犬の散歩の基本知識
なぜ?犬の散歩をするメリットや必要性を知る
犬は散歩させるものと決まっていますが、改めて散歩の効果を確認しておきましょう。まずは運動ですね。これは誰でも知っていることだと思います。
犬にとって、もう1つ大事な散歩の効果は、本能を満足させることです。においをかぐことがそれに当たります。自分の住んでいる地域のにおい、草木や他の犬のにおい、地面のにおいなど、犬はにおいをかぐことで情報収集する生き物です。この本能を満足させるのも、散歩の最大のメリットです。
また、犬がストレスをためないためにも散歩は必要です。外に出て歩くと、運動になると同時に気分転換にもなり、スッキリします。ストレスによる問題行動を避けるためにも、散歩は大切です。
犬種ごとの運動量を把握する
犬種によって、必要な運動量が違ってきます。チワワのような超小型犬は、純粋に運動量でいえば、室内で遊ぶだけで足りています。でも、上記のように散歩には大きなメリットがあるので、必ず散歩に連れて行ってください。
トイプードルやミニチュアダックス、ポメラニアンなどの小型犬は、1日に2回、20分~30分程度の散歩が必要です。しっかり運動させて、丈夫な体をつくりましょう。
同じ小型犬でも、柴犬ぐらいの大きさになると、しっかりとした運動量が必要になってきます。1日2回、30分程度の散歩をして、適度に歩かせましょう。
フレンチブルドッグやボーダーコリーなどの中型犬も、柴犬と同程度の運動が必要です。特にボーダーコリーのような猟犬であれば、運動に対する欲求も強いです。毎日の散歩に加えて、たまにはドッグランで思いきり運動させることをおすすめします。
ジャーマンシェパードのような大型犬だと、1日2回、1回につき40分程度の散歩が必要です。猟犬はやはり運動量が多いので、しっかりと歩かせることが大事です。反対に、セントバーナードのような超大型犬は、猟犬ほどの運動量は必要ありません。1回につき30分程度の散歩を1日2回行く程度で大丈夫です。
最低限のマナーを守る
犬の散歩で飼い主にとって大事なのは、マナーを守ることです。うんちを持って帰るのは、必ず守らなければいけないマナーです。散歩バッグを用意して、ビニール袋やトイレットペーパーを持参しましょう。
また、よその家の玄関や壁、車などにおしっこをさせないのも、最低限のマナーです。人に迷惑をかけたばかりに、悪く言われるのは愛犬です。大事な愛犬が地域の迷惑にならないように、飼い主がしっかりマナーを守りましょう。
ノーリードの散歩は論外です。絶対やってはいけないことです。犬好きな人ばかりではないので、知らない犬に近寄られるだけで恐怖を覚える人もいます。また、迷子や事故の原因にもなりますので、ノーリードにするのは絶対にやめましょう。
子犬の散歩はいつから?
