犬は頭がいい!
一般的に、犬は頭がいい動物と言われています。実際、犬と人間の脳の構造を比較してもほとんど変わりはなく、人間に例えると2~3歳児並みの知能を持つと考えられています。具体的に言うと、数や時間などといった抽象的な概念は理解できないものの、数個の単語の組み合わせが理解できるレベルです。
また犬は記憶力がよく、ドイツで行われた実験において単語を200語以上覚えられることが確認されています。この実験とは別ですが、なんと!1000語以上の単語を覚えた犬もいるそうです。
犬と人間の脳の構造で大きく違うのは大脳新皮質の大きさです。大脳新皮質は、計画や倫理、思考をつかさどっています。犬はこの大脳新皮質があまり発達していません。しかし、感情をつかさどる大脳の構造は人間とほとんど変わらないため、「好き」「嫌い」「うれしい」「楽しい」「怖い」というような人間と同じような感情や感覚があると考えられています。
このように2~3歳児並みの知能を持ち、200以上の単語が覚えることが可能で、人間と同じような感情や感覚を持つ犬たちは、やはり頭がいいと言えるでしょう。警察犬、探知犬、補助犬、救助犬、セラピー犬など、人間のために働く犬たちが多くいるのも納得です。
では、数多く存在する犬種の中でも特に頭がいいとされているのは、どのような犬種なのでしょうか?8犬種ご紹介していきます。
頭がいい犬種①ゴールデン・レトリーバー
美しいルックスと性格のすばらしさから、世界的に人気のある大型犬。もともとは、鳥猟で撃ち落とされた獲物を回収(レトリーブ)する犬として作られた犬種です。
特徴
程よく筋肉のついたたくましい体つきと、ゴールドの美しい毛並みが魅力的です。密生している下毛は、水を弾く機能性を持っています。アーモンド型の優しい瞳が温和な印象を与え、多くの人々に愛されます。
性格
穏やかで賢く、フレンドリーな性格をしています。活発で体力もあり、体を動かすことが大好きです。他のレトリーバー種と比べるとやや幼いところがあり、はしゃぎすぎたり、興奮しすぎたりしてしまうことがあります。大変愛情深く、飼い主や家族と過ごすのが大好きです。
飼う時の注意点
活発で体力があるため、毎日十分な散歩が必要です。社交的で、ひとりになることが苦手なので、ふれあいの時間もしっかり確保しましょう。穏やかな性格ですが、体が大きくパワフルなので、子犬の頃からしっかりしつけていくことが大切です。
頭がいい犬種②プードル
プードルというと、トイ・プードルの可愛らしいイメージが強いですが、身体能力や知性に優れた犬種で、水辺で猟師が撃ち落とした鳥を回収したり、サーカスでパフォーマンスをしたり、トリュフを探したりと、豊かな才能を内に秘めています。
特徴
スタンダード、ミディアム、ミニチュア、トイの4種ものサイズが揃い、カラーも白、黒、グレー、クリーム、アプリコットなどバリエーション豊富です。カールした被毛が一番の特徴で、カット次第でさまざまなスタイルを楽しむことができます。
性格
頭がよく従順で、しつけやトレーニングがしやすい犬種です。明るく活発で、遊ぶのが大好き。感覚が鋭い一面もあります。
飼う時の注意点
サイズによって運動量は異なりますが、活発な性格なので毎日の運動は欠かせません。散歩だけでなく、積極的にボール遊びなどもするといいでしょう。
抜け毛は少ないですが、お手入れを怠ると被毛が絡まり、毛玉になってしまいます。美しい被毛を保つために少なくとも週に2~3回、できれば毎日ブラッシングをしましょう。また、毛は伸び続けるので、定期的なカットも必要になります。
頭がいい犬種③ドーベルマン
