クローンを生み出すサービス
皆さんは「クローン」という言葉を聞いたことがありますか?一般的に同じ物を生み出すことをクローンと言いますが、実は今、世界で犬のクローンサービスが行われており、賛否両論を巻き起こしているというのです。一体、どういうことなのでしょうか。
2006年より韓国でサービス開始
まず、この犬のクローンサービスが行われているのは、日本のお隣・韓国です。2006年から韓国のとある研究所でサービスが開始されました。
2006年以前に羊によるクローン化は成功していたため、その技術を使い、最愛の愛犬をクローン技術によって再度復活させようという試みです。1体約10万ドル(日本円にして約1000万)でサービスが受けられ、毎月15体ものクローン犬が生み出されているそうです。
仕組みですが、クローン化させたい犬の体細胞から取り出した核を使います。その核を別の犬の卵子に移植することで、新たにクローン犬として生まれ変わらせるという技術です。
これで愛犬とまったく同じ犬が生まれてくるのかという疑問は残りますが、クローン化の成功率は30%と意外にも高く、遺伝子的にほとんど同じ犬が生まれてくるそうです。なんだか映画の世界の話を聞いているようですが、これが現実で行われているのです。
実はアメリカでも同様の事が行われていた
このクローン化が過去に行われた例は韓国だけではありません。世界でも特に犬を飼っている家族が多いとされているアメリカでは、バイオ技術会社によってクローン犬が誕生させられたという話もあります。
ある夫妻の愛犬が選ばれたそうですが、亡くなってしまった愛犬の遺体を冷凍保存し、バイオ技術会社に渡った後、10ヶ月後に復活したと報道されています。
クローンには問題点も多い
犬を飼っている人であれば、愛犬が亡くなった後「もう一度会いたい」と誰もが思うでしょう。そんな人にとって、愛犬のクローン化は少しは魅力的に映るのかもしれません。しかし、クローン化に問題点が多いことも忘れてはいけません。
クローンは病気になりやすい?
これはまだ確証はなく、研究結果としても提示されていない説ですが、クローン化されて生まれてきた犬は、普通に生まれてきた犬に比べると健康面で不安が残るのではないかと言われています。
実は過去にクローン化が成功したクローン羊について、普通の羊の約半分の年齢で寿命を迎えてしまったり、病気を患い亡くなってしまったという例が多数報告されています。
寿命が縮むという点においては、寿命に達するまでの期間についても見逃せません。通常の羊に比べて、明らかにクローン羊については老化の進みが速かったといいます。これを考えると、同様の事がクローン犬にも言えるのかもしれません。
クローン作りは犠牲を伴いやすい
先ほどクローンを復活させる際の成功率は約30%ほどであると話がありましたが、これをよく考えてみると70%は失敗に終わっていることになります。一見、クローンという難しい技術が3割の高さで成功していると感じますが、その背景には犠牲になった命が7割もいるということになるのです。
つまり、別の母犬になる犬の卵子に核を移植し、新しい命が誕生するわけですが、正常に生まれてくる子はほんの3割で、あとの7割は流産してしまったり、死産になってしまっているのです。
あとの7割もクローンでありながら、この世に生まれてくるはずだった命に変わりはありません。このような犠牲が出るとわかっていてもクローン化を行うべきなのか、という点も問題視されるべきでしょう。
クローン犬については賛否両論
この犬のクローンサービスについては、世界中で話題になり賛否両論あります。やはり大好きだった愛犬が再び自分の前に現われたら、という飼い主としての願いを持つ人は非常に多いです。過去に愛犬をなくした経験を持つ人ならば、一度は想像してしまったという人も多いのではないでしょうか。
しかし、全体を通してみると、クローン犬については反対意見が多いです。やはり、愛犬は唯一の存在であり、クローンで遺伝子的に同じ犬が復活したとしても、それは愛犬ではない、さらに倫理上容認できないことであるといった意見が多いです。
犬に限らず、生命を持つ生き物のすべてが人生1度きりだからこそ、その人生を思い切り楽しめるのですし、人間からしても「この子を大事に育てよう」「たくさん愛してあげよう」と決意するのではないでしょうか。
何度も生まれ変わることができるクローン化がこのまま進んでしまえば、犬を飼うことの大変さを理解せず、家に迎えてしまう人が今以上に多く出てきてしまうかもしれません。クローンをサービス化する事は、もう一度考え直す必要があると思われます。
まとめ
今回は犬のクローンサービスの実態、そして世界中で巻き起こされている意見をご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。ちなみに筆者は最後にもお話ししたとおり、愛犬もクローン化には全面的には賛同できません。皆さんはこのサービスについて、どうお考えでしょうか。