子犬の移動は、二回目のワクチン接種以降が望ましい
今回、新しい飼い主さんの家まで移動する子犬は、生後50日を過ぎて、1回目のワクチン接種を済ませ、さらに10日後に2回目のワクチン接種が済んだ、生後2カ月程度の子犬を想定しています。
それ以前は、母犬から受け継いだ免疫が子犬の体の中に残っているとはいえ、生後2カ月くらいでその免疫の効果も切れる可能性があります。
どんな輸送手段であれ、外気と全く触れずに移動することは不可能なので、どこで犬がかかる伝染病に感染するかわかりません。
早く可愛い子犬と一緒に暮らしたいと言う気持ちはわかりますが、子犬の健康のことを考えるのであれば、子犬を移動し、お家に迎え入れるのは子犬が生後2カ月以降が望ましいと言えます。
では、これから子犬が暮らすお家まで子犬を移動する際には、どんな事に気をつければ良いのでしょうか?
車で移動する時の注意点
抱っこでの移動はNG。車内では、クレート、キャリーなどに入れましょう。
母犬や、生まれてからずっと一緒に育ってきた兄弟犬と別れて、初めて見る「人」といっしょにいるだけで子犬にはとても大きなストレスになります。
知らない人の知らないニオイにずっと抱かれたままで、ずっと緊張しっぱなし…。それでは、子犬の心身にかなり大きな負担がかかります。
危害を加えられることは無いと、子犬自身が理解できるよう、安全で安心出来る場所に入れてあげる方が、子犬の不安や緊張を少しは和らげてあげることが出来るはずです。
また、成長しても車で移動する時は、キャリーやクレートに入れる方が安全ですので、「車に乗ったらクレートか、キャリーに入る」、という習慣を身につけさせるためにも、お迎えの日から、子犬をクレートか、キャリーに入れて移動しましょう。
ペットシーツ、トイレットペーパー、いらないタオルなどの用意を万全に
極度に緊張した場合でなくても、移動中にウンチやオシッコをするかも知れません。ペットシーツヤトイレットペーパー、汚れを拭くためのタオルなど多めに用意しておきましょう。
超安全運転で運転すること
早く帰りたいからと言って、急ハンドル、急ブレーキは、車体が揺れます。振動や車の揺れを子犬がなるべく感じないように、いつも以上に安全運転を心掛けましょう。
鈴木桂子
理想は車で4時間程度までの輸送が、子犬を迎えるにはベストだと思います。車の中はできるだけ静かに過ごさせ、あまり触らないようにしましょう。
知らない人に触られること自体が、ストレスになる場合があります。また子犬は体温調整がまだうまくできないので、日が当たりすぎないようにしましょう。
電車で移動する時の注意点
子犬、成犬に関わらず、動物を電車に乗せて運ぶ時は手荷物扱いになります。その運賃は、利用する電車会社によって有料の路線もありますし、無料の路線もあります。
また、重さ、キャリー、クレートの大きさによっても、電車会社によって規定が違いますので、必ず前もって確認しておきましょう。
飛行機で移動する時の注意点
飛行機での輸送は、公共交通機関で、もっとも規定が細かく、手続きが複雑です。飛行機会社によって、クレートの大きさ、重さ、運賃もさまざまです。
また、ブルドッグやパグなどの鼻先が短い犬種は、体温調整機能が低いため、飛行機会社によっては、乗せてくれないこともあります。空調が効くとは言え、貨物室のようなところにクレートごと置かれて、どの交通機関よりも「荷物」としての輸送になります。
何より、新しい飼い主さんとも数時間は離れ離れで一人きりになってしまいます。子犬にとって、生まれて初めての長期移動が飛行機…と言うのは、かなり難易度の高い移動手段と言わざるを得ません。
鈴木桂子
飛行機の場合は、海外では機内持ち込みができる事がありますが、日本国内では機内へ持ち込めず、「手荷物」として貨物扱いになります。客室と同じ温度・湿度・気圧にきちんと空調調整されたペット専用のスペースで快適に運ばれます。
ただ、飛行中は貨物室は真っ暗になり、風切音や気圧の変化で耳の不調が生じたりすることもあります。ですが国内なら直行便があれば1時間半程度の旅ですから、長距離を陸送するよりは子犬の負担は少ないといえます。
交通機関を利用する際には、乗り物酔いに備える
初めて車や電車に乗る子犬。乗り物酔いをするか、しないかは乗せてみないと分かりません。けれど、なにも備えもせずに乗って、車に酔ってしまったら、それ以降ずっと乗り物酔いをするようになってしまうかも知れません。
実際に犬は、一度、車に乗って嫌な思いをすると、車に乗ると気分が悪くなって、乗り物酔いの癖がついてしまうこともあるそうです。乗り物酔いに備えるには、どんな方法があるのでしょうか?