19世紀後半に、フリドリッヒ・ルイス・ドーベルマンによって作出されました。ドイツでは唯一、犬種の創立者の名前に因んだ犬種名です。護衛犬としての歴史から、優秀な警察犬、警備犬、軍用犬として活躍しています。
特徴
滑らかな短毛に包まれた筋肉質な体が、運動神経に長けた印象を与えます。その歩く姿は優雅で美しく、自信に満ちあふれています。
とがった耳と短い尻尾というイメージが強いドーベルマンですが、本来は垂れ耳で、中くらいの長さの尻尾をしています。それなのにとがった耳と短い尻尾をしているのは、生後間もなく断耳・断尾をしているためです。しかしヨーロッパでは近年、動物愛護精神の高まりによって、断耳・断尾を行わない慣習が広がっています。
性格
非常に利口で、家や家族を守る防衛意識が強く、テリトリーへの侵入者には警戒心を見せます。飼い主への忠誠心が強く、飼い主の要望に一生懸命応えようと努力するため、トレーニングしやすい犬種と言われています。強そうな見た目から怖いという印象を持たれがちですが、実は穏やかで落ち着いています。
飼う時の注意点
大変活発な犬種なので、毎日十分な運動が必要です。運動量が足りないと欲求不満に陥り、破壊行動を起こしたり、指示に従わなくなったりすることがあります。
狩猟本能が強く、散歩の途中で小動物を追いかけたり、ドッグランなどで小型犬を追ってしまったりすることがあります。しっかりと制御するために、遠距離からでもスワレやフセ、呼び戻しの指示に従えるように日々のトレーニングを行うことが大切です。
頭がいい犬種④ジャーマン・シェパード・ドッグ
19世紀~20世紀初期にドイツで交配された犬種です。もともとは牧羊犬ですが、優れた嗅覚や冷静な洞察力が評価され、現代では警察犬・麻薬探知犬・災害救助犬など、幅広い分野で活躍してしています。
特徴
頑丈そうな引き締まった体と大きな立ち耳が印象的です。体高より体長がやや長く腰が下がり、体のラインが滑らかなカーブを描いています。
性格
知的能力と洞察力が高く、自分で考える力がありながら服従心の強い犬種です。与えられた命令には最後まで忠実に従おうとします。見知らぬ人には警戒心を怠りませんが、飼い主や家族に対しては愛情深いです。
飼う時の注意点
才能豊かな犬種だけに、飼い主にも精神力と体力が求められます。運動不足などによるストレスは問題行動につながるため、1日2回1時間ずつしっかり散歩を行う必要があります。
屋外で飼育する場合は、暑さと湿気に弱いので注意が必要です。また、屋外で飼育すると、防衛能力や警戒心が前面に出やすくなります。
頭がいい犬種⑤ラブラドール・レトリーバー
ゴールデン・レトリーバーと並び人気の大型犬です。ゴールデン・レトリーバーと同様に、猟師が撃ち落とした鶏などを回収する事が主な仕事でした。
特徴
骨太で、しっかりとした体つきをしています。警察犬、麻薬探知犬、災害救助犬、盲導犬などとして幅広く活躍しています。
性格
攻撃性が低く、優しく穏やかで友好的です。子供とはもちろん、他の犬や他のペットとも仲良くできる犬種と言われています。知的レベルが高く、自分で考えて判断する能力と高い服従性を兼ね備えています。また、活動的で好奇心旺盛な一面もあります。
飼う時の注意点
活動的で体力があるため、毎日1日2回1時間ずつくらいの散歩が必要です。退屈な時間が多くなると問題行動を起こす場合があるので、散歩だけではなくボール遊びやフライングディスクなど回収作業も取り入れてあげるといいでしょう。
食欲旺盛で、太りやすい体質のため肥満に気をつけましょう。また、フードの早食いによる胃捻転や腸捻転にも注意が必要です。
頭がいい犬種⑥ボーダー・コリー
