保護犬とふれあえるカフェとは
「保護犬とふれあえるカフェ」とは、 保護団体によって保護された犬と新たな飼い主をつなぐ場所として、保護犬との出会いと譲渡を目的に作られたカフェのことです。カフェのようにコーヒーやジュースを飲みながら、誰でも自由に保護犬たちとふれ合うことができます。譲渡会と目的は同じですが、くつろぎながら気軽に保護犬たちと遊ぶことができるため里親探しの新たな道として注目されています。
カフェを訪れたからといってすぐに引き取り義務が発生することはなく、気に入った犬がいた場合に譲渡を申請することができます。カフェにいる犬には、飼育放棄されたり繁殖用としてブリーダーの元で飼われていたりと様々な事情があります。生涯に渡ってケアが必要になるほどの心身ともに傷を負った犬がいることも知っておきましょう。
都内で保護犬のいるカフェ
保護犬のいるカフェの仕組みはカフェによって多少の差がありますが、多くはワンドリンク制で犬とふれ合うことができるようになっています。カフェによっては時間制限があり、延長するには追加で料金がかかる場合があります。
1. CATS&DOGS CAFÉ
「CATS&DOGS CAFÉ」は、東武伊勢崎線曳船駅から徒歩10分のところに位置する保護犬が集まるカフェです。フードメニューには、本日のプレートやナポリタンなどの他にも犬用メニューが用意されており、注文して犬に与えることもできます。
施設内は犬エリアと猫エリアの2つに分かれており、地域やセンターで保護された犬や猫の里親探しを行っています。里親を希望する場合にはスタッフが飼育環境を確認し、2週間のトライアルを行います。そこで問題がなければ正式に譲渡されるという流れになります。
2. HOGOKEN CAFE®西八王子店
「HOGOKEN CAFE®西八王子店」は、犬や猫の殺処分ゼロを目指し営業を行っている、日本初の保護犬のためのカフェです。施設内はペット同伴可能でテラス席もあり、飼い犬とゆっくり過ごすことができます。現在は大阪を中心に、兵庫や千葉、東京にも店舗があり、売上の全てを犬と猫を保護する活動のために使っています。
3. いぬねこcafe Lua
「いぬねこcafe Lua」でも、犬や猫の里親募集を行っています。犬たちの中には保護犬だけではなく、日帰りで預かっている犬やトリミングのためだけに来店した犬なども含まれています。
このカフェの特徴は、平日午後3時半から午後4時半までの間は、小学生だけでも利用可能という点です。犬や猫が好きな子どもたちに「ペットショップで買う以外に保護犬の里親になる方法もある」「ペットは飼い始めたら最後まで面倒をみる」などといったことを伝えているそうです。
カフェにいる保護犬を引き取って里親になるには
カフェで気に入った保護犬が見つかった場合でも、里親としてすぐに引き取れるというわけではありません。まずは他に引き取りを希望している里親候補がいないかを確認します。その後保護団体のスタッフとの面接や相性を確かめる準備期間を設けるなど、様々なステップをクリアしてはじめて受け入れという流れになります。
引き取り条件を確認する
カフェから保護犬を譲渡する条件は団体により異なりますが、決められている条件を全てクリアする必要があります。
- 責任を持って飼育できることが約束できる
- 保護犬との相性がよい
- 経済的に余裕がある
- 高齢でない
- 飼育に適した場所がある(室内飼いできるなど)
- 長時間家を留守にしない(職業や勤務体制)
- 家族が全員引き取りに賛成している
- 幼い子どもがいない
上記の条件以外にも、家族構成や住居形態が持ち家か賃貸か、ペットの飼育経験があるか、現在飼っているペットがいるかなどについてもスタッフさんとの面接で詳しく聞かれます。
カフェによってはその団体の会員になることを、保護犬の里親になる条件としてあげているところもあります。
誓約事項を理解する
様々な条件と合わせて、カフェが提示する誓約事項についても確認しておきましょう。
- マイクロチップの装着や登録
- ワクチン接種を受けさせる
- ペット保険に入る
- 避妊去勢手術を受けさせる
カフェの保護犬たちは、すでにマイクロチップを装着した状態で里親の募集をしています。マイクロチップを装着することで、飼い主の情報がわかり、犬が迷子や災害などで保健所に収容されても誤って殺処分されることを回避できるためです。保護犬はワクチン履歴が分からないことがあるため、伝染病対策として必要なワクチンを接種してからの引き渡しとなります。
避妊去勢手術やペット保険の加入は任意としているところもありますが、望まない子犬が生まれることや医療費の負担などを軽減するため、誓約事項に掲げているカフェが多いようです。
契約する
様々な条件や誓約事項、面接を全てクリアし、カフェにいる保護犬の里親になる資格があると判断された方のみ譲渡契約書を交わすことができます。契約が完了した後に、引き渡しという流れになりますが、カフェによってはホームページに載せるための写真をお願いされることもあります。
カフェで保護犬を引き取る際の注意点
条件が厳しい
カフェで保護犬を引き取るには先に挙げた様々な条件以外にも、引き取り後に定期的に近況報告をすることが条件に組み込まれている場合もあります。保護犬が再び捨てられひどい扱いを受けないよう、厳しい条件が課されているということを理解しましょう。このように時間や労力がかかるということを全て理解した上で、里親を希望したい方は申込みを検討しましょう。
費用がかかる
カフェでは保護犬の譲渡にかかる費用は無料ですが、ワクチン代や病院での治療費など今までにかかった医療費を請求されることが多いようです。またマイクロチップの登録や去勢手術、ケージやトイレ、おもちゃといった生活必需品の購入などにもそれぞれ費用がかかります。
後になって困らないよう、費用については事前に把握しておきましょう。カフェの収入は、愛護センターから保護犬を引き取る際に必要な経費として充当されます。
しつけができていない
カフェにいる保護犬たちは、トイレなどのしつけができていないことが多いようです。それは繁殖犬として何年もケージに閉じ込められていたり、飼育放棄されていたりすることが原因です。
しつけ以前の問題として、人間が怖くて吠えたり噛んだりといった行動をとってしまうことがあります。保護犬を引き取るということは、ペットショップにいる犬を迎えるのとは違うということを知っておきましょう。
まとめ
保護犬とふれあえるカフェは、人間の手で放棄された犬たちの里親探しができる新たな場所として全国に広がっています。
保護犬を引き取る前にはその犬と十分にふれ合い、生涯育てていくという覚悟を持つことが大切です。譲渡の条件は厳しく設定されていますが、全ては犬のためであるということをしっかりと理解し、必要な準備をしっかりしてておきましょう。