老犬介護の問題~1人で悩まずに相談をしよう~

老犬介護の問題~1人で悩まずに相談をしよう~【獣医師監修】

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何年も家族として元気に過ごしてきた愛犬もいつかは必ず老いはやってきます。その時介護するのは飼い主としての努めです。ですが私が何とかしなければという気持ちから追い詰められ介護疲れで参ってしまい冷静でいられなくなる事もあります。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

老犬介護

女性とビーグル

今まで家族で一番元気だった愛犬もいつかは私達飼い主よりも先に歳をとります。歳をとれば、いつかは病気になり介護が必要になります。

「私がこの子を何とかしてあげなければ。」
「私が看取らなければ。」
と思う飼い主さんは多いと思います。

最初はその気持ちで頑張れますが、長期になってくると先の見えない介護で自分を追い込んでしまい、介護の疲れから冷静でいられなくなる事もあります。
私が動物病院で出会った患者さんのお話です。

痴呆が始まったビーグル

眠るビーグル

私が初めて働いた動物病院であった出来事です。15歳の外飼いのビーグルでした。
飼い主さんは何処にでもいるような優しそうなお母さんです。犬には痴呆症状の徘徊や夜鳴きが出始めていました。

その中でも1番の問題は夜鳴きです。外飼いだった犬を家の中で介護し始めましたが、ビーグルの鳴き声はとても響きます。家も防音設備を整えましたが夜中密集した静かな住宅街だと犬の鳴き声は響きます。

夜鳴きがひどかった夜はご近所を回りお詫びしていたそうです。私達も、昼夜逆転しないよう日光浴や軽度な運動やお昼寝過ぎないよう気をつけてもらったり、不安感から鳴くので優しく声かけをしてもらったり飼い主さんは出来ることは全てやってくれました。

でも最初はうまくいっても長く続かず、また同じように鳴いてしまいます。睡眠薬や鎮静剤の投与も行いましたが、お薬もだんだん効かなくなりそんな状態が半年近く続き、日に日に飼い主さんに笑顔が無くなり疲労の色が見えはじめました。

悲しい選択

ある日、泣きながら飼い主さんは言いました。

「もう限界です。安楽死してほしい。」

夜鳴きの事でご近所の方から苦情を言われ、介護の限界を感じていた飼い主さんは疲れ切っていました。

「最後まで面倒みてあげられなくてごめんね。」

「何もしてあげられなくてごめんね。」
泣きながら犬に話しかけていました。

先生は「今安楽死しても後悔しませんか。もう少し考える時間が必要ではありませんか。」
と尋ねました。

飼い主さんは

「本当は安楽死なんてしたくありません。でも、ご近所にこれ以上迷惑をかけられない。」
そう言って犬に謝り続けていました。

その後先生の提案で、考える時間と飼い主さんの休息の為に病院で1週間お預かりする事になりました。

老犬介護の難しさ

介護される犬と女性

お預かりしている間、お世話させてもらいましたが本当に大変でした。
まず鳴き声が大きくドアを閉めても響いてきます。散歩も介助が必要です。体を支えないと倒れてしまうので気をぬけません。

食事も目も見えないので介助が必要となり体を支えてあげないと食べれません。食べたら排泄をするので、便をしたらすぐにとらないと徘徊の際に踏んでしまいぐちゃぐちゃにしてしまいます。そのぐちゃぐちゃになった上で眠ってしまい、体中汚れてしまう事もありました。

これをほぼ1人で24時間お世話されていたのかと思うと、介護の難しさを感じました。

でも安楽死という選択はしてほしくないと思う気持ちの方が強く、祈るような気持ちで1週間お世話させてもらいました。

決断

1週間後飼い主さんが来られました。少し飼い主さんは元気になったようにみえ、吹っ切れたようにもみえました。

この1週間犬と離れて生活してみて、この子の大切さを感じやはり最後まで面倒をみると決断されました。苦情を言われたお家に頼み込み、もう少し介護させてくださいと伝え了解を得たそうです。

久しぶりに会った飼い主さんは犬を抱きしめ、痴呆であまり感情がなかった犬も嬉しそうにしっぽを振っていました。あの介護の大変な日々を思うと喜んでいいのか解りませんが、その姿に犬と飼い主さんとの絆をみた気がしました。

