聴覚障害を持つ犬との接し方と注意点

【獣医師監修】聴覚障害を持つ犬との接し方と注意点

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人間よりも聴覚が優れている犬ですが、中には聴覚障害を持つ犬もいます。それは一つの個性でもあります。今回はそんな聴覚障害を持つ犬との接し方と注意点をご紹介します。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

犬の聴覚障害

耳を立てる犬

犬の聴覚

犬の聴覚は人間の4倍ほどだといわれます。これは同じ音を出した時に、犬は人間より4倍遠い場所にいても聞こえるということです。また、特に犬は人間と比較してより高い音(高周波)に敏感だといわれています。そのため人間には聞こえないような、遠くにいる小動物の甲高い鳴き声をキャッチすることができます。一方、ドライヤーや掃除機などが出す高い音についても、人間以上に不快感を感じてしまうといえます。

また、犬は母音を聞き取ることはできますが、子音の聞き取りが苦手だともいわれています。例えば「さんぽ」という言葉は犬には「あんお」と聞こえているのだそう。そのため「たんぼ」と言った場合でも、犬には「さんぽ」と同じ音に聞こえるため「散歩に行ける!」と勘違いしてしまうなんていわれています。

犬の聴覚障害

人間と比較して、より高く、より遠くの音を聞くことができる犬ですが、中には聴覚に障害を持つ犬もいます。人間と同様に「先天的」に障害を持つケースと、「後天的」に障害を負うケースがあります。

先天的に聴覚障害を持つ場合、生まれつき音がない世界で生活をしているため、犬にとっては不自由を感じることはないかもしれません。逆に飼い主さんが犬とコミュニケーションを取る上で不自由だと感じることがあるかもしれません。こういった場合は飼い主さんがその犬の個性だと理解して、聴覚に障害があることを前提としたコミュニケーションを取ることになります。

一方、後天的に聴覚障害を負ってしまった場合、これまでにいた「音のある世界」と異なる世界で生活することになるため、犬自身が混乱してしまうことが考えられます。これは人間でも同じですよね。犬の不安を理解し、音がなくとも快適に過ごせるように飼い主さんがサポートをしていくことになります。

先天的、後天的関わらず、耳が聞こえなくても犬とコミュニケーションを取ることは十分に可能です。コミュニケーションを諦める必要はないのです。

聴覚障害を持つ犬との接し方

眠る老犬

アイコンタクトをとろう!

聴覚の障害は関係なく、犬とのコミュニケーションには「アイコンタクト」が大切です。アイコンタクトはしつけの基本だともいわれますよね。まずはアイコンタクトをとることでコミュニケーションが始まります。

通常、アイコンタクトをとる際には犬の名前を呼んだり、声を掛けます。耳が聞こえない犬が注意したいのは、アイコンタクト前の注目をさせる際にこの「音」が使えないということです。そのため初めは「おやつ」や「おもちゃ」を使うことで、飼い主さんへ注目を向けていきます。

おやつやおもちゃで飼い主さんへ注目すること(アイコンタクトすること)を覚える過程で、犬は飼い主さんの「手の動き」を意識するようになります。これは次のステップで重要になってきます。

コマンドは手話を使おう!

指を見ている犬

アイコンタクトをとって飼い主さんの手の動きに注目できるようになったら、次に号令となるコマンドを教えることになります。耳が聞こえない犬の場合、このコマンドに「手話」を用いることになります。

声でかける号令と同じように、手話もシンプルで分かりやすいものがいいでしょう。オスワリのコマンドは右手の平を上から下ろす、マテのコマンドは手の平を犬に向ける、ダメのコマンドは手でバツを作る、などです。犬の手話に決まりはないため、独自の方法で構いません。飼い主さんと犬が覚えやすいものを決めていきましょう。

犬がコマンドを実行できたら、たっぷりと褒めてあげることが何よりも大切です。しっかりと愛犬の顔を見て、笑顔で撫でたり拍手をして喜ぶ姿を見せてあげてください。耳が聞こえなくとも態度で示すことで、飼い主さんの気持ちは犬にも伝わります。ぜひ大げさなくらい喜びの感情を見せてあげてください。

聴覚障害を持つ犬と接する際の注意点

不思議そうな顔をする犬

  • 犬に見える位置から近づく
  • 振動で近付いていることを知らせる

聴覚障害を持つ犬と接する際に注意したいのが「犬を驚かせない」ことです。耳が聞こえない犬にとって、死角から人や動物が近づいてくることは大きな恐怖です。「犬に見える位置から近づく」「振動で近付いていることを知らせる」ことを意識してください。

また、お散歩の際は飼い主さんが犬の耳代わりになりましょう。必ずリードを付けて、背後や左右から近づく人や車には飼い主さんが注意を向けるように気を付けてあげましょう。

特に後天的に聴覚障害を持ってしまった犬の場合、その不安は計り知れません。飼い主さんが十分なサポートを行うことで、少しでも不安を取り除いてあげたいものです。

まとめ

草むらの中にいる犬

耳が聞こえていないとなると、コミュニケーションを難しく感じるかもしれません。しかし、体に触れたり、笑顔を向けることで十分にコミュニケーションを取ることは可能です。犬にとって、飼い主さんに身体を優しく触れられることや、笑顔を見ること、においを感じることは心地良いことです。耳が聞こえなくとも、目で見て、においを感じることが犬にとって大切な刺激になるのです。

しつけを行う上では、声で号令をかけるよりも手話を使うことは根気がいります。しかし、やはり犬にとっては飼い主さんとコミュニケーションを取りながら、指示に従い、喜んでもらうことは何よりも嬉しい事です。少し時間はかかるかもしれませんが根気強く続けることで、必ずコミュニケーションは取れます。どんな状況になっても愛すべき愛犬。工夫しながら、ぜひ絆を深めていってくださいね。

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