みなさんは、愛犬をプロのカメラマンに撮影してもらったことはありますか?
自分で撮った愛犬の写真よりも一味も二味も違う可愛い写真に仕上げてくれる犬のカメラマン。今回はそんな犬のカメラマンをしている『しゃしんとえのお店tone』のオーナー杉浦さゆりさんにインタビュー取材をさせていただきました。
元々は人のみの撮影をしてきた杉浦さんでしたが、ご自身のお店をオープンさせると同時に人だけでなく犬を撮影していく決意をし、犬のカメラマンとして日々お仕事をなさっています。
犬のカメラマンになりたい方や愛犬の写真撮影に興味がある方はもちろん、今までプロによる愛犬の写真撮影に興味がなかった方にもぜひ、読んでいただきたい内容となっております。
犬のカメラマンとしてのお仕事についてや、犬に対する愛情ある思いは必見ですよ。
犬のカメラマン杉浦さゆりさんへインタビューQ&A
Q1どうして犬を撮ろうと思ったのですか?
A,私の旦那さんが犬のアレルギーで、わんちゃんが好きだけど飼えなかったんですね。それで、家で飼えないならわんちゃんの写真をかわいく撮ろうかなと思ったのが一つ目のきっかけで、もう一つは、うちの母がわんちゃんを飼うって言ってわんちゃんをもらってきたんですけど、飼い始めて3カ月目のお散歩中に急に具合が悪くなってしまって、そのまま亡くなってしまったんです。
その時に、その子の写真が全然残ってなくて、もっと写真を撮っておけば良かったなという後悔があって、”わんちゃんを飼っている人にそういう気持ちになってほしくない。”わんちゃんとの幸せな時間はずっと続くわけじゃないから、今の幸せな時間をちゃんと写真に残しておいて、いつか来るお別れの時に少しでも寂しくないように思い出が残せたらいいなという気持ちがありました。そこから、わんちゃんの写真ってやっぱり大事だなって思ったのが犬のカメラマンになろうと思ったきっかけですね。
Q2犬のカメラマンは実際どういうお仕事ですか?
A,犬のカメラマンは、”今の幸せを切り取って思い出として残してあげる”っというのが私の仕事かなと思っています。
わんちゃんは人間よりもやっぱり寿命が短いので、悲しいですけど、どうしても人よりも先にお別れが来ちゃいますよね。なのでそのわんちゃんとの密な期間、10年なら10年間でもわんちゃんと過ごせた期間に写真屋さんに行くことがひとつの思い出になるし、それが、10年後20年後わんちゃんとの写真を見返した時、それで少しでも飼い主さんの気持ちが楽になったり、幸せな気持ちに戻れたりしてほしいなと思うんです。
そのような思いを込めて、犬のカメラマンという仕事は”今を切り取る仕事”ですね。
Q3犬のカメラマンとしてのやりがいはなんですか?
A,写真を撮りに来てくれる飼い主さんとわんちゃんってみんな幸せそうなんですよ。飼い主さんとわんちゃんがすごい愛情を持って暮らしているのが伝わるのでその愛を写真に収めることができるのがすごいうれしいですね。
撮影の後も喜んでもらえたりするのですごくうれしく感じます。やっぱり、「10年後20年後そのお客さんが写真を見たらどう思うかな」とか、その先のことに対しても私は楽しみをもらっているような感じです。それがやりがいですね。
Q4犬のカメラマンをしていて苦労することはありますか?
A,そうですね、わんちゃんがスタジオ内でおしっこしちゃうんですよね。それがどうしたらいいのかわからないんですよね……。
結構な頻度でうんちおしっこをしちゃうので……。背景に布を引く時があるんですけど、そこにされちゃうと布を洗濯してもなかなか臭いが取れないので結局他の子がにおいをかいでまたしちゃって永遠のループになっちゃってます。
トイレシートにできる子もいるのですが、みんながみんなできるわけではないのでね。やっぱりそれが大変でですかね。
でも、みんなおりこうさんなので、大変だなと思うことはそれぐらいしかありません。
やっぱりわんちゃんみんなちゃんと言葉を分かってくれているので、撮影中「おかえり」「パパ来たよ」とか「○○先生だよ」とかわんちゃんの好きな言葉を言ったら反応してくれるんでみんな可愛いです。こんなにも言葉が通じるんだなって思うし、みんないい表情をしてくれます。
Q5カメラマンとして、犬、飼い主さんを見て感じることはありますか?
