保護犬、保護猫のオンラインプロフィール写真の重要性
イギリスには大規模な動物保護団体がいくつもありますが、中でも最大の規模を持つのが1824年設立の王立動物虐待防止協会(以下RSPCA)です。RSPCAはその名の通り、動物への虐待防止のための活動や教育、新しい家庭が必要な保護犬や保護猫のリホーム活動などを行っています。
そのRSPCAが最近発表したリサーチから、保護犬や保護猫のリホームのためのオンラインプロフィール写真の重要性が改めて明らかになりました。RSPCAが行ったアンケート調査によると、56%の人が「保護動物のオンラインプロフィール写真が良く写っていないと目に留まらない」と答えています。また、動物を家族に迎えるとき、44%の人が「動物の外見が重要」だと答えています。
さらに19%の人が「ペットと一緒に高品質の自撮りをすることは重要」とも答えています。まさにSNSなどで画像をシェアするのが当たり前となったデジタル時代を映した結果とも言えます。
RSPCAとファーウェイ社の提携
新しい家庭を待っている保護犬や保護猫の写真が重要であることは、昔から言われ続けていることでもあります。一昔前なら、高品質の画像を撮影するためには一眼レフのカメラとそれなりの腕前が必要だと考えられていましたが、今はスマートフォンで誰でも手軽に綺麗な画像が撮影できます。
そのような状況を受けて、RSPCAは中国の通信機器メーカーであるファーウェイ社との提携を発表しました。高品質なレンズと高度な画像調整機能を持つ機器の提供を受け、スタフォードシャーブルテリアなどリホームが難しいと言われる犬種や、黒猫など撮影が難しい動物の譲渡戦略に積極的に活用したいと述べています。
通信機器メーカーとして後発であるファーウェイ社のイメージアップ戦略と、動物保護団体のニーズが一致した提携と言えるでしょう。
デジタル時代の保護動物の譲渡戦略
歴史のあるRSPCAが、企業の戦略に取り込まれていることに不快感を示す人もいるかもしれません。けれども、オンラインプロフィールを綺麗に撮影した画像にするだけで、保護動物が人の目に留まる機会が増えるなら、それを採用しない手はないですし、企業が機器を提供してくれるなら断る理由もありません。
また、ペットを迎える際に動物の外見が重要であるとか、ペットと一緒の可愛い自撮りが大切だというアンケートの結果をバカバカしいと感じる方もいるでしょう。しかし、時代の流れがそうなっているならそこに目くじらを立てるよりも、今家族が必要な犬や猫を「外見重視仕様」「自撮りOK仕様」にして紹介した上で、「でもそれだけじゃないんだよ」という教育活動を行えば良いことです。幸いRSPCAには様々なレベルでの教育のノウハウが揃っています。
「ペットのインスタ映え」をくだらないと言ってしまうことは簡単です。けれども譲渡のための戦略を立てるときに時代の流れを無視することはできません。「いいね」をたくさん得るためには、犬や猫の手入れを綺麗にして、健康に保つために食べるものや運動にも気を遣い、可愛い表情を撮るために信頼関係を築くこと。こんなことを伝えていくのも、デジタル時代の戦略のひとつではないでしょうか。
まとめ
イギリスの王立動物虐待防止協会が実施したアンケート調査の結果から、保護動物のプロフィール写真の重要性や人々の動物の写真映りを気にしていることが改めて分かったということをご紹介しました。イギリスのお話ですが、この傾向は日本も含めて世界中で見られるものだと思います。日本で保護活動をしていらっしゃる方々、犬や猫を家族に迎えたいと考えている皆さんの考えるきっかけにしていただけたら幸いです。
《参考》 https://www.rspca.org.uk/whatwedo/latest/details/-/articleName/2019_04_17_huawei_partnership