知っていますか?犬のプラスチックアレルギー

知っていますか?犬のプラスチックアレルギー

アレルギーは厄介なものですが、原因のわからないものは特にたいへんです。犬に稀に起こると考えられているアレルギーのひとつにプラスチックアレルギーがあります。その概要をご紹介します。

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記事の監修

東京農工大学農学部獣医学科卒業。その後、動物病院にて勤務。動物に囲まれて暮らしたい、という想いから獣医師になり、その想い通りに現在まで、5頭の犬、7匹の猫、10匹のフェレットの他、ハムスター、カメ、デグー、水生動物たちと暮らしてきました。動物を正しく飼って、動物も人もハッピーになるための力になりたいと思っています。そのために、病気になる前や問題が起こる前に出来ることとして、犬の遺伝学、行動学、シェルターメディスンに特に興味を持って勉強しています。

プラスチックアレルギーって何?

ペットボトルを咥えた犬

犬に起こるアレルギーの原因には様々なものがあります。犬でも人間でもあらゆる物質がアレルギーを起こさせる可能性がありますが、中にはプラスチックに対するアレルギーを発症する犬もいるそうです。
プラスチックは生活の中のあらゆる製品に使われていますし、アレルギーの診断自体が他の病気を全て除外して行うものなので、プラスチックアレルギーがある場合の診断はとても難しいのですが、こういうものがあると知っておくことが診断の助けになる場合もあります。

プラスチックには多くの種類があり、その中の一つだけ又は複数に反応する場合があるでしょう。また、プラスチックの成分そのものではなく、プラスチック製品に含まれる金属や着色剤、紫外線吸収剤に反応してアレルギー症状が出ることも考えられます。
ペットボトルに利用されるポリエチレンテレフタレート、シャンプーやコンディショナーのボトルなどに使われる高密度ポリエチレン、ラップやビニール袋に利用される低密度ポリエチレン、食品用容器などに使われるポリプロピレン、哺乳瓶やメガネによく使用されるポリカーボネート、食品が触れるものには使われないけれども配管などに使われるポリ塩化ビニルなどが生活の中で見られる主なプラスチックです。
これらのうち、その犬にとってアレルゲンとなるものに接触することで、犬の免疫系が体に異物が入ったと判断して過剰に反応し、その結果炎症によって皮膚に痒みや赤み、痛みなどをもたらします。

プラスチックアレルギーの症状

プラスチックアレルギーは、アレルギーの中でも接触性皮膚炎と呼ばれるものです。
犬用おもちゃ、水入れ、フードボウル、食品容器などは犬がよく接触するプラスチック製品です。そのため接触性皮膚炎による皮膚症状は前足と顔周辺に多く現れることがよくあります。

皮膚症状には次のようなものがあります。

  • 部分的なハゲ
  • 水泡
  • 足、足指の間などの炎症
  • 痒みを伴う紅斑や蕁麻疹
  • 皮膚の発疹、潰瘍

前足を使って顔をこする、頭を振る、常に足などを舐める又は噛むなどの行動は、顔や足に痒みや違和感があるサインです。また、もし首輪やハーネスにプラスチックの部品があり、そのプラスチックに対してアレルギーを起こしている場合には、その部品があたる部位に痒みや、赤み、脱毛などの症状が見られるでしょう。
また、接触性皮膚炎による痒みなどのせいで皮膚を舐めたり噛んだりすることで、二次的に細菌感染を起こすこともあります。

原因がプラスチックアレルギーなのかどうかにかかわらず、これらの症状が見られたら、病院で診察を受けましょう。

プラスチックアレルギーの診断と対策

足に薬を塗られている犬

プラスチックが原因の場合だけではなく、犬のアレルギー性疾患の診断では、その症状を引き起こす可能性のある他の病気を全て除外することがとても大事になります。アレルギー性疾患は1つの検査や1回の診察だけで診断できるものではありません。犬のアレルギー性疾患の診断に使われる血液検査や皮膚検査もありますが、プラスチックが原因である場合に利用できる検査はありません。そのため、プラスチックアレルギーが疑われる場合には、考えられる他の病気を全て除外すること以外に、飼い主さんの自宅での観察、プラスチック製品との接触と症状の発現に関連があるかどうかを判断することがとても重要になるでしょう。また、アレルギー性疾患に関してだけではありませんが、病院では皮膚病の診断のために皮膚サンプルを採取し、皮膚の細胞診、病理学的検査によって診断が行われることもあります。
プラスチックに対する接触性皮膚炎と診断された場合、治療には内服薬や軟膏(抗ヒスタミン剤やステロイドなど)や、適切なシャンプー剤などが使われます。二次的に細菌感染が起きている場合には、抗生物質が処方されることもあるでしょう。獣医師のお話をよく聞いて、指定された期間きちんと投薬することが大切です。

しかし犬の皮膚症状がプラスチックに対する接触性皮膚炎だとわかった場合に治療で最も大事なことは、犬がプラスチックに接触しないようにすることです。フードや水のボウルはステンレスや陶器のものに変更します。
おもちゃ類もプラスチック製のものは一切避けて、ゴム製や布製のものに替えます。
意外なところでは、カーペットの繊維にリサイクルプラスチックが利用されていることがあるので、プラスチックが原因の接触性皮膚炎だと診断された場合には家中の布製品、犬が触れる可能性のあるものをチェックしてみることが必要です。

まとめ

プラスチック製のフードボウル

犬のプラスチックアレルギーというものがあること、症状や対策などについてご紹介しました。
意外なところに意外な病気の原因が潜んでいることがあります。実際に診断を下し治療方針を決定するのは獣医師ですが、犬の症状や行動が「おかしい」と感じて病院に連れて行くのは飼い主の仕事です。
うっかり見過ごしたり、様子を見過ぎて犬の苦痛を長引かせることがないよう、気持ちと目を配りたいものです。

《参考URL》 https://wagwalking.com/condition/plastic-allergies

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