A,写真を撮りに来てくれる飼い主さんとわんちゃんはやっぱり”絆が深い”ですね。すごい愛情をかけているのがすぐに伝わります。
しつけとかに関しても、飼い主さんがすぐに抱っこせず「ほらこっち来て~」とか言ってわんちゃんが自ら来るのを待ってはじめて抱っこしてらして、本当にわんちゃんを主張してわんちゃんを可愛がっているんだなというのが色んな飼い主さんから知ることができ、愛情を感じますね。
Q6この仕事を始めて犬に対する気持ちはどう変わりましたか?
A,もうこの一言に尽きるのですが、「わんちゃん本当にすごい!!」です。来るわんちゃんみんなおりこうさんなんですよね。
これは、わんちゃんの七五三の撮影時のお話なのですが、七五三だと人と同じように、わんちゃんにも着物を着せて撮影をするんですね。わんちゃんの着物の場合、後ろ側に帯があるのですが、やっぱり着物って帯を見せたいじゃないですか。”七五三で着物着ました” ”かわいい帯がついてます” ”帯も撮りたい”ってなった時に、後姿で撮影をするんですね。その時に顔だけカメラの方向に向けるわんちゃんがいて、しつけ教室とかでもそれを教えてくれたりとかもしてるのですが、そのしつけ教室に通ってないけど、飼い主さんの指示でできる子がいて素晴らしいなって思います。本当に人間みたいですね。人間と同じなんだなって思います。
この仕事をするまでは、まさかこんなにできる子がいるなんて思ってもいなかったですね。
Q7犬を撮影するのにおすすめの時期ってありますか?
A,とりあえず、ダメな時期は6月7月8月です。この辺は暑すぎてわんちゃんすごく元気なくて、撮影中も「疲れた~暑いなぁ」ってなっちゃうので、この3カ月間は撮影は不向きですね。
この時期に、インスタ映えでもし撮るならば、プールのついているドッグランさんとかあるのでそういうところで夏場に写真を撮ったり、遊んでいる写真を撮ったりするとわんちゃんいいと思うんです。だた、わんちゃんプールに入れない子もいるのでね(性格や犬種などにより)…。
あとは、秋と年末は年賀状用の写真撮影などで結構予約が入ってきてしまうので、秋と冬は混んでますね。なので、4月5月の自然が生き生きとしてくる新緑の時期は写真撮影としてはおすすめです。桜の下でわんちゃんを撮るのもいいですしね。
Q8撮影に来る飼い主さんへのアドバイスはありますか?
A,撮影の時は飼い主さんに衣装を持参してもらったりしています。飼い主さんご自身でわんちゃんのために作った小物や衣装で撮影してくれたりするとより一層いい写真になるし、それが良い思い出になったりします。
10年後20年後に見返した時「あっこの時うちの子のためにこの衣装作ってあげたな」「この撮影の前に徹夜して作ったな」とかそういう思い出もプラスされるのでよりいい写真になります。
この話はある3頭のわんちゃんを飼っているお客様の話なんですが、3頭分の着物と帯と筥迫まで作って撮影に来てくれたことがあって、それもやっぱり徹夜で作ったとおっしゃってましたね。でも、その記念が一生の思い出だと私は思うんですよね。
わんちゃんたちのためにそれぞれに合うサイズや色を自分で考えて1着1着作ってくれて、その愛情をすごい感じたので、私もこれは「すごいいい写真を撮ろう!」って思えました。それだけではなく、飼い主さんがわんちゃんを思って撮影に来てくれてた気持ちがすごく伝わってきました。
なので、何か手作りだったり、その子に似合う衣装や小物を選んで持ってきてくれると良い写真になると思います。
また、衣装もいっぱい持ってきてもらうように飼い主さんにはお願いしています。というのも、撮影の背景が色々な物があってシックな黒い感じだったり、明るい元気な感じだったりするのでそれに合う衣装を選んで着てもらって撮影しています。
あとは、おやつも何種類か用意してもらっています。撮影時間中に同じおやつばかりだと途中で飽きちゃう子もいるので2つ3つぐらい用意してもらえると撮影がスムーズに進みます。
Q9犬のカメラマンとしての今後の夢はありますか?
