犬はよく「噛む」動物
犬はよく「噛む」行為をします。ソファやスリッパ、靴下など穴を開けられた人も少なくないでしょう。
では、犬は何故「噛む」のでしょうか。それには理由があり、それは個体によって異なります。ここからは、犬が「噛む」理由やその効果、対策について書いて参ります。
犬が噛む理由
本能
犬には元々狩猟本能があり、動くものを見ると噛みたくなる本能を持ちます。特に一部の犬種によっては、狩猟犬として獲物を追いかけ回収していた頃の名残により、噛みたい本能が強いと言われています。
ストレス解消
犬は、運動不足・コミュニケーション不足などといったストレスにより、物を噛む事があります。留守番による不安症の場合も。このような場合は、噛み癖の元になりやすいとされます。思い当たる場合は、まずストレス原因を除去しましょう。
暇つぶし
十分な散歩やスキンシップをされているご家庭で、犬が物を噛む場合は暇つぶしであることが多いでしょう。一人遊びの一つです。
監修ドッグトレーナーによる補足
犬は成犬になっても心は子犬の感性が強く残る珍しい生き物なんです。人間の赤ちゃんでも手にした物をすぐに口へ運びますよね。ですので成犬も「噛む」という行動が抜けにくいと言われています。
子犬が噛む理由
歯の生え変わり
子犬は4〜6ヶ月頃から、乳歯から永久歯への生え変わりが始まり、7ヶ月〜1歳になる頃に完全な永久歯が生え揃います。この生え変わりの時期を歯牙脱換期といいます。
この歯牙脱換期には、とにかく歯に違和感を覚えるようです。歯が生えてきていたり、抜けかけの歯がぐらぐらしたり、犬は口の中が気になって仕方ありません。
そんな歯のむずむずを和らげる為、様々なものを噛んでしまうのです。ソファや机などの家具を齧る行動も、この時期の犬によく見られます。この行動は、歯の生え変わりが終わると収まることが殆どであり、一時的なものです。
監修ドッグトレーナーによる補足
これは私たちも似たような行動をします。例えば着ているTシャツが濡れてしまった。不快感からTシャツを触ってどうにかしようとしませんか?歯の生え変わりはこの様な心理と同じなんですね。
好奇心
子犬はとにかく好奇心旺盛。何にでも興味を示し、噛む事で学習していくのです。これは、知能が高い故の行動であり、成長の一過程でもあります。
甘噛みで噛む場合も
甘噛みは犬にとって遊びの一つ。相手をして欲しい時によく見られ、遊んでいる最中にも見られます。犬同士じゃれて遊ぶ時も、犬は体だけでなく口を使っていますね。この時の力加減は通常、幼い頃から犬社会の中での経験で学びます。強い力で噛むと危険なので、家庭でもある程度の躾が必要です。
噛む行動のメリット
飼い主としては大事な物を噛まれると困りますが、「噛む」という行動自体にはメリットが沢山。
歯磨き効果
物を噛む事で、歯に着いた食べ物や歯垢が取れ、歯磨き効果を得る事ができます。また、噛む事で顎の筋力も鍛えられます。
脳への刺激
噛む事は脳へ刺激を与えます。これにより、学習能力が向上したり、集中力が高まったりと脳が活性化され、痴呆や老化の防止にも繋がります。
消化促進
犬も人間と同じく、噛む事により唾液量が増加します。唾液には酵素が含まれる為、その量が増えると食べ物の消化が促進されます。
監修ドッグトレーナーによる補足
何かと悪者にされる「噛み癖」ですが、矛先を変えるだけでたくさんのメリットがありますね。他にもストレスの解消、幸せホルモンの分泌、安眠、と色々なメリットも期待できます。
噛む為のおもちゃを与えよう!
犬に一切何も噛ませないのは、遊びを禁止するようなもの。噛むことによるメリット面も得ることが出来ません。犬には、何か安全で噛んでも良いおもちゃを与えてあげましょう。
ロープ系おもちゃやボーン系おもちゃがお勧め。長く遊べるよう工夫されており、安全にも考慮されたものが多く販売されています。愛犬に合ったものを選びましょう。
噛む行為を理解して
上記のように、噛む行為にはメリットもあります。本気で人や動物を噛もうとする場合は躾が必要ですが、犬の本能や噛む理由をまず理解することが大切です。
私たちは四六時中犬の相手をするわけにはいきません。そこで、犬が暇を持て余しているような時に噛むおもちゃをあげると一人遊びを楽しんでくれ、飼い主も安心。ただし、おもちゃは飼い主の目の届く範囲で、誤飲や怪我に気をつけて与えましょう。
噛む事は犬にとって必要な事。一概に叱るのではなく、その理由を考えて、適した対応を取りましょう。愛犬の行動を理解して、人間も犬も心地よく過ごせると良いですね。