食事は、車に乗る2時間前までに済ませること
満腹だったり、逆に空腹すぎると酔いやすいと言われています。いつも食べている量の半分くらいの量を、出発前の2時間前には食べ終わっているようにして欲しい、と譲渡先に伝えておきましょう。
可能であれば、酔い止めの薬を飲ませておく
生後3カ月過ぎでも、獣医さんとの相談次第で、酔い止めの薬を処方して飲ませておけば、より安心です。
移動する直前まで寝かせない
移動中に寝てしまえば、ストレスもなく、乗り物酔いになることもありません。移動するまで、しっかり遊んで、移動中クレートの中でぐっすり眠っている…という状況が子犬にとってはベストです。
鈴木桂子
子犬は三半規管の発達がまだ十分ではないので、乗り物に酔いやすい状態です。移動中は水以外は何も与えません。
トイレや吐いたりした場合に備えて、クレートの中にペットシートを敷いておくと安心です。使用済みのシートは交換し、すぐに捨てられるようにビニール袋なども用意しておきましょう。
小さなお子さんがいて興奮しすぎると子犬は落ち着かないので、出来れば大人だけで静かに迎えに行った方がよいでしょう。
徒歩で移動する時の注意点
小型犬、中型犬の子犬なら、キャリーやクレートに入れて移動が望ましいです。また、徒歩ならペットカートを使っての移動も可能ですね。
けれど、大型犬の子犬となると、生後3カ月でも10キロを超える重さになるので、キャリーやクレートに入れて運ぶことは難しいので、首輪やリードを装着させて歩いて連れてくるしかありません。
その際、その日、初めて首輪やリード、ハーネスなどを身につけるような状況だと怖がって子犬が歩いてくれない、と言うことも充分考えられます。
お迎えの日までに、リード、首輪、ハーネスを装着した状態でも自然に歩けるように慣らしておいて貰えるよう、譲渡元にお願いしておきましょう。
鈴木桂子
2回目のワクチンが済んでいるからといって、まだ安全なわけではありません。また、3回目のワクチンが済んだ3か月以降の子犬を引き取る際も、最後のワクチンから最低3日~1週間が経過していない子を、いきなり歩かせて連れて帰るのはやめましょう。
公共交通機関を利用する際の注意点
排せつのタイミングを把握しておく
子犬は、月齢+1時間は、トイレが我慢できると言われています。生後3カ月程度なら、約4時間程度はトイレの我慢が出来る限界、と言うことですね。
けれど、ある程度、子犬がトイレをするタイミングを把握しておけば、移動中、クレートやキャリーの中で粗相されることがなく、清潔さを保ったまま、移動することが出来ます。子犬のトイレのタイミングは、おおよそ、以下のとおりです。
- 起きた時
- 興奮した時
- ご飯を食べた後
移動する際に気をつけるのは、ずっと眠っていた子犬が何かの拍子でクレートの中で目を覚ました時です。車移動なら、そのタイミングで一旦休憩をとり、首輪やハーネス、リードをつけた状態でクレートから出し、トイレをさせてあげても良いですね。
ただしまだ3回目のワクチンが済んでいない場合は、歩かせたりしない方がよいでしょう。抱っこして外の世界を見せてあげる程度にしましょう。
寄り道せずに、我が家まで直行がベスト!
生まれて初めての移動ですし、また、新しい環境に何の問題もなく馴染めるかどうかの大事な一日です。
どんな交通手段であれ、寄り道せず、早く子犬が緊張を解き、ゆったりと過ごせる場所に連れてくるのが最優先です。休憩は必要ですが、寄り道はせずに、お家まで直行しましょう。
お家に到着したら、静かな環境で子犬を休ませる。
「ニューオーナーシンドローム」と言う言葉をご存知でしょうか?