その後半年間介護を続けられましたが、冬の寒い日の朝突然亡くなりました。

不思議な事に亡くなる前の数日は夜鳴きをせずグッスリ眠ってくれ、横で眠っていた飼い主さんも安心して眠れ朝起きたら亡くなっていたそうです。

最後に親孝行してくれたと嬉しそうに飼い主さんは話してくれました。

「あの預かってもらった1週間があったから最後までお世話出来ました。ありがとうございました。」
そう言ってくれました。

まとめ

犬の足と人の手

愛犬の介護は飼い主の義務です。それは忘れてはいけません。犬を飼うという事は命を預かるという事ですが、でも介護は簡単ではありません。

特に痴呆が始まると、体は動く事は出来きますが頭は正常な判断が出来なくなり今まで通りとはいかなくなります。介助が必要となり、目が離せない状態が長く続きます。

その時に1人で介護をしていると気持ちが落ち込み悪い事しか考えられなくなります。その時に誰か相談出来る人がいればまた違ってくると思います。

1人で悩まずに誰かに相談してほしいと思います。友達や家族お散歩友達など、誰でもいいので話してみて下さい。私達動物病院のスタッフでも構いません。

何処までお役にたてるか解りませんが、少しでも飼い主さんの負担を減らせるよう提案するつもりでいます。私が出会った飼い主さんは悲しい決断をされませんでしたが、介護に疲れ悲しい選択をする飼い主さんもいます。

悲しい決断をする事なく、最後まで愛犬との時間を大切に過ごしてほしいと願っています。

ユーザーのコメント

  • 投稿者

    20代 女性 匿名

    読んでいてホロリときてしまいました。
    安楽死を決断された時は飼い主を心のなかで責めてしまいました。
    愛犬と山のなかに引っ越せば良いのにって。
    だけど共に生きて看とる決断をされ、安楽死を希望した時は、疲れから正常な判断が出来なかったのだと感じました。
  • 投稿者

    40代 女性 そら

    二週間前、目を離した瞬間階段から落ち、病院に入院。3日で退院!内臓は大丈夫だと…
    退院から4日後、下痢、食欲なし、水も飲まないので、急いで病院へ
    即、入院10日経っても下痢が治らず
    でも、面会に行ってグッタリした顔を見たら
    たまらず、家に連れ帰ってしまいました
    10月で16歳のわんこ
    連れ帰ったのはいいけど
    下痢と嘔吐、痛い思いをさせたくない為
    家で様子見
    寝姿を見ていると涙が溢れる
    無理矢理退院させて私は、飼い主失格?
  • 投稿者

    50代以上 女性 匿名

    我が家も15歳になったビーグル犬がおります。 近い将来必ずや訪れる介護問題、我が家の愛犬と重ね合わせて涙なしでは読む事は出来ませんでした。私が壁にぶちあたる前に読む事が出来て本当に良かったです。この大切な命、最後まで面倒を見てあげたいと思います。
  • 投稿者

    50代以上 女性 匿名

    我が家のボストンテリアも2週間前亡くなりました。13歳6ヶ月でした。5月に急にてんかん発作がおき、投薬後10月に再び大きい発作がおきました。病院の先生からは脳になんらかの障害がおきているとのこと。体力面も考えて手術はできないと言う話でした。その後は脳から来る痴呆のような症状が出始め、徘徊・排泄物を踏みまくる・食事介護・白内障もありそこらじゅうにぶつかり狭いところに入ったり落ちたりと目が放せませんでした。幸い夜鳴きは無かったためご近所は気付きませんでした。毎晩居間で添い寝し、家族が交代交代で見守っていました。毎日の寝不足から日中の仕事に支障をきたすようになり『安楽死』と言う言葉が頭をよぎることもありました。亡くなる10日前からだんだん食べなくなり、動くことも出来なくなり横たえた体をなでたり、洗ったり、向きを変えたり・・・。ただ話しかけるだけでしたが毎晩涙を流していました。最後の時は私が仕事中でしたが娘と息子が看取ってくれました。今でも泣けてきます。でも最後まで看てあげられたような気がします。それぞれの家庭の状況があると思いますが、私は病院の先生と家族に助けられました。色々な選択肢にぶつかったとき、話ができる相手を作っておくとよいと思います。
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