時間の感覚
犬と私達では時間の流れが違います。私達の1年は犬にとっては約4年です。
4倍の速さで生きる犬達のために私達飼い主は何をしてあげれば良いのでしょうか。
年齢の計算方法
動物病院で働いていると
「今で◯歳だけど、人にしたら何歳ぐらい?」
とよく聞かれます。
年齢の計算方法は色々な考え方や大型犬など体の大きさによって違いますが、小型犬や中型犬の場合、私が働いている病院では1歳で体の成長もほぼ止まる事から20歳ぐらいになると考えています。1歳が20歳ならそれ以降は4歳年をとると考えるので、例えば10歳なら1歳で20歳、残り9年×4才としおよそ56歳ぐらいとお答えしています。
1時間の留守番は4時間の長さ
4倍の速さで年を取るという事は、私達の1時間は犬にとっては4時間ぐらいの感覚を感じている事になります。たった1時間のお留守番も犬にとって4時間の留守番です。
その間は人のようにテレビをみたり、ゲームをしたり、本を読んだりすることもなく、じっと家族の帰りを待ってくれています。「ただいま」と帰ってきた時に嬉しそうにしっぽを振って出迎えてくれる愛犬をみると、仕事の疲れも吹き飛ぶぐらいの癒しを与えてくれます。待ってくれている存在がいる事は幸せな事です。でも待つ事は辛く、いつもの時間の流れよりも遅く感じます。その時間にじっと耐え、飼い主さんの帰りを待ってくれているのです。
おかえり。ただいま。
以前愛犬を亡くした飼い主さんが話してくれました。
「いつも仕事から帰ってすぐ愛犬に「ただいま」って声を掛けていたけど、入院中に亡くなり亡骸を抱いて家に帰りいつもの愛犬のベットに寝かせてあげた時、いつもは「ただいま」と言っていたのに初めて「おかえり」と言ってあげた事に気がついた。元気な時は何気ない毎日の習慣だったけど、初めて愛犬の気持ちがわかった気がする。いつもこんな気持ちで待っていてくれたのかと思うと、もっと一緒にいてあげればよかった。」と言っていました。
今の時代仕事をしている人の方が多く、ずっと愛犬と一緒にいたくても出来ない人も多いと思います。私も仕方がない事だと思っていました。でも愛犬を病気で亡くした時に唯一後悔した事は、もっと一緒にいてあげたかったという事です。
愛犬の為に出来る事
話しかけてあげて下さい。
毎日「大好き」を言葉で伝えてあげて下さい。言葉は解らないかもしれないけど、気持ちは絶対伝わります。
「大好き」「いい子」「いつもありがとう」
言葉は何でもいいと思います。
私の亡くなった愛犬は、先天的な病気で完治は望めませんでした。年を追うごとに病状は酷くなりいつ何があってもおかしくない状態でした。それが解った日から、毎日大好きを伝えようと思い毎日話しかけました。解ってくれていたのかは解りませんが、話しかけると私の顔をみつめ安心したような顔をしてくれました。それが亡くなった愛犬の為に後悔なく出来た唯一の事です。
体に触れてあげて下さい。
それに毎日少しでもいいので、毎日触れてあげて下さい。優しく体を撫でてあげる事で、それだけで犬は幸せです。
病院でかなり状態が悪く諦めかけていた時、飼い主さんが毎日面会にきて毎日体に触れただけで、意識のなかった子が少しずつ意識を取り戻した事もありました。それだけ大好きな飼い主のさんに体に触れてもらえる事は、犬にとって生きる力となっている事を忘れないでいてほしいと思います。
最後に
動物看護師という仕事柄、最後の場面に立ち会う事はよくあります。お別れは突然やってきます。昨日まで元気だっ子が、病気や事故など予期せぬ事で突然お別れしなくてはいけなくなります。どんなに健康に気をつけていても、いつかは私達飼い主よりも先に旅立ちます。その時に後悔しても、もう時間は戻りません。
仕事が忙しくてどうしようもない事もあると思います。でももし、少しでも早く帰れる日や休みの日は、毎日家で待っている犬達と1分でも長く一緒にいてほしいです。たくさん体を撫でてあげて下さい。好きな気持ちを伝えてあげて下さい。
犬達は一緒にいてくれるだけで、何もしなくても幸せを感じてくれる優しい生き物です。短い生涯を世界一幸せな生涯にしてあげてほしいと思います。
ユーザーのコメント
女性 ゴン吉
家族と一緒の時間をたくさん持ち、楽しいこと嬉しいこと幸せなことでいっぱいにしてあげたいですね。