A,私としては、一人のお客さんがわんちゃんとの成長の歩みを節目ごとに撮影してもらうことです。例えば、子犬の頃にアルバムを1冊、1歳のころに1冊という感じでわんちゃんと10年間一緒に暮らしたとしたら10冊のアルバムが飼い主さんの手元に残るとしたらすごいいい思い出になるんじゃないかなと思います。
たくさんのわんちゃんをバラバラに撮影していくというよりは、一組のわんちゃんの一生を私も歩んでいけたら幸せなんじゃないかなと、カメラマンとしては思いますね。
これは、あるお客様から伺ったお話なのですが、私が撮ってあげたわんちゃんがその後、亡くなってしまったんですけど、後日わんちゃんが亡くなってから「写真が宝物になったよ」と言ってもらえたんですね。
わんちゃんが亡くなってしまったことはとても悲しいことだったんですけど、後から思い出になったよって言ってもらえたことは、一番嬉しい知らせでした。
Q10犬のカメラマンをやりたいと思っている人に伝えたいことはありますか?
A,みんな誰でもできると思うんですよね。インスタグラムとかでわんちゃんの写真載せている人とか見ていてもわんちゃんへの愛情が伝わってくるし、わんちゃんへの愛情さえあれば、誰でもなれるかなと思います。愛情さえなくならなければ、情熱を持ってわんちゃんと接することが出来ればいい写真が撮れると思うんです。
あとは、注意することを忘れないことです。例えば、外での撮影の場合、わんちゃんがテンションが上がってしまうので事故などを防止するためにも、リードをはずさないようにするとか絶対必要です。
でも、一番は”わんちゃんを撮りたい”って気持ちがあることが第一なのでぜひ、みなさんにもやってもらいたいですね。
Q11最後に、飼い主さんとわんちゃんへカメラマンとしてのメッセージをお願いします。
A,正直、写真屋さんに来る必要はなくていいのですが、わんちゃんの写真は残しておいてほしいなって思います。やっぱり一緒に過ごしたっていう思い出が少しでもあればいいと思うので、わんちゃんと一緒に家族みんなで家族写真を撮ったりしていってほしいなと思います。一年に一回でもいいので。
一年に一回ってすごく少ない感じするのに、一年に一回もみなさん家族全員で家族写真って撮らないと思うんですよ。誰かが撮影者になってしまっていると誰かが写ってなかったりしますしね。なので、そうならないために三脚を使ったり、机の上にカメラを置いて撮影して家族全員で一年に一回は、わんちゃんも一緒に家族写真を撮るっていうことがすごく大事だしやってほしいなって思います。
インタビューを終えて
杉浦さんの犬に対する優しい気持ちや思い、深い愛情。飼い主さんに対する心遣いや思いやりがこのインタビュー取材で存分に私にも伝わってきました。
私もこちらのお店で撮影したわんちゃんたちのお写真を見せていただきましたが、どの子もすごくいい表情で、1頭1頭が本当にご家族に大事にされ、どれだけ大切に思われているのかが伝わってくるそんな写真ばかりでした。
犬のカメラマンは「ただ、撮影するのではなく、わんちゃんとその飼い主さんの気持ちを汲み取って撮影をすることがとても大切」なのだと杉浦さんはおっしゃっておりました。わんちゃんに対する心がとても大事なんだということを今回の取材で知ることができました。
最後に
犬のカメラマンというお仕事は一番は、「犬に愛情を持つこと」が大切であり、わんちゃんはもちろんですが、わんちゃんを取り囲むその家族をも大事に考え、それぞれの絆の深さや思いを汲み取って初めて良い撮影ができるのだということを教えていただきました。
そして、いつか来る別れの時を悲しい思い出だけ残らないように、決して色あせない優しく愛情深い”写真”という思い出を作ってくれるお仕事が「犬のカメラマン」というお仕事です。
わんちゃんの時間は人よりもとても短いです。だからこそ、大切で二度と戻らないこの瞬間を写真に残すことはとても大事なのです。亡くなってしばらくたった時、なでてあげることも抱きしめてあげることもできないけれど、撮影した写真があれば可愛い我が子にいつでも会うことができるのです。犬のカメラマンとはそんな素敵なお仕事でした。
みなさんもぜひ、わんちゃんのお写真を忘れずに1年に一回は撮ってみてくださいね。