肥満だけじゃない?わんこのお腹の膨らみ
お腹の膨らみの原因は、もちろん、肥満の場合もあります。ただし、肥満が原因の場合には、お腹だけではなく、身体全体にお肉がついてきますから、背骨やあばら骨、腰骨を触ってみればすぐにわかります。骨を触ることができなければ、太りすぎです。肥満は病気ではありませんが、健康リスクを高めることは確かですので、ダイエットを考えてくださいね。
ただし、お腹だけがぽっこりと膨らんでいる、食べ過ぎや運動不足というわけではないのにお腹が出てきた、という場合は、肥満以外の可能性が高いです。肥満だと思って食事量を制限したり、無理な運動をさせようとしては逆効果ということもあるのです。
腹水が原因でお腹が膨れる病気
お腹の膨らみを触ってタプタプとする感じがあったり、膨らんでいる箇所が触ると移動したり変形したりするような場合には、腹水が溜まっていることが疑われます。腹水は、下に紹介するように、いろいろな疾患が原因で発生します。
1.肝硬変・肝臓がん
肝硬変とは、肝臓の組織が繊維化して、血液をろ過するフィルターが目詰まりしてしまったような状態です。そのため、血液中の水がお腹に漏れ出してしまい、これが腹水として溜まってしまうのです。8歳以上のシニアのわんこに主に発症しますが、若いわんこでもまれに発症することがあります。肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、症状が目に見えて現れたときにはすでに病状が重篤化していることがほとんどです。肝臓がんになっている場合も同様の症状が起こることがあります。 疑わしいときには、すぐに動物病院を受診しましょう。
2.腹膜炎
腹膜炎とは、腹腔内の臓器に損傷や感染等によって腹膜が炎症を起こす疾患です。お腹が膨らむことはもちろんですが、激痛を伴うことも大きな特徴なので、触ると嫌がったり身体を丸めたりするようになります。最悪の場合亡くなることまありますので様子がおかしい場合はできるだけ早く受診しましょう。
3.うっ血性心不全
心不全とは、心臓の機能低下によって全身に様々な症状が現れている状態のことをいいます。心不全に陥ると心臓から全身に血液が順調に送り出されなくなり、最悪の場合は逆流やうっ滞を引き起こします。そのため、血管から体液が血管外に押し出されるようになってしまい腹水として溜まってしまうのです。体液は腹水だけでなく、胸や肺の内部に溜まって胸水や肺水腫となることもあります。
4.寄生虫感染
多くの飼い主さんは、毎年、愛犬にフィラリア駆除薬を定期投与しているかと思います。お腹が膨れる(腹水がたまる)のは、このフィラリアに感染した場合の症状の1つでもあります。フィラリアは感染すると死に至ることもある恐ろしい感染症ですが、フィラリア駆除薬によって確実に予防できますから、面倒くさがらずに必ず予防を行ってください。
腹水以外の原因でお腹が膨れる病気
5.胃捻転・胃拡張
食事をとった後、何らかの原因で胃の中にガスが大量発生して膨れあがってしまうことを胃拡張、また、それによって胃がねじれてしまうことを胃捻転といいます。特に、大型犬に多く発症する疾患です。食後の運動のしすぎや大食い・早食いが原因という説がありますが、詳しくは解明されていません。処置が遅れると死に至ることもある怖い疾患なので、食後は愛犬のようすを注意深く見守り、いつもより異常にお腹が膨れていたり、元気がなくなったり、変った様子があれば、すぐに動物病院を受診しましょう。
6.ガン
ガンによる大きな悪性腫瘍がお腹にできていることで、お腹が膨らんでいる可能性も考えられます。お腹が膨らむほど腫瘍が大きくなるまでには時間がかかりますが、肝臓や腎臓、脾臓などのガンでは他の症状を併発しないまま進行していくことがあるので要注意です。
また、ガンの場合にも腹水が溜まることがあります。
7.腸閉塞
腸閉塞とは、異物を飲み込んでしまったことによって腸が詰まってしまい、その部分が膨らんでしまう疾患です。腹痛を伴いお腹が膨らむのは重度な閉塞状態なので、腸閉塞によってお腹が膨らんでいた場合にはすぐに症状が悪化します。異常に気づけない可能性は低いでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?ご紹介したように、お腹の膨らみがシグナルになっている病気には、命に関わるものも少なくありません。「病院に連れて行って、ただ太っているだけと言われたら恥ずかしいし……」とためらってしまう飼い主さんもいるかもしれませんが、たとえただの肥満であったとしても、その裏に病気が隠れていたり、肥満が病気を引き起こすリスクもありますから、むだな受診にはなりません。少しでも不安や異常を感じることがあれば、ためらわずに動物病院を受診しましょう。
ユーザーのコメント
40代 男性 匿名
10代 女性 あーちゃん
このような状態はなんの病気なんですか?
30代 女性 もなか
数日前から急にお腹の張りが気になった為、かかりつけの病院へ。
最初は「肥満によりガスが溜まっている可能性があります」と言われましたが納得出来ず、詳しく検査を申し出てレントゲンと血液検査をしてもらう事に。レントゲンの結果、こぶし大の大きな脾臓腫瘍でした。血液検査の結果も貧血が酷く、高齢の為、手術もかなり難しく手術中に失血死してしまう危険性があったので手術は断念。1ヶ月程ステロイド剤(ベタメタゾン)で投薬治療を行いましたが、貧血の数値が回復することはありませんでした。幸い、体調は今のところ安定していますが、お腹の張りはさらに大きくなっています。いつ破裂してもおかしくない状況ですが、手術をしてもわずかな延命治療にしかならず、病院嫌いのこの子を病院に預けてそこで死なせてしまうより、大好きなおうちで看取ってあげることを選択しました。あと何日生きられるかわかりませんが、常に寄り添っていきます。