「ニューオーナーシンドローム」と言うのは、生まれ育った環境から離れて、知らない人、知らない場所での暮らしに子犬がストレスを感じて、体調を崩してしまうことを指します。
子犬を迎え入れる日をずっと待っていたご家族は、おそらく熱烈に子犬を歓迎し、抱き上げてたくさん可愛がろうとするでしょう。特に小さなお子さんのいるご家庭では、親が注意しないと、ずっと子犬に触っていたり、遊んだりしますので、子犬が疲れ切ってしまいます。
まだ、小さい子犬がストレスから体調を崩し、下痢やおう吐が長引くと、死んでしまうことすらあります。移動して来た日だけではなく、少なくても一週間は、人間の都合でケージやクレートの中にいる子犬を引っ張り出して遊んだりせず、ゆったりと静かに、子犬を見守りましょう。
鈴木桂子
お家に着いたら、まず静かな場所に寝かせできるだけそっとしておきます。脱水症状にならないように、お水は十分にあげてください。フードは食べたそうであれば与え、まだ不安そうで食べたがらない場合は、無理にあげる必要はありません。
先住犬がいたら、様子を見ながら匂いを嗅がせます。すぐに受け入れる場合はそのまま一緒に寝たりしてすぐ馴染みますが、先住犬がうなかなか打ち解けない場合もあります。無理をせず慣らしていきましょう。
意外と知られていない?宅配業者による生体輸送サービスについて
クロネコヤマトでは、ペットの輸送サービスを行っています。直行便や、飛行機などを併用する場合などさまざまに対応して貰えるようなので、子犬の移送の1つのケースとして、考えてみてもいいかもしれません。
鈴木桂子
遠距離の場合はペット輸送という方法を取らざるを得ない場合もあります。その際は子犬の健康状態をよく確認しておく必要があります。ただ長距離の陸送は時間がかかり、子犬にとっては負担が大きい方法です。
ヤマト運輸には自宅までダイレクトに運べるサービスがありますが、生後3ヶ月未満の場合は輸送ができませんので、引き渡し日の調整が必要です。
生後3カ月で新幹線+在来線+タクシーで5時間の移動を経験しためいぷる
我が家のめいぷるは、6月9日に生まれ、8月24日に我が家にやって来ました。
私の家から、めいぷるの生家まで、在来線、新幹線、在来線…と乗り継いで、5時間ほど。帰りのラッシュ時間に巻きこまれないよう、お昼前にめいぷるの生家に到着し、13時過ぎには、現地を出発しました。移動は、めいぷるのために購入したキャリーバックにめいぷるを入れて、まずは手荷物切符を購入してから、在来線に乗り込みました。
当時、3キロのめいぷるを担いで、出来るだけ階段を使わずに、エレベーターを使って在来線から新幹線に乗り換えます。新幹線は、もっとも京都まで早く帰れる「のぞみ」、座席は指定で、車両の一番前の席を取りました。他の席より若干スペースが広く、足元にめいぷるが入ったキャリーを置くことが出来ました。
京都から私が住んでいる家まで、電車の本数は少なくても、確実に座って帰れる路線を選び、乗り継ぎの時間も余裕を持ちつつ、きっちり調べて行きました。最寄りの駅からはタクシーで。当のめいぷるは、電車の中でも一切鳴かず、ずっと熟睡してくれました。
その日の切符や、めいぷるをその日まで育てて下さったオーナーさんから頂いたおもちゃ、めいぷるのママのニオイのついたタオルなど、いまだに大切に持っています。
まとめ
車、飛行機、電車、徒歩で移動するケースについて、気をつけることをまとめてみました。
- 乗り物酔い対策(食事は移動する2時間前には半分程度の量で済ませるなど)
- 移動する前に排せつは済ませておく
- 費用、重さ、大きさなどについての規定について詳しく調べておく
- 寄り道せず、まっすぐ連れて帰る
- 到着後は、ゆっくり子犬を休ませる
長い年月一緒に暮らす新しい家族が到着する、記念すべき大切な一日となりますように…。
鈴木桂子
子犬が来る日は本当に待ち遠しいものです。でも子犬にとっては、生まれて初めて経験するかつてない緊張を味わっています。まだよく知らない人に長時間抱っこされるのは、ストレスにもなります。
触れる時は首筋などを優しく触れる程度にして、移動中はできるだけ静かに寝かせておきましょう。乗り物によって吐いたりしても、過剰に反応せず静かに対応します。常に優しい声を心がけてあげてください。
さぁ、新しい家族が増えましたね!