子犬を家に迎えた場合、その日からいきなり散歩に連れて行けるわけではありません。初めての散歩は、少なくとも2回目のワクチン接種を受けて、2週間たってからです。
ワクチン接種の前に、子犬を散歩させてしまうと、命にかかわるウイルスに感染する恐れがあります。2回目、または3回目のワクチン接種を終えて、2週間たつと、体に抗体ができますので、それまで待ちましょう。
月齢で言うと、初めての散歩は生後3か月~4か月の間くらいになります。この時期は、子犬にとって大切な社会化の時期に当たりますので、外に連れ出して、散歩の習慣をつけていきましょう。
ワクチン接種後2週間が経過するまでは、飼い主が抱っこして子犬に外を見せる「抱っこ散歩」がおすすめです。子犬をいきなり外に出して、「さあ、歩いて!」と言っても、不安や怖さでうまくいかないこともあります。実際に自分の足で歩く前に、飼い主に抱っこされて安心な状態で外を見ておくと、子犬の恐怖心も和らいで、お散歩デビューがスムーズにいきますよ。
犬の散歩グッズ
ここでは、犬の散歩に必要な物をおすすめ商品とともに説明していきます。
首輪
首輪は犬の散歩に必要な基本アイテムです。愛犬の首回りのサイズにちょうどいいものを選びましょう。
上でご紹介した商品は、ナイロンメッシュと革の人気商品です。ナイロンメッシュは軽くて、犬の首に負担が少なく、革は丈夫と、それぞれメリットがあります。飼い主さんの好みもあると思いますが、丈夫で機能性が高い首輪がおすすめです。
子犬の場合は、これからまだ成長するので、今現在のサイズにぴったりの首輪を選ぶと、すぐに使えなくなります。ベルトやバックルで、サイズを調整できる首輪を選ぶといいですよ。
ハーネス
子犬から成犬へと成長するにしたがって、力が強くなり、首輪だと犬に負担がかかる場合があります。ハーネスは首輪よりも犬の体に負担が少ないので、着脱をいやがらないわんちゃんであれば、ハーネスがおすすめです。
上で紹介した商品は、犬用ハーネスの代表格です。どちらも耐久性に優れ、スポーティな見た目もかっこいいところが人気の理由です。特に体重が7kgを超えるわんちゃんの場合、引っ張ったときの力が強いので、ハーネスのほうが首輪より抜けにくく、安全性も高いです。
リード
リードは犬の散歩に欠かせないグッズです。飼い主と犬をつなぐ命綱でもありますので、丈夫な素材を選びましょう。
上に紹介した商品は、どちらも丈夫さに自信があるリードです。カラーバリエーションも豊富で、首輪やハーネスの色に合わせて選べるところもうれしいですね。
長すぎるリードはさばききれず、思わぬ事故につながりますので、リードは1m前後を目安に選びましょう。ロングリードや伸縮リードは、広い公園など、他の人の迷惑にならない場所に限って使ってください。
ライト
暑い時期の散歩では、途中で犬が水を飲みたがることがあります。春から秋にかけては、飲み水も持参しましょう。
こちらの商品は、ペットボトルにとりつけて、散歩の途中で犬に水を飲ませることができます。容器を持ち歩くより、ずっと便利ですね。
こうした便利グッズを上手に利用して、愛犬にきれいな水を飲ませてあげましょう。
トイレ用の水
散歩中に犬がおしっこをしたら、そのままにしないで、水で流しておきましょう。特に舗道や電柱におしっこをかけた場合、そのままにしておくと、道を汚してしまいます。
飲み水と兼用で、ペットボトルなどに水を入れて持ち歩くのもいいですが、専用の液体もありますよ。こちらの商品は、おしっこにかけると、においを中和するので、愛犬がおしっこしたあとに、他のわんちゃんが次々にマーキングするのを防ぐことができます。
ただし、薬品なので、愛犬にかからないように注意が必要です。
うんち取り袋
うんちを取るための袋は、犬の散歩に欠かせないグッズです。小さめのレジ袋やビニール袋を必ず持参しましょう。
こちらの商品は、犬の散歩中にうんちを取るための専用の袋です。ビニール袋をあまり使わない方は、こういった専用の商品を常備しておくのもいいですね。
おやつ
基本的に、散歩中におやつをあげる必要はありませんが、もし愛犬が道に落ちている食べ物などをくわえてしまったときは、無理に取り上げようとすると、かえって飲み込んでしまいます。
そんなときのために、お散歩バッグにとっておきのおやつを潜ませておくことをおすすめします。犬が道に落ちている人間の食べ物をくわえてしまったら、おやつを出して気を引くと、あっさりと口から出してくれることが多いです。
