後住犬が来るまで
犬を増やす前にチェックしておきたい点
もう1匹愛犬を増やしたいと思ったら、まずこの4点は必ずチェックしておきたいところです。
- 犬を2匹飼育できる環境が整っているか
- トリミングや予防注射、ホテルに預けた際の料金など全てが倍になる事に問題は無いか
- 家族全員が納得しているか
- 先住犬が他の犬と同居させたことで強くストレスに感じる性格では無いか
1匹も2匹も変わらないなんて思ったら大間違い。もちろん可愛さも倍増しますが何より、出費が倍増します。また、後住犬にパピーを考えているのであればパピー用の小さなケージなど必要な物を揃えなくてはなりません。
我が家も後住犬は生後2か月の子犬でお迎えしたので、先住犬用のケージの他に小さめのケージを用意しました。この時は家の中のスペースがかなり取られたという印象があり、ある程度広さのある飼育スペースを確保できなければ、人間の生活に支障が出ると感じました。
また、我が家の二匹はどちらも定期的にトリミングが必要な犬種で、二匹だから少し割引きしてくれると思ったら大間違い。単純にトリミング費用が毎月倍掛かるようになり、年に一度の予防接種やフィラリアの薬なども当然ながら倍の費用がかかります。
家族の誰か1人でも反対している場合は、話し合いを重ねる必要があるでしょう。微妙な空気の中で飼育される後住犬も可哀想ですし、2匹の世話をするには家族の助けが必要不可欠となります。
最も重要なのが先住犬の性格をよく考えることです。とてもやきもち焼きだったり、他の人や犬に対してかなり警戒心が強い性格の場合は、後住犬がいきなり自分の縄張りに入って生活を始めることに強いストレスを感じてしまう場合があります。
犬の性格には個体差があり、毎日一緒に生活してきた飼主さんでなければ分からない事です。今一度、先住犬と向き合って後住犬をお迎えしても大丈夫なのかを考えてみてください。
監修ドッグトレーナーによる補足
1頭で散歩している時にはなかった引っ張り癖が、2頭で散歩に出かけるようになると引っ張ってしまうことはよくあります。
引っ張り癖をつけさせないためにも、時間を作れるのであればしばらくは散歩も別々にしてあげる方が良いかもしれません。
後住犬とのご対面
我が家の後住犬は、実は先住犬の弟です。母犬が同じで父犬が違う異父兄弟で、2匹目を飼うならば実の弟犬が良いと家族全員の意見が一致し、産まれてくるのを待っていました。
先住犬とは1歳半離れており、産まれたと知らせを受けた際にブリーダーの元に先住犬を連れて行きました。いきなり家へ知らない犬が現れるよりも段階を踏みながら少しずつ分からせていきたいと考えたからです。数回の面会の度に先住犬も連れて行き、最初は不思議そうにあまりにも小さい弟犬を見て匂いを嗅いでいました。
ブリーダーによっては犬と一緒に来ることをお断りしているところも多いと思いますので、連れて行く際には必ず事前に確認が必要です。
後住犬がいよいよ我が家へ!先住犬の反応は?
