シニア犬がいる家庭に子犬を迎える...さて、何が問題に?
- 「うちの犬は年をとって落ち着いたから子犬を迎えても大丈夫じゃない?」
- 「子犬が家に来たら、歳をとった犬も元気になるかもしれない!」
- 「うちの犬ももう年だから、いなくなった時のことを考えて子犬を迎えておきたい」
そんな色々な思惑で、先住犬とかなり年の離れた子犬を迎えようと考える方は多いものです。
でも、ちょっと待って!実は色々と頭に置いておかなくてはいけない問題点があります。
アメリカ獣医学協会の2017年定例会でマーシャ・ライヒ獣医学博士が語ったこのテーマをご紹介します。
子犬がやって来た時、シニア犬に見られる行動
ライヒ博士はこう語ります。「多くの飼い主は、年をとった犬は本能的に自然と子犬とうまく付き合えるのだと思っています。」
けれど人間も中年期以降に、騒がしい子供やキャピキャピしたティーンエイジャーと突然いっしょに暮らすことになれば、心身ともに消耗することは簡単に想像できますね。
ほとんどのシニア犬は子犬からは自ら距離を取ります。子犬と同じ部屋に入ることを避けたり、子犬とアイコンタクトを取らないなど、受け身で控えめな距離の取り方をします。
子犬の方が「あの犬は近づいて欲しくないんだな」と察してくれれば良いのですが、そうでない場合はシニア犬ももう少し強い態度を示します。
「歯をむく」「うなる」「軽く咬む」などの行動を見せる場合もあります。シニア犬が関節炎などで痛みや不自由がある場合、子犬から距離を取る行動は明確になる傾向があります。
シニア犬の行動が子犬に及ぼす影響
先住犬が子犬との接触やアイコンタクトを避ける時に、子犬の方もそれを理解していれば何も問題はないのですが、なかなかそうは行かないのは人間の世界も同じです。
先住犬と遊びたい子犬が、その犬に近づくたびに怖い顔で唸られていては、子犬は「他の犬というのは怖い存在だ」と学習してしまいます。これは子犬の社会化を邪魔することになってしまい、子犬が先住犬以外の犬ともうまく付き合っていくことを難しくします。
犬が犬に対して恐怖を感じることは、相手への攻撃につながります。そうなると先住犬か子犬のどちらかが大きな怪我をすることにもなりかねません。また外で他の犬に吠えかかったり飛びかかったりして、大きなトラブルになることもあり得ます。
飼い主ができること
先住犬がいる場合、まず一番最初に先住犬が子犬を受け入れられる状態かどうかをしっかり見極めなくてはなりません。先住犬がシニアと呼ばれる年齢に差し掛かっているなら、子犬ではなくある程度落ち着いた成犬を迎える、又は新しく犬を迎えることは諦めるのが賢明でしょう。
もうすでにシニア犬と子犬の同居が始まっている場合、シニア犬が子犬を避ける努力をしている時には子犬を散歩に連れ出す、別の場所で飼い主が子犬と遊ぶなどして、シニア犬が落ち着ける環境を作ってやる必要があります。夜間や留守番の時にはシニア犬と子犬は完全に別の場所で過ごさせる方が良いでしょう。
子犬は、子犬専門のしつけ教室などプロの目のあるところで他の犬と触れ合う機会を作り、他の犬のボディランゲージを読み取れるようにしていきます。先住犬の意図がきちんと伝わるようになれば、双方の犬が穏やかに暮らせるようになります。
もしもすでに何か問題が起こってしまった場合には、2匹の犬の様子を録画して、トレーナーや動物行動治療の獣医さんに見てもらうのも良い方法です。
まとめ
シニアの先住犬がいる家庭では、子犬を新しく迎えることは必ずしも良い選択とは限りません。先住犬の健康状態や普段の行動などをしっかりと吟味して、できれば信頼できる専門家の助言なども受けて、子犬を迎えるか否かを検討しましょう。
多くの場合、シニア犬にとって子犬の存在は心身ともに負担になりがちです。シニア犬を尊重して快適に過ごせるようにしながら、子犬の社会化を後押しして子犬自身が先住犬とコミュニケーションが取れるようにしていってやらなくてはなりません。そうです、シニア犬と子犬を新しく同居させるというのは、普通の2頭飼いよりも大きな努力と責任が伴うことなんですね。
《参考》
http://www.americanveterinarian.com/news/avma-2017-adding-a-younger-pet-to-a-geriatric-pet-household
ユーザーのコメント
40代 女性 はな
先代犬が亡くなり、3匹目に保護犬を迎える事になりました。
年齢差も有るので、慣れるには時間が掛かると思っていましたが、シニア犬2匹で躾や遊び相手などをしてくれ、まるで孫の世話をする祖母の様でした。
3日目には狭いベッドで一緒に寝る様になり、とても微笑ましい光景でした。
ですが、保護団体の理解が得られず子犬は返すことになりました。
飼い主が、犬の性格を理解していれば年齢差の有る犬の生活は可能だと思います。