こちらの商品は、小分けのおやつがたくさん入ったお得なパッケージです。好きなおやつを選べるので、愛犬の好みに合うものを選んであげてくださいね。
おもちゃ
犬がまだ若いときは、たまには公園などに散歩に出かけて、おもちゃで遊ぶのも楽しいですよ。犬にとっても、ストレス発散になります。
外で遊ぶ犬のおもちゃといえば、ボールですよね。こちらの商品は、ちょっと変わったボールです。ドッグトレーナーなどのプロにも人気で、引っ張り合いっこもできる優れものです。
普通のボールでももちろんいいですが、外遊び専用のおもちゃを1つ持っておくのも悪くないですね。
ウェットティッシュ
散歩中にうんちで犬のお尻が汚れてしまったときのために、ウェットティッシュを持ち歩くのもおすすめです。もちろん普通のティッシュペーパーでもかまいませんが、ペット用のウェットティッシュが便利ですよ。
こちらの商品は、ペット用のウェットティッシュで、足とお尻を拭く専用のものです。犬がなめても大丈夫な成分が使われているので、安心です。うんちがゆるくて、お尻が汚れてしまったときなど、きれいに拭きとれます。
虫除けスプレー
虫除けスプレーと言えば、夏に使うものというイメージがありますが、犬の虫除けは春から秋まで必要です。蚊だけではなく、マダニにも気をつけなければいけないからです。
蚊はフィラリアを媒介するため、犬にとっては恐ろしい虫なので、できるだけ刺されないようにしてあげましょう。マダニは犬につくと、病院で取り除いてもらわなければいけません。蚊とマダニの対策は、犬の健康を守るために大切なのです。
こちらの商品は、オーガニックの犬用虫除けスプレーです。天然成分で作られているので、安心して毎日使えますよ。お出かけ前に愛犬にシュッとスプレーして、散歩に行きましょう。
バッグ
散歩に必要なものをまとめて入れておく、専用のお散歩バッグがあると便利です。ランチバッグほどの大きさがあれば、おそらく十分ですが、おしゃれなバッグを用意するのも楽しいですね。
こちらの商品は、とても機能的でおしゃれな散歩バッグです。ポケットやファスナーがたくさんついていて、便利ですよ。ボディバッグ型と、ウエストポーチ型から選べるので、飼い主さんの好みに合わせられるのも人気の理由です。
犬の散歩のしつけ
引っ張らないで歩く
犬の引っ張り癖で悩む方は多いようです。小型犬でもすごい力なので、中型以上の犬だと、飼い主のほうが転んでしまう危険性があります。そのため、お散歩デビューしてから早いうちに、引っ張らずに歩くようにしつけをしましょう。
いわゆる「リーダーウォーク」と呼ばれる歩き方が、理想的な散歩スタイルと言われています。人間がリーダーシップをとって、犬のほうが人間の歩調に合わせるようにすることです。ですが、あまりこだわりすぎず、飼い主も犬も無理のない方法で練習しましょう。
しつけのやり方は、犬が強く引っ張ったら、立ち止まる。これが基本です。このとき、犬を引っ張り返さずに、リードを固定するのが大事です。犬が引っ張って、リードがピンと伸びたら、そのまま立ち止まります。
おそらく犬は何か気になるものを見つけて引っ張ったので、最初は前に進もうと、さらに引っ張るかもしれません。それでもリードは固定したままにして、立ち止まっていてください。少ししたら、犬はリードが固定されているのに気づいて、飼い主のほうを見ると思います。そのとき、しっかりアイコンタクトをとりましょう。そして、犬が引っ張るのをやめて、リードがたわんだら、また歩かせます。
引っ張ったら止まる、これを繰り返しているうちに、犬も覚えていきます。ちゃんと飼い主の歩調に合わせて歩けたら、歩きながら「いい子」とほめてあげましょう。
少し根気がいるかもしれませんが、この方法が一番簡単で、飼い主にとってストレスの少ないやり方だと思います。
人に飛びかからないようにする
散歩中の犬が、すれ違いざまにいきなり飛びかかってきたら、誰でも驚くと思います。犬にしてみれば、その人にかまってほしくて飛びついただけかもしれませんが、人によっては恐怖を覚える場合もあります。飼い主のほうも、ヒヤッとしますね。このようなことがないように、しつけを行いましょう。
特に子犬のころは、好奇心旺盛で、人間に興味を持つ子もいますので、早いうちにしつけを始めたほうがいいです。方法は、「待て」をさせることです。
