犬の社会化とは
犬の社会化とは、犬が人間社会で暮らして行くために必要な対応能力を身につけることを指します。
犬には「社会化期」と呼ばれる社会化を身につける時期があり、この時期に社会への対応力を身につけないまま成長してしまうと、後に問題行動を引き起こす可能性が高くなります。
犬の社会化トレーニングでは、人間との暮らしで接することになるさまざまな音や物、飼い主や飼い主以外の人、他の犬や生き物など、さまざまなものに慣れるようにします。社会化が身についていれば、犬は新しいものを抵抗なく受け入れることができ、生涯にわたり人間と円満に暮らしていくことができるのです。
犬の社会化期
犬が社会化を身に付ける時期を「社会化期」と言いますが、一般的な子犬の場合生後3週齢~12週齢がその期間にあたります。社会化期の子犬は好奇心旺盛で、興味のあることを積極的に学ぼうとします。
この時期に家族以外の人や犬と触れ合ったり、色々な体験をしたりして社会に慣れることがとても重要です。子犬を迎え入れるのは生後2ヶ月を過ぎた頃が多いため、家についたらすぐに社会化のトレーニングをはじめるとよいでしょう。
犬は生後4ヶ月(生後13週齢以降)をすぎてしまうと警戒心や恐怖心を覚えるようになり、吠えたり、隠れたりという行動を見せるようになります。この時期は「第二の社会化期」と言われているため、引き続き社会化のトレーニングを続けましょう。
生後7ヶ月をすぎる頃からは思春期がはじまると言われ、思いがけない行動をしたり、今までできていたことができなくなったりといった様子が見られます。
この時期には、犬の様子をしっかり観察しながら、適切なトレーニングを取り入れるようにします。
子犬の社会化の重要性
社会化の失敗
社会化期のうちにさまざまな経験をしていないと、警戒心や自我が強い犬になってしまうことがあります。社会化期には通常、母犬や兄弟犬と暮らし、犬同士の関わりの中で社会性を身につけていきます。
人間と一緒に暮らす場合でも、社会化期にさまざまな経験をしなければ、社会化を身につけることができません。人間との生活に慣れるためにどのような経験をさせるのか、社会化の目的をしっかり認識して犬と接することが大切になるでしょう。
社会化不足による問題
社会化が不足すると警戒心や恐怖心が強くなるため、吠える、攻撃する、逃げるなどの問題行動を引き起こすことが多くなります。
また、社会に慣れるという経験が少ないまま育つと、自我も強くなり、新しいものを受け入れらず、苦手なものが増える傾向にあるようです。
社会化の不足は他のしつけにも大きく影響する問題なので、適切な時期にしっかり対処することが重要です。
社会化不足の治し方
社会化が不足したまま成長した犬をしつけなおすのは、とても時間がかかる作業で、飼い主さんの根気が必要となります。まずは社会化を一から教えるつもりで周りの環境に慣らしていきましょう。
犬の様子をしっかり観察し、何を見て吠えているのか、何に対して威嚇しているのかを知ることが大切です。また、社会化が不足しているからという理由で飼い主が犬に過保護に接してしまったり、怖がったりすると、犬はそれを敏感に感じ取ります。
飼い主は犬に対してきぜんとした態度で接し、犬が反応せずに我慢するなど、できるようになったら褒めてゆっくり慣らしていきましょう。
子犬の頃の社会化トレーニング
音に慣れるトレーニング
社会化のトレーニングとしてまず大切なのは、人間と暮らす環境に慣れさせることです。
ドライヤーや掃除機の音など、自然界にない音を犬は恐怖に感じてしまうため、少しずつ生活音に慣れるようにします。ここで大切なのは、初めて聞く音に対しても「怖くないから大丈夫」ということを伝えていくことです。
小さな音から慣れるようにするなどの工夫をし、時間をかけて教えていきましょう。
人や犬、物に慣れるトレーニング
社会化期には飼い主や家族だけでなく、他の犬や人と接する機会を積極的に作ってあげましょう。
散歩のできない時期は抱っこ散歩で外出し、人や車の多い場所や、お店などが並んでいるにぎやかな場所を歩くようにします。
散歩ができるようになれば、ドッグランなど犬が集まる場所に連れて行き、たくさんの犬と交流できるようにするとよいトレーニングになるでしょう。
噛まない、吠えないためのトレーニング
