたので早々にメッセージで連絡をしたところ
返信が「地元でしか譲渡しない」との返信でした。
個人情報を提供されて承諾までし
メッセージを送ったのに返信がコレでした。
車を飛ばせば2~3時間の場所なのに地元だけとは?
申し込み者が高齢でも成人した子供も居て
家族も賛成してたのに…
終生まで可愛いがるのだから里親だって欲しい子を
選びたいです
命を助けて!と募集するなら、せめて
一度、会いに来て見て下さい!位の言葉が出ないのか?
と思いました。
譲渡時にワクチン料金等を払うのは分かりますが
外飼いしてた子を室内飼いしてくれとか
トイレの躾もしてない子を里親に躾をしてくれとか
譲渡の条件が厳しい
里親になりたいと思う側は承知の上で申し込みをしてます
高齢者だって元気な人も居るし
外出が多い若い方達より接して時間が有るのに何故
高齢者不可とかあるか?(高齢者は何歳からなのか?)
飼う側だって先の事は考えてます
我が家のペットは皆んな里親募集とか保護した子ばかりでした。
早くペットロスから抜け出したいと思い
やっと見つけた子が地元ではないから!との事で
もし里親さんが見つからなかった場合の事の方が心配します!
こうした経験をしたので初めて
ご近所のお年寄りを召した方がペットショップで
購入されて来てるのが少し分かる気がしました。
可哀想な子達が増える一方で譲渡する側が吟味してる
欲しくてペットショップで購入してしまう
これでは可哀想ペットは減らないイタチごっこだと思いました。
乱文でスミマセンm(_ _)m
50代以上 女性 匿名
先日、里親募集のページを見てたら元気をもらえそうな
可愛い子が載ってたので早々にメッセージで連絡をしたところ
返信が「地元でしか譲渡しない」との返信でした。
個人情報を提供されて承諾までし
メッセージを送ったのに返信がコレでした。
車を飛ばせば2~3時間の場所なのに地元だけとは?
申し込み者が高齢でも成人した子供も居て
家族も賛成してたのに…
終生まで可愛いがるのだから里親だって欲しい子を
選びたいです
命を助けて!と募集するなら、せめて
一度、会いに来て見て下さい!位の言葉が出ないのか?
と思いました。
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外飼いしてた子を室内飼いしてくれとか
トイレの躾もしてない子を里親に躾をしてくれとか
譲渡の条件が厳しい
里親になりたいと思う側は承知の上で申し込みをしてます
高齢者だって元気な人も居るし
外出が多い若い方達より接して時間が有るのに何故
高齢者不可とかあるか?(高齢者は何歳からなのか?)
飼う側だって先の事は考えてます
我が家のペットは皆んな里親募集とか保護した子ばかりでした。
早くペットロスから抜け出したいと思い
やっと見つけた子が地元ではないから!との事で
もし里親さんが見つからなかった場合の事の方が心配します!
こうした経験をしたので初めて
ご近所のお年寄りを召した方がペットショップで
購入されて来てるのが少し分かる気がしました。
可哀想な子達が増える一方で譲渡する側が吟味してる
欲しくてペットショップで購入してしまう
これでは可哀想ペットは減らないイタチごっこだと思いました。
乱文でスミマセンm(_ _)m