散歩中に、向こうから人が歩いてくるのが見えたら、犬に「待て」をさせます。立ったままだと落ち着かない場合は、お座りをしてから待てをさせましょう。そのままおとなしく通行人を見送ることができたら、ほめてあげます。これを繰り返すことで、人を見ても興奮しないようになっていきます。
臆病さから飛びかかるわんちゃんの場合は、さらに注意が必要です。臆病なあまり、威嚇するかもしれません。このような場合は、人とすれ違わないように、方向転換しましょう。そのほうが、待てをさせるより、犬にストレスがかかりません。愛犬の性格を見て、どちらの方法にするか考えてあげてください。
他の犬に吠えないようにする
子犬のころから、他のわんちゃんと触れ合う機会を作ってあげると、むやみに吠えかかることは少ないと思います。散歩デビューして、よそのわんちゃんと会ったら、飼い主さんに「あいさつさせてもいいですか?」と聞いて許可をもらい、犬同士のあいさつを徐々に覚えさせていきましょう。しつけというより、社会化を行うと言ったほうがいいかもしれません。
臆病で、どうしても他の犬と触れ合うのを嫌がる場合は、無理強いさせないでくださいね。無理にあいさつさせると、怖くてよけいに他の犬が嫌いになってしまいます。
こわがりのわんちゃんの場合、先述の人間に対してと同じように、他の犬がいたら、方向転換してあげてください。ストレスの少ない散歩をすることで、犬も落ち着いていき、だんだんと他の犬の存在にも慣れていきます。
散歩時間と距離の目安
散歩の時間の目安
散歩時間の目安は、犬種によって違ってきます。1日2回の散歩で、一般的に、小型犬は1回につき30分程度、中型犬と大型犬は30分~1時間程度が目安となります。
ただし、小型犬でもジャックラッセルテリアのように運動量が多い犬種は、30分の散歩だと物足りないかもしれません。といって、ただ長時間散歩させるのではなく、広場で走らせるなどして、活動欲求を満たしてあげましょう。
同じように、中型以上の狩猟犬、たとえばボーダーコリーやポインターのような犬種も、活動への欲求が高いです。広場などで思いきり運動させて、歩きながらクールダウンさせるなどの工夫が必要です。
散歩の距離の目安
犬の散歩は距離を歩けばいいというものではありませんが、目安として、小型犬は1回につき1km程度、中型犬は2km~3km、大型犬は3km~4km程度と言われています。
ただ、犬の散歩は距離よりも質のほうが大事なので、長距離歩けばよしというものでもありません。においをかぐために立ち止まることや、飼い主とコミュニケーションをとることも大切です。
距離はあくまで参考程度にとどめて、あまりこだわらなくてもいいでしょう。
質の高い散歩とは
犬の散歩は距離より質と書きましたが、では質の高い散歩とはどんなものでしょう?それは、犬が屋外を楽しんで、適度な刺激のある散歩です。
簡単にできることは、たまに散歩のコースを変えることです。人間からするとささいなことですが、道を1本ずらすだけで、犬にとっては新しい刺激になります。いつものコースにはないにおいをかぐだけでも、犬の好奇心を満たすことができます。
また、できれば舗装された道路より、未舗装の道を歩くほうが、犬にとっては楽しいものです。足裏に土や草の感触があるほうが、アスファルトよりも快適です。土や草といった自然のにおいをかぐことも、犬のストレス解消になります。毎日でなくても、定期的に公園に連れて行くだけでも違ってきます。
犬の散歩に適した時間帯
犬の散歩に適した時間帯は、季節によって違ってきます。共通するのは、1日に1回は日光に当たる時間帯がいいということです。
春や秋など、人間にとって気候のいい季節は、犬にとっても過ごしやすい時期です。このような季節なら、何時に散歩させてもいいですが、1つ注意しなければならないのは、人間が暖かいと感じる気温は、犬にとっては暑いことです。少し涼しい時間帯を選んであげましょう。
冬の散歩は、寒がりなわんちゃんにとっては身体的にストレスになる可能性があります。早朝や夜などは避けたほうがいいでしょう。チワワやトイプードルなど、寒さに弱い犬種の場合、服を着せて防寒した上で散歩に連れていきましょう。
また、食後すぐに激しい運動をすると胃捻転になる可能性があります。もし食後にお散歩にいくなら1〜2時間ほどの食休みをしてからお散歩に出かけるようにしましょう。
夏の散歩は時間帯に要注意!