自然な流れを意識して後住犬を迎え入れる
後住犬がいよいよやって来る日を、まるで赤ちゃんがやって来るような緊張感と期待感に包まれながら家族みんなで心待ちにしていました。
ケージやフードを始め、赤ちゃん犬が生活できる環境を整えると、その変化を先住犬はしっかり感じ取っているようでした。不安を感じているかもしれませんが、そこは無視していつもと変わらぬ接し方をするよう心掛けたことで、機嫌を取るような行動をする必要は無く、弟が来る日までいつもと変わらぬ日常を過ごすことができました。
いよいよ、先住犬も連れて弟犬を引き取りに。我が家の場合は、後住犬がまだ幼かった事と、母犬から初めて離されてしまった事もあり最初のうちはケージの中で夜泣きもひどく、母犬を求めて数日鳴く事もありましたが、徐々に慣れて鳴かなくなりました。
先住犬はケージの外からじっと弟犬を見ていたり鼻を近づけたりして興味津々。弟犬も徐々に近づいてくる先住犬を怖がることも無く、匂いをかがせてあげていました。
この時に、後住犬を抱っこした後はかならず先住犬にもたっぷり愛情を注いでやることを忘れませんでした。
犬同士の関係は犬同士で築かせる
ある程度慣れてくると、今度は弟犬から先住犬に積極的に近寄っていくようになり、パピー特有の噛み付きも最初の頃は先住犬に容赦なく行われていましたが、先住犬は噛みつかれても弟犬の顔を舐めて落ち着かせていました。先住犬には噛んではいけないというしつけをしっかりと行っていたおかげで、後住犬に噛みつくことは一度もありませんでした。
もちろん先住犬にはリーダーシップを取ってもらわなければと思っていたので、2匹の様子を気にしながらもあまり手出しはせずに、あまりにもしつこく噛んで来る弟犬に嫌気がさして私のところに先住犬が逃げてきたときだけは抱っこして助けてあげました。
人間への噛み癖は人間がしつけをしなければいけませんが、犬同士の噛みつきは犬同士で解決させる方が良いと考えた結果、その方法が功を奏して先住犬のことを噛む事は無くなりました。
また、我が家では必ず先住犬が一番目で後住犬は二番目というルールを作り、食事の順番やお散歩のリードを外す順番まで拘り徹底させることで、更に犬同士の上下関係が確立されたものになったと思っています。
監修ドッグトレーナーによる補足
基本的に「犬同士の関係は犬同士に任せる」ことはとても大切。飼い主ができることは、ケージやサークル越しに合わせたり、合わせる時間を決めるなどの状況をセッティングする事、と覚えておくと良いでしょう。
全てにおいて飼い主が関わってしまうと、相性が悪くなくても犬同士の関係性がこじれてしまう可能性があります。先住犬と後住犬の性格を理解した上で、見守ることが大切です。
唯一失敗したこと
我が家の先住犬と後住犬は、徐々に良い関係を築くことができ、まるで兄弟であることが分かっているかのように仲良しです。たまに喧嘩もしますが、先住犬は後住犬を怯えさせるような行動は一切せず、興奮が収まるまで待ってくれています。
そんな仲良しの2匹のしつけが全て上手くいったかのように見えますが、唯一失敗したことがあります。
それは、先住犬が後住犬を守ろうとするようになり警戒心が強くなって吠え癖がついてしまった事。そして、先住犬が吠えまくり他の人間や犬から常に守られてしまった後住犬は、家族以外にまったく懐かなくなったことです。
この原因は2匹一緒の散歩にあり、別々に散歩に連れて行けばここまでひどくはならなかったのではと考えています。先住犬にとって後住犬に近づいてくる家族以外の者は敵であり、後住犬にとって家族以外の者は怖いものになってしまいました。
犬の性格にもよるのでしょうが、多頭飼いをする場合にはこのような事も起こり得ると覚えておいてください。
まとめ
新しく犬をお迎えする場合、1匹も2匹も変わらないと考えるならばもう一度よく検討してください。費用や先住犬の性格などを考え、家族全員が迎え入れる事に前向きであることも確認しましょう。
先住犬の次が後住犬であるという順位付けは、犬の世界では大切な事です。飼育の上でも順番を付けて行う方が良いでしょう。2匹になると大変な事もありますが、幸せも倍増したように感じます。検討されている方には、是非この記事を参考にしていただけたらと思います。
監修ドッグトレーナーによる補足
あなたが思い描いていた多頭飼いの生活とは異なる結果になっても大丈夫か?どんなことになってもそれを受け入れる事が出来るのか?これを忘れないでください。
たとえば、2頭が仲良くならなくても良いとか、吠えたり噛み癖が多少つくのは仕方がないなど、言葉にすることは簡単です。もちろん、大らかな考えの飼い主さんもいらっしゃいますが、しつけで改善することは想像以上に苦労されることでしょう。
預かる命が増えることはとても大変なことです。何があってもどの子も手放すことのないよう、先のことまで想像して慎重に新たな家族をお迎えするようにしてください。