8世紀後半から11世紀にかけてスカンジナビア半島などで活躍していたバイキングが、イギリスに持ち込んでいた、トナカイ用に連れてきた牧畜犬がその祖先だと言われています。1994年にカナダの心理学者スタンレー・コレン氏が発表した「犬種別知能ランキング」で1位となった犬種です。
特徴
骨格のしっかりした体型をしており、長時間の作業もこなせるスタミナの持ち主です。走っている途中であっても、瞬時に方向転換できる俊敏さも持っています。運動神経抜群で、ドッグスポーツに向いています。
性格
大変頭がよく洞察力もあり、自分で状況を判断して動くことができます。活発で、作業意欲が高い犬種です。飼い主や家族には深い愛情を見せますが、他人や他犬には関心が薄く、あまり自分からは近づこうとしません。犬同士で遊ぶよりも、人と一緒に作業するほうを好みます。
飼う時の注意点
運動能力と知性が高い犬種のため、飼い主にもそれに見合った体力と知性が求められます。散歩は1日2回、それぞれ1時間程度は必要です。毎日の散歩にプラスして、時間に余裕のある週末などは、フライングディスクやアジリティなども取り入れてあげるのが理想的です。
もともとは牧羊犬のため、自転車やオートバイを追って飛び出してしまうことがあるので、散歩中は飼い主に従って歩くようにしっかりとトレーニングをする必要があります。
頭がいい犬種⑦シェットランド・シープドッグ
名前の通り、スコットランドのシェットランド諸島発祥の牧羊犬です。「シェルティ」の愛称で親しまれています。
特徴
胸と尻尾のふさふさとした飾り毛がゴージャスです。見た目がラフ・コリーによく似ていますがサイズ以外にも、足と胴体のバランスや首の位置などのプロポーションに微妙な違いがあります。
性格
明るく活発ですが、内気で繊細な面も持ち合わせています。服従性と知性が高く、理解力もあり、トレーニングしやすいと言われています。人を喜ばせることが大好きで、飼い主や家族に献身的な愛情を見せます。牧羊犬としての本能から警戒心が強く、比較的よく吠えます。
飼う時の注意点
運動不足でストレスがたまると、無駄吠えの原因になることがあるため、毎日十分な運動が必要です。被毛がダブルコートで厚くもつれやすく、抜け毛も多いので十分な手入れが必要になります。
頭がいい犬種⑧パピヨン
フランスとベルギー発祥で、祖先犬はスペインのスパニエルの一種です。15~16世紀くらいに誕生し、16世紀フランスのルイ14世王朝時代に、上流階級でもてはやされた犬種です。
特徴
最大の特徴は、大きな耳です。「パピヨン」とはフランス語で「蝶」という意味で、蝶の羽に似た耳をしていることからこのような名前が付けられました。耳の長い飾り毛が優雅な印象を与えます。体つきは華奢に見えますが、とてもスタミナがあります。
性格
頭がよく従順で、何事にも意欲的な姿勢を見せるため、しつけやすいでしょう。しかし、自己主張が強い面もあります。社交的で活発です。見知らぬ人や他の犬、他のペットとも仲良くできます。
飼う時の注意点
甘やかしたり、あいまいな態度をとったりすると、賢さが災いしてわがままになることもあるので注意が必要です。小型犬ながらも活発な性格で運動を好むので、毎日適度に運動をさせてあげましょう。
最後に
頭がいいと犬種を8犬種ご紹介しましたが、いかがでしたか?
頭のいい犬種は飼いやすいと思われがちですが、頭のいい犬種を飼うには飼い主にも力量が求められます。犬の運動量と知性を満足させるトレーニングや遊びを飼い主が与えてあげられないと、ストレスで気が荒くなったり、飼い主の言うことを聞かなくなったり、飼い主を下に見るようになることもあります。
頭がいい犬種を飼う時は、こうしたこともよく考慮した上で迎え入れましょう。