注意しなければいけないのは、夏です。犬は暑さに弱い生き物です。日中の気温の高い時間帯を避けて、なるべく朝早く散歩に出かけましょう。夕方もまだ地面が熱いので、少し気温が下がってからの時間帯が散歩に適しています。
暑い時間帯の散歩は、犬に熱中症を起こさせる危険性があるからです。
熱中症は、犬の命に関わる危険な症状です。真夏の暑い時間帯に散歩に行くのは、わざわざ熱中症にかかりに行くようなものです。犬の呼吸が荒くなったら、危険なサインです。嘔吐したり、ぐったりしたりと、みるみるうちに悪化して、その日のうちに命を落とす場合もあります。
そんなことにならないよう、早朝や日没後などの涼しい時間帯を選んで、散歩に行きましょう。着せるだけで涼しくなる服で、暑さ対策をするのもおすすめです。アスファルトの熱が冷めず、いつまでも熱い場合は、犬用の靴を活用するのも1つの方法です。
犬の散歩の頻度や回数
犬の散歩は、毎日必要です。頻度は1日2回が基本です。排泄のためではなく、犬がストレスをためないようにするのも、散歩の大切な役割だからです。
忙しいから今日は散歩はやめにしよう。そんな日が頻繁にあると、犬にとってはストレスです。犬は基本的に、人間の生活に合わせてくれています。人間が寝ている時間に寝て、飼い主が出かければ留守番します。犬は人間のようにイライラしないので、何とも思っていないように見えますが、家の中だけで生活するのは、やはり動物としてはストレスなのです。
もちろん、飼い主が病気で外に出られないなどの事情があるときは仕方ありません。ですが、それ以外は、犬本来の欲求を尊重して、毎日2回散歩に行ってあげましょう。
雨の日にも犬に散歩はさせた方がいい?
雨の日に散歩に行くかどうかは、犬が家の中で排泄をするかで決まります。室内の犬用トイレで排泄する犬の場合、雨の日は無理して散歩に行かなくてもいいでしょう。
外でしか排泄しない犬の場合、雨が降っていても1日1回ぐらいは散歩に連れて行く必要があります。犬は人間よりも排泄をがまんできますが、それでも1日中おしっこをがまんさせるのは、健康上良くありません。
雨の日の散歩は、人間にとっては面倒ですが、レインコートを着るなどして濡れないように対策すると、意外と苦になりませんよ。雨の中を散歩すると、犬もずぶ濡れになってしまうので、犬用のレインコートやポンチョなどを着せてあげましょう。そうすると、帰宅してからのお手入れが楽になって、雨の日散歩の負担がずいぶん軽減されます。
犬の散歩をしないとどうなる?
