飼い犬の放し飼い、所有地内なら問題なし?
国が定めた動物愛護法(動物の愛護および管理に関する法律)によると、「柵で囲われた自己の所有地以外での放し飼いは禁止」とあります。
では、「自宅の庭をしっかり柵で囲っていれば、自分の犬は放し飼いをしていい」ということになりますね。
けれど、法律上問題がなければ全くリスクはないのでしょうか?
放し飼いのリスク
1.ダニ、ノミ
アスファルトやコンクリート、人工芝が敷き詰められた庭でなく、自然の草木が生えていたら、ダニやノミがつくことは避けられません。
犬自身は予防注射をしていても、ダニもノミは人間にもつきます。特にマダニを介して感染する病気の中には、人間が発症すると非常に致死率の高い病気もあります。
2.ハチ、ムカデに刺される
季節によっては、ハチに刺されたり、ムカデに咬まれたりすることもあります。
昔、私が飼っていたアメリカン・コッカースパニエルの「チュパ」は、庭で遊ばせていて、ムカデを見つけて、「パク!」と口の中に入れてしまって、口の中を咬まれて、顔半分が腫れあがったことがありました。
刺された場所が腫れる、痛い、くらいなら命に別状はありませんが、ハチに刺された場合は二回目に刺されると、「アナフラキシーショック」を起こすかもしれないのでより危険です。
3.脱走
どんなに頑丈に柵を作って庭を囲ったとしても、時として動物が本能から突き動かされて出す力は、人間の想像以上のパワーを発揮します。
例えば、去勢をしていないオス犬は、発情したメス犬のニオイを嗅いで、発情します。
子孫を残そうとする動物の本能から来る衝撃の強さは、人間が作った柵を飛び越えることも可能にし、あるいは、その策を破壊することも可能にします。
私たち人間の想像や思惑よりずっと動物は理解しがたいパワーを持っていることを忘れてはいけません。
4.気温差による体調不良
犬も当然、歳を取ります。しかも、そのスピードは人間が歳を取るよりずっと早く、季節の温度差や、湿度、乾燥、極端な暑さ、寒さはシニア期の犬の体には大きな負担になります。
5.ほかの動物に咬まれたことから起こる感染症の危険
ご自分の愛犬が庭から出ていかなくても、外から野良猫や、イタチ、ネズミ、地域によってはサル、アライグマがお庭に侵入してくるかも知れません。
自分が自由にふるまえる庭の中は、犬にとっては守るべきテリトリーです。
その中に我が物顔で野生動物が入り込んだら、命がけの戦いになることは、容易に想像できます。
例え、体の大きさでは優位であっても、人間に飼われている動物と、日々、命がけで生きている野生動物とでは、体の大きさだけで優位かどうかは決まりません。
もし、野良猫やイタチに咬まれたら、その傷口から細菌感染して、手当てが遅ければ、死んでしまうことすらあるのです。
6.誤飲、誤食の危険
庭の中に飢えている植物は、すべて、犬が食べても問題のない植物でしょうか?
「普段、ちゃんとご飯を食べさせているから大丈夫」と思っていても、なんのきっかけで犬が庭の植物を食べてしまう可能性が全くないとは言えません。
以外にも、ガーデニングや家庭菜園を楽しむために庭に植える植物の中にも、犬が食べると中毒を起こす植物はたくさんあります。
また、殺鼠剤などで死んだネズミの死体を超小型犬ぐらいの大きさの犬や、仔犬が食べてしまったら、中毒を起こし、鼻血を出したり、血を吐いたり、血便を出したりして、最悪死に至ります。
7.悪意ある人間からの危害
これは、私の知り合いの方が実際に体験したお話です。
その方は、ハスキー犬を庭で放し飼いにして飼っていたそうです。
ところが、その犬が5歳の時に血を吐いて、死んでしまいました。
死因は、誰かがその人の庭へ投げ込んだ毒入りの餌を食べてしまったからです。
世の中には、私たちの考えには到底及ばないような、残酷なことを平気でできる人間もいます。
まとめ
庭で放し飼いをするということは、飼い主さんの目が届かない時間も当然、あるでしょう。
家族として犬を飼う、ということは、3~4歳くらいの小さな子供と暮らすということと同じです。もし、人間の子どもだったらそんな年齢の小さな子供を、一人きりで庭に放置するでしょうか?例え、飼い主さんよりも体が大きくて、鋭い牙を持っていても、私たち飼い主は、犬の命を守らなければならない責任があります。庭で放し飼いをするとき、飼い主さんが傍にいて、犬の姿を目視でき、かつ安全に過しているかどうかに気を配れる、という条件でなら問題はないと思います。けれど、それが出来ないのであれば、自分の家の庭の中とはいえ、犬を放し飼いにするのは、デメリットばかり多く、愛犬を危険にさらしている無責任な飼い方なのでは?と私は思います。
ユーザーのコメント
女性 Hono
女性 匿名
自宅近くには林が有り、数年前の夏の終わり頃 庭を探索?していて隅の方に隠れていたマムシに口を咬まれ、獣医師の入院治療を受けましたが老犬という事もあり、衰弱していき旅立ってしまいました。
我が家に来て十数年、いつも庭を自由に駆け回ったりノンビリ日光浴や昼寝をして楽しそうに過ごしていたのを今も思い出しています。
屋内 屋外問わず、リスクが無い環境を与えてあげるのは難しいと思いますが、幸せに過ごしてくれるのが一番ですね。