パグに高い割合で歩行の異常が見られる!?
スウェーデン農業科学大学をはじめとした複数の大学の研究者によるリサーチで、パグのほぼ3匹に一匹が歩行になんらかの異常があることが明らかになりました。
パグやブルドッグなどの短頭種の犬では、行き過ぎた外見重視の繁殖から健康上の様々な問題が取りざたされてきました。歩行の問題もそのひとつなのでしょうか?
スウェーデンのパグの飼い主を対象にした大規模調査
研究のための聞き取り調査は2015〜2016年にかけてスウェーデンのパグの飼い主550人を対象にして行われました。回答者の飼っているパグは1歳、5歳、8歳に限定しました。質問項目は
- 「飼っている犬の歩行に何か問題がありますか?」
- 「ある場合、それはいつ頃始まりましたか?」
など他多数です。
歩行の問題とは「足をひきずる」「よろける」「筋肉の弱さ」などが挙げられます。また歩行に問題が有ることに関連して「ジャンプができない」「肉球や爪の磨耗や擦り傷がありますか?(足をひきずるため)」なども含まれていました。その他にも、歩行とは直接の関係がなさそうに見える他の健康上の問題に関する質問も含まれていました。
研究者はパグが歩く様子のビデオも募集しました。「リードを着けた状態でゆっくりと歩く様子を」と指定され、分析するのに十分な画質のビデオは59件寄せられました。
調査の集計結果は?
さて気になる結果ですが、記事の最初で述べた通り、歩行に異常があると考えられるパグは31%の割合という高さでした。
けれども調査に協力した飼い主のうち80%の人々は、自分の犬の歩行は正常だと思っていたそうです。実際に正常だと言える犬の割合は69%だったわけですから、異常があるにもかかわらず飼い主が気づいていないというのは、犬の健康にとって大きな問題です。
また爪や肉球の磨耗や擦り傷を報告した飼い主の大多数が、自分の犬の歩行は正常だと思っていました。爪や肉球のこのような状態は足を引きずっていることを示しているので、歩行異常の明らかな証拠だと言うのに、です。
ビデオでの分析では、10%の犬に歩行の異常が見られました。
また、これは予想された範囲でしたが、犬の年齢が上がるほど歩行異常の割合は高くなりました。反対に意外だったことに、体重と歩行異常の可能性には関連が見られませんでした。
歩行の問題は他の健康問題ともリンク
パグの健康上の問題と言えば、上位に挙げられるのは呼吸障害ですが、歩行に問題のある犬には呼吸障害も共通して多く見られました。
他には、首や顔周りの過度の掻き癖、失禁などが歩行異常のある犬に頻繁に発生していました。
これらのことは、歩行に異常のあるパグでは神経学的な健康問題がより一般的であることを示しています。他の犬種では歩行異常は神経系よりも整形外科的な原因があるのが一般的なのだそうです。
さらに深刻なことに、調査の対象になったパグのうち47匹が調査機関中に亡くなったのですが、歩行異常が大なり小なり犬たちの死因に関連していました。研究者は「パグの歩行異常の問題は今まで考えてこられたよりもずっと深刻な問題かもしれません。」と述べています。
まとめ
愛嬌のある姿から人気の高いパグですが、呼吸障害やパグ脳炎など特有の健康上の問題が多いことも知られています。そういった健康問題が遺伝や繁殖による姿の改変と関連があることから、パグの繁殖を見直す運動も行われています。
今回、複数の大学や獣医師の研究チームによる調査で明らかになったパグの歩行異常が繁殖に関連しているのかどうかは未だわかりません。
けれでも3匹に1匹という高い割合で歩行になんらかの異常があり、他の健康問題との関連も示唆されていることはパグの健康問題の改善への大きな手がかりとなりそうです。
獣医師や科学者がパグが抱える様々な健康問題を解決するための研究を続ける一方で、ブリーダーや一般の飼い主も、見た目の愛らしさだけでなくパグの健康と幸せも強く意識してほしいですね。
ユーザーのコメント
30代 女性 匿名
これから注意してみてあげようと思います。