犬を散歩に連れていかないと、健康上の問題が出てきます。散歩させない=運動させないなので、筋肉が衰えたり、うまく発達しなかったりと、健康な体づくりに支障をきたします。長い目で見れば、寿命を縮めることにもつながります。
チワワのような超小型犬であれば、純粋に運動量だけ見ると、室内で遊ぶだけで足りてしまいますが、散歩に行かないと犬の生活が単調になってしまいます。外でにおいをかぐなど、犬らしい行動をさせることで、適度な刺激になり、シニアになったときの認知症予防にもつながります。
じゃあどんどん運動させればいいのかというと、犬の体に負担がかかるような散歩のさせすぎも逆効果です。足腰に負担がかかり、関節炎などの原因になります。やはり愛犬の体力に合った適切な時間や距離で散歩させるのが一番です。
犬に散歩させないことの、もう1つの大きな害はストレスです。外に出られないことで、ストレスがたまると、家の中の物を壊す、怒りっぽくなるなど、問題行動と言われることを繰り返すようになります。これは、犬の性格が悪いのではなく、完全に飼い主の責任です。犬を散歩させないことは、犬本来の性質を無視した一種の虐待と言えます。
犬の散歩のトラブルと対処法
散歩を嫌がる・歩かない
ほとんどの犬は散歩が好きなものですが、中には散歩が嫌いで拒否する子もいます。飼い主としてはなぜだろうと首をかしげたくなりますが、犬が散歩を拒否するのには、必ず理由があります。
全く散歩に行きたがらない子は、おそらく散歩デビューしたときに、何か怖い思いをした可能性が大きいです。このような場合は、飼い主が抱っこして外に連れて行き、徐々に慣れてもらうしかありません。
今までは散歩に行っていたのに、ある時から拒否するようになった場合は、体調不良が考えられます。体のどこかが痛む、飼い主が気づかないうちに病気を発症しているなどで、散歩が負担で行きたがらないわけです。一度、動物病院で診察を受けましょう。
また、散歩の途中で座り込む、動かないというのも、よくある困り事です。それには、いくつかの理由が考えられます。
- 進行方向に怖いものがある
- 疲れてしまった
- 何かを観察している
- 誰かを待っている
- どこかが痛む
このように、犬が散歩の途中で座り込んで動かなくなるのには、さまざまな理由があります。まずは、犬が動かなくなったら、よく観察してみましょう。怖がる様子を見せているなら、何を怖がっているか、周囲を見渡して考えてみましょう。他の犬や人がいる、工事などで大きな音がしているなど、何か理由が見つかるかもしれません。
犬が何かを観察していたり、誰かを待っていたりする場合は、関心のある方向に耳を立てている、鼻を動かしてにおいをかいでいるなど、それらしいサインが見られます。ある程度好きにさせておけば、そのうち犬のほうから立ち上がって、再び歩き出すことが多いです。少しぐらい立ち止まっても、散歩には支障ありませんので、ちょっとつき合ってあげてもいいでしょう。ただし、車や自転車などに気をつけて、犬の安全は確保してください。
犬がリードを引っ張ってしまう
犬の散歩にまつわる困り事で、一番多いのが引っ張り癖ではないでしょうか。散歩に必要なしつけの項目で、犬が引っ張らないように歩くしつけを説明しましたので、ぜひ試してみてください。
引っ張り防止用のグッズも販売されていますが、正しく使用しないと意味がありません。引っ張り癖がどうしても直らないようなら、ドッグトレーナーに相談して、グッズを使ってしつけをするのも1つの方法です。
特に、ゴールデンレトリバーのような大型犬に引っ張り癖があると、飼い主の力では制御できず、散歩に行くこと自体難しくなってしまいます。大型犬は早いうちから、飼い主の歩調に合わせられるように、きちんとトレーニングしましょう。
人や他の犬に吠えてしまう
散歩中に人や犬に吠えてしまうというのも、よくある困り事です。多くの場合、子犬のうちの社会化不足が原因で、他の人や犬を過剰に警戒して吠えてしまうのです。このような場合は、根気がいりますが、徐々に慣らしていくしかありません。まずは距離をとりながら、他の人や犬が危険なものではないと、飼い主自身が落ち着いた態度で示してあげましょう。
