犬の誘拐って本当に起きているの?
犬の誘拐=連れ去りが最も起こりやすいのが買物に行った店先に犬をつないでいるときです。「ほんの数分だから」「店から見えるから」とついつい油断して店先に犬をつないでしまう人は多くいますが、実は非常に危険な行為なので決してしないようにしてください。犬の誘拐が店先につないでいるときに起こりやすいのは、店先であれば不特定多数の人が通りますし、言葉を発することができない犬が相手なので、周囲で見ている人がいたとしても連れて行こうとしている人がその犬の飼い主かどうかは判断することができないためです。
また、犬の場合人間の誘拐とは異なり身代金の要求や脅迫といったことはほとんどなく、そのまま自分で飼ったり転売したりすることが目的です。そのため誘拐されてしまうとその後の足取りが非常にわかりにくいため、防犯カメラなどの証拠映像がない限りなかなか見つからないと言われています。
犬の誘拐に関する法律や罰則について
犬を誘拐することはまず『窃盗罪』にあたります。『略取』『誘拐』『監禁』などニュースやドラマの中で聞かれるような罪は、人間が対象となっているため犬が連れ去られた場合にはそれらの犯罪としては適用されないのです。残念ながら犯罪などに関する法律の中で犬は基本的に“物”“所有物”として扱われます。そのため犬が連れ去られた場合でも窃盗罪となるのです。ただし、犬を虐待する目的で誘拐した場合には『器物損壊罪』や『動物愛護管理法違反』になることもありますが、これらも刑罰としてはとても軽く、しかも実証すること自体が難しいと言われています。
また、犬が誘拐された場合でも明らかな連れ去りの証拠がない限り、脱走(逸走)の可能性もあると考えられ被害届が受理されなかったり、すぐには対応してもらえなかったりする場合もあります。犬の誘拐に関しては警察などに相談してもなかなか思うような対応をしてもらえず、解決が困難な場合もあるので店先につないだり外飼いをやめたりする、マイクロチップを入れるなど、できる限り予防に努めることが大切です。
犬を店先につなぐことで起こるリスク
犬の誘拐の危険性や法律について解説してきましたが、犬を店先につなぐことについては誘拐以外にも様々な危険性があるので十分注意しなければなりません。
脱走、迷子
犬をしっかりとつないだつもりでも、リードや首輪が外れてしまうことは十分に考えられます。ふだんは脱走などするタイプではなくても、飼い主に置いていかれたことからパニックになって思いもよらない行動を起こして、脱走に成功してしまうことも珍しくありません。飼い主の後を追って店に近づいてくれれば発見することができると思いますが、パニックになりどこかに探しに行ってしまったら見つけることが難しくなりますし、それこそ誘拐との区別もつきにくくなってしまいます。
犬へのいたずらや虐待
世の中には犬が嫌いな人もたくさんいます。犬好きな人からすれば「どうしてそんなことができるの?」と思うようなひどいことをする人たちも実際にいます。そのため、飼い主がない状態で店先につながれている犬は、そうした人たちのターゲットになってしまうことも。通りすがりにからかわれたり蹴られたりするだけでなく、毒入りのおやつを食べさせられたりする危険性だってあるのです。
他人や犬に対する咬傷事故
店先につながれている犬を見て、犬が好きな人や子供は「かわいい」と近づいていくことがあります。飼い主がいない状態で犬に近づいたりなでたりすることで、犬がびっくりして相手を噛んでしまったり、うれしさで飛びついて押し倒してしまったりと思わぬ事故につながることもあります。愛犬が被害を受けるだけでなく加害者になってしまうということも十分頭に入れておきましょう。
まとめ
散歩の途中に買物に立ち寄り、犬を店先につないでいたら誘拐されてしまったという事件はそう珍しいことではないようです。しかしながら事件性を立証することが難しかったり、誘拐そのものの罰則がなく刑罰も非常に軽いものしかなかったりと、犬の誘拐を取り巻く状況は飼い主にとって優しいものではありません。
大切な愛犬を誘拐はもちろん、他者からのいたずらや思わぬ事故・トラブルから守るためにはやはり予防が重要な鍵を握ります。不特定多数の人が通りかかる店先や人目につきにくい店の裏などに犬をつないでおくことは非常に危険な行為で、そうした事故やトラブルを招きかねません。ほんのちょっとの油断で後悔をすることのないよう、愛犬を店先につないでおくことは絶対にやめましょう!