社会化の時期に噛む力をコントロールできるようにしつけておきましょう。
通常、犬は社会化期に兄弟犬とじゃれたり喧嘩をすることで、「強く噛むと痛い」ということを学びます。しかし、兄弟から離れて暮らす子犬は噛む力加減を学ぶことができずに育ってしまうので、社会化期に飼い主がトレーニングすることが大切です。
噛む力はおもちゃで遊びながら教えることができます。おもちゃで遊ぶ中で、飼い主さんの手などを甘がみをしたら「痛い」と叫んで遊びをやめ、しばらくしたら遊びを再開します。
これを繰り返すことで人を噛んではいけないことを教えていきます。
具体的なトレーニング方法について知りたい場合は、動物病院で開催されているパピークラスなどに参加して、他の犬と交流しながらしつけを学ぶもの良いでしょう。
成犬になってからの社会化トレーニング
成犬になってからの社会化トレーニングは、しつけなおすのに時間がかかるため、大変根気のいる作業になりますが、じっくり向き合えば不可能ではありません。
犬の問題行動の原因を理解し、根気強くトレーニングしながら克服していきましょう。難しいと感じた場合は、信頼できるプロのトレーナーに相談してみるのもよいでしょう。
まとめ
犬には「社会化期」と呼ばれる時期があり、この時期に人間との生活や環境、他の犬に慣れるなど色々な経験をして、しっかり社会化を身に付けておくことが大切です。
子犬から飼う場合はもちろん、成犬を迎え入れる際にも、日々の暮らしの中でさまざまな経験を積み重ねながら、社会性を身につけるようにサポートしていきましょう。
ユーザーのコメント
女性 抹茶ロール
40代 女性 こたママ
40代 女性 ネーブル
生後3ヶ月でお迎えし、ワクチン等が終わり散歩に行けるようになったのは生後4ヶ月近くの頃です。
幸い、外を怖がるという様子はなく、散歩に行くのは好むタイプでしたが
何せ飼い主がビギナー。どうやって、愛犬と散歩をすればいいのかすらもよくわからない中
心配だったのは、他者や他犬とのコミュニケーションでした。
例えば、飼い主の手の甘噛みは駄目なことは学習していても
「人間の手」を甘噛みしては駄目という認知には至っていない点とか
他のワンちゃんを噛んだり噛まれたりということが起こったらどうしようと、不安ばかりが先に立っていました。
社会化が必要なのは頭ではわかっていても、事故を起こすぐらいなら、そこそこのレベルでいいのではないだろうかか?街に馴染んで大人しく歩くだけで十分ではないか?しかし、飼い主はそう思っていても、愛犬の方はどうにもお友達が欲しかったり、出会う人が好きな様子であることは、無視できずにおり、一体どうしたらいいのだろうと悩む日々が続きました。
きっかけになったのは、生後半年頃のこと。
老犬を連れたおじいさんが「この子は何をしても怒らないから、ワンちゃん、好きに絡ましたり」と声をかけてくれたこと、「そこの公園に同じ年頃の同じ犬種の子がいるから遊びにおいで」と通りすがりに声をかけてくれたおばさんがいたこと。この2つをキッカケに、愛犬よりも飼い主の方が勇気を出して、コミュニケーションを取ろうと奮起した結果、たったの数日で友達のワンちゃんができ、プロレスごっこに励んだり、その傍ら、先輩犬には挨拶の仕方等もキッチリ教わっていたようです。
また、飼い主さん達に触れ合うのが楽しかったのか、出会った人には「こんにちは」と目をみつめて愛想するという技も身につけました。不思議なことに、あれほど心配した、人の手を甘噛みすることもなかったのです。
外での楽しみが出来てからは、「早く散歩に連れて行け!」とウルサクはなりましたが(笑)、見た目だけでなく、内面がぐっと成長しました。
社会化というと人間社会に合わせた躾を施す要素が強いように感じますが、それは違います。ワンちゃんが人間社会という枠組の中で、楽しく(なるべくストレスなく)幸せに過ごすためにしてあげるのが目的です。
ワンちゃんの可能性を信じてあげること、飼い主さんが勇気を出すことが第一歩。
私の場合は、先輩飼い主さんがキッカケとなりましたが、時にはプロの手を借りるのもいいかもしれません。生後4ヶ月が臨界期というのは、ちょっと厳し過ぎるかと思いますが、「うまくいかない期間」を長引かせたまま成犬になってしまう前に、キッカケをつかむ方がいいようには思います。
30代 女性 ラッキー
40代 女性 はるか
30代 女性 ここあ