また、犬によって性格が違いますので、臆病なわんちゃんの場合、怖さから吠えてしまうことがあります。そのような場合は、散歩のしつけの項目で説明したように、他の人や犬が見えたら方向転換して、そばに寄らないようにしてあげましょう。
ストレスがたまっているため、外に出たら興奮状態になって、人や犬に吠えてしまう場合もあります。このような場合は、愛犬の生活環境を見直すことをおすすめします。家の中がいつも騒がしくて、犬が落ち着ける場所がない、留守番の時間が長すぎるなど、ストレスの原因を取り除いて、落ち着いて生活できるようにしてあげましょう。
石や草を食べてしまう
散歩中の拾い食いも、よくある困り事ですね。食べ物ならともかく、石や草を食べてしまうことに困っている飼い主さんもおられると思います。
石を口に入れてしまうのは、たいてい子犬です。好奇心から、食べられるものかどうか、何でも口に入れてしまいます。飼い主としては、あわてて吐き出させようとしてしまいがちですが、少し見守ってあげると、食べ物ではないことがわかって、自分から吐き出すはずです。
それでもガリガリとかんで、石を食べてしまったら、次からは飼い主が気をつけて、犬が石を口に入れないようにさせましょう。口に入れようとしたら、「ダメ」と言って少しリードを引っ張って合図してやめさせます。多くの場合、成長するにしたがって、石などには興味を示さなくなっていきます。
さて、草についてですが、犬が草を食べる理由は、実はよくわかっていません。胃もたれのせいで草を食べるとよく言われますし、確かにそのようなときに草を食べたがるように思えますが、真相は謎です。
草は自然のものだから、食べても問題ないと思いがちですが、除草剤の問題があります。公園の芝生や雑草に除草剤がかかっていて、食べてしまって中毒で亡くなってしまう犬もいます。また、植物の中には、犬にとって有毒なものがあり、それを全て把握するのは難しいため、やはり中毒を防ぐために、草は食べさせないほうがいいのです。
草を食べないようにするためにも、石の場合と同じしつけが必要です。食べようとしたら、「ダメ」と言ってやめさせます。初めは執着して、どうしても食べようとするかもしれませんが、しつけを繰り返すうちに、声をかけるだけで食べるのをやめるようになります。
リードを噛んでしまう
散歩中に犬がリードを噛むのは、多くの場合、子犬だと思います。リードをおもちゃだと勘違いして、散歩中にじゃれついてしまうのです。このような場合は、飼い主が「こら!」などと声を上げて引っ張ると、よけいにおもちゃだと思い込んでしまいます。
子犬にリードはおもちゃではないと教えるには、嚙んだときに「ダメ」と落ち着いた声で言って、リードを放させます。噛むのをやめたら、ほめてあげましょう。繰り返し行うことで、子犬はリードはおもちゃではないと覚えていきます。
犬がリードを噛む他の理由は、リードを噛んで引っ張ることで、飼い主に「こっちに行きたい!」と伝えるためです。この場合は、なぜ犬がそちらに行きたいか、確認が必要です。何か犬の嫌がるものはないかなど、注意して見てあげましょう。もしちゃんと理由がわかれば、方向転換して、進路を変えてあげます。
特に理由が見当たらない場合は、犬がわがままを言っている可能性もあります。飼い主に「こっちだよ!」と命令しているような感じですね。こういう場合は、飼い主と犬との関係を見直す必要があります。普段から犬の言いなりになっていないか、意識的にチェックしてください。そして、もう一度、飼い主と犬との関係を築くために、毅然とした態度をとるように心がけましょう。
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まとめ
いかがだったでしょうか?このように「犬の散歩」といっても、準備・しつけ・散歩に行く頻度や距離など、様々な知識や時間の確保が必要です。
もし、犬を毎日散歩に連れていかなければいけないことはわかっていても、忙しくてどうしても難しいときは、「犬の散歩代行サービス」を利用してみるのもいいですね。
愛犬が健康に、長生きできる手助けにもなりますので、毎日の生活ルーティーンの1つとして、できる範囲で散歩につれて行く習慣を付けてみてください。