犬を2匹同時にお迎えすることについて
犬をお迎えする際の選択肢として、2匹同時にお迎えするという人がいます。特に小型犬や兄弟犬を引き取る人に多いのではないでしょうか。
1匹飼育するのと2匹飼育するのとでは、考えなければならないことも増えます。今回は犬を2匹同時にお迎えする際の注意点をご紹介します。
犬を2匹同時にお迎えするときの注意点
犬を飼育する際に最低限、必要なものとして次のようなものがあげられます。犬を2匹同時にお迎えする場合、これらのすべてが2倍となります。これらを準備できるのか、事前にしっかりと考える必要があります。
責任
犬の飼い主にはさまざまな責任が伴います。国から定められている登録責任や狂犬病予防の責任、病気をした時に適切に治療を受けさせる責任、しつけをする責任、最期まで飼育する責任。これらの責任も2倍になります。
飼育スペース
犬には、それぞれの体のサイズや運動量に応じた適切な飼育スペースが必要です。小型犬だとしても、1頭ずつの十分なスペースを確保しなければなりません。また、飼育スペースではそれぞれの犬に応じた温度管理も必要です。周辺環境にも気を配る必要があります。
体調を崩しがちな子がいる場合、近所に信頼できる獣医師さんがいることもポイントとなるでしょう。飼い主さんが留守にした際に、2匹同時に預けることができる場所や人も必要です。
時間
犬を飼育するには想像以上に時間が必要です。毎日の食事やトイレ、散歩はもちろん、1頭ずつに十分にスキンシップしてあげる必要もあります。2匹分のお世話をする時間があるのかといった点も、事前によく考えたいものです。
費用
犬を2匹同時に迎える場合「費用」が十分にあるのかという点もとても大切な事項です。小型犬を1匹飼育する場合、その生涯費用は300万程にものぼるといわれます。
医療費も頭数が増えれば増えるほどかさみます。これらの費用を十分に支払う余裕があるのか、この点もよく考える必要があります。
愛情
責任や飼育スペース、時間、費用と同じように必要なものが「愛情」です。1匹だけ可愛がって、もう1匹は寂しい思いをさせるなんてことはないでしょうか。同じだけの愛情を費やせるのかどか、しっかりと考えたいものです。
鈴木桂子
犬を同時に2匹迎える際は、もちろん費用や責任など1匹では済まないものが伴います。散歩にかける時間や、日常的なケアにかかる時間も増えます。その中でも特に躾にかかる手間が大きいのではないでしょうか。
子犬を同時に2匹躾けるのは大変です。1匹が興奮すると気分が伝わって、2匹で遊んだり吠えたりと、なかなかいうことを聞かなくなったりします。飼い主がしっかりとコントロールできる、そういう立場を確保しておくことが必要です。
そして2匹はそれぞれ成長するにつれ、体格や性格が違ってきます。飼い主にとって好みが出たりもするでしょう。決して片方にだけ何かをするということはやめ、ケアをするにも食事を与えるにも、全て平等にということを心がける必要があります。
犬を2匹同時に飼う前に犬社会の理解を
事前に考えて準備しておかなければならないこと以外にも、2匹同時にお迎えする際には飼い主さんがより「犬社会の理解」をすることも必要です。
犬には「縦」の順位が存在します。群れで生きる際には、場面に応じたリーダーを決めることで群れを守っていきます。このリーダーを決めるという考えは家庭犬でも同じです。例えば先住犬がいて後から犬を迎えた場合、先住犬が犬の中でのリーダーとなることが多いです。
多頭飼育の場合は、特に飼い主さんが絶対的なリーダーになることが最も重要ですが、犬同士にも順位付けは行われます。この順位付けが曖昧となってしまうと、犬同士の関係性もうまく成り立たなくなってしまいます。喧嘩が増え、お互いにストレスとなってしまうでしょう。
まずは飼い主さんが1頭ずつと信頼関係を作り、絶対的なリーダーとなったうえで、犬内での順位付けを行います。基本的には犬同士で順位付けを行うと考えられますが、いつまでも順位が決まらずに喧嘩ばかりしているようであればリーダーが統率してあげましょう。
エサや散歩の順番に差をつけることで、それらが明確に決まっていくといわれています。もちろん仲良くストレスなく暮らしているようであれば、あえて人間が手を出して順位付けする必要はありません。
大事なのは飼い主さんが犬社会を理解し、飼い主さん自身がリーダーとなり「それぞれの犬」と信頼関係を作るということです。
鈴木桂子
同じ母体から同じ時期に生まれた子犬「同胎犬(どうたいけん)」を迎える場合、既に母親のもとで共に育ってきているのでお互いのことをよく分かっています。
ですが、同胎犬であっても力関係や相性があります。性別が同じだと体格的に差がないので、特にオス同士の場合、力関係を明確にしようという本能がより強く出て、ケンカになる事があります。
小型犬であれば引き離すのは簡単ですが、中型犬や大型犬になると飼い主がしっかり叱ることができないと、激しい噛みあいになりそうなほど興奮することもあります。
同胎犬を2匹を同時に迎える場合は、オスとメスという組み合わせの方がトラブルは少ないですが、メスがヒートを迎えた際に、近親間での交配が起きたりしないように去勢や避妊をしっかりしておくことが必要です。
まとめ
犬を2匹同時にお迎えするということは、2倍の覚悟や責任、費用、時間、労力、愛情、知識…さまざまな準備が必要です。その分、犬と暮らす喜びも2倍になることは間違いありません。
飼ってみなければ相性はわかりませんが、事前によく考えて、準備して、一緒に暮らすみんなが幸せな状態となることを願いします。
鈴木桂子
同胎犬の場合は可能な限り平等に扱う事を心がけ、そして兄妹の場合は、メスを優先させた方がよいでしょう。オスを優先すると、体格的に強いオスの方がさらに自分の方が強いと認識してしまいます。
また、同胎犬を2匹迎えるということは、それぞれが寿命を全うすれば、シニア犬となってほぼ同時期に亡くなる事にもなります。ペットロスの悲しみもより深くなります。
そして一緒に長く暮らしていると、1匹が弱るともう1匹も精神的に影響を受けやすくなります。老犬介護が2匹同時になるというのも、負担が大きいものです。子犬期だけではなく成長した後のライフスタイル、犬がシニアになった時に飼い主自身はどうなっているかなども、よく考える必要があるでしょう。