子犬期のコミュニケーションの大切さ
社会化の大切さ
子犬の社会化期は生後3週から10~12週といわれています。親兄弟との十分なコミュニケーションの中で、犬が犬としての当たり前の刺激を受けて育つべき理想的な期間はこの時期を含めて生後6ヶ月位までです。
現在日本では子犬は生後45日つまり7週ほどで販売されていますが、実際にはもっと早い時期に親から離され、狭い箱で競りにかけられて運ばれている犬が多いのが現状です。
早期に親から離された不安や恐怖によるストレスは脳の発達や情緒不安定につながるため、子犬を迎えたら安心と信頼を感じてくれるようなコミュニケーションを心掛けましょう。
リーダーではなく家族としてのコミュニケーションを
子犬のうちにリーダーは人間だと覚えさせるとか、寝場所は人間と区別するとか、決まった時間以外はケージで大人しくさせるなどと考えずに、どうしたら犬が幸せに暮らせるかということを軸に犬とのコミュニケーションを考えてみましょう。
ここを間違えてしつけやリーダー論を押し付けると子犬はストレスを増長させながら成長し、吠えや咬みつきなど不安からくる問題行動につながってしまいます。
子犬との4つのコミュニケーションで注意すべきポイント
①散歩は大事な社会化プログラム
少し前まで散歩はワクチンプログラムが終了してからといわれていましたが、これは不特定多数の犬が集まるような場所に連れて行かない限り心配ないとされています。
ワクチン終了まで待っていると大事な社会化感受規を逃してしまいます。この時期は人や他犬、猫など他の動物に最も慣れやすい時期であるとともに、自分の周りの環境にも適応しやすいのです。
そのためには散歩というよりも安全な場所まで抱っこで連れていって、草の上などで短い時間で外遊びをさせるのが理想です。外の空気に触れ、草や土の匂いを嗅ぐことは脳を適度に刺激して好奇心を満足させます。
外遊びは五感をフルに使うのでお腹も空くため、よく食べよく寝るので発育に良いだけでなく、退屈やストレスが原因の甘噛みを予防できます。
しかし、この時期は悪い経験も一生のトラウマになるほど影響します。だから子犬を一日中ゲージで過ごさせたり、一人ぼっちで留守番させたり、興奮状態の犬が走り回るドッグランや、落ち着かない雰囲気の場所には連れて行かないようにしましょう。
②抱っこは子犬が落ち着いた時に
可愛い子犬を迎えるとついつい抱っこをしたくなってしまいますが、あまり頻繁に撫でまわしたり抱っこしたりと構いすぎるのはよくありません。
人間の赤ちゃんと同じと考えてください。赤ちゃんは満腹になったらぐっすり眠ることで成長していきますよね。子犬も同じで、ご飯と睡眠は一番大事な事です。満腹になったらぐっすり寝かせてあげて、自然に目覚めるまでは撫でたり抱っこしたりしないようにしましょう。
そして、抱っこは両手で包み込むように必ずお尻を支えて抱っこします。まだ骨も丈夫でなく、人間の胸の高さから落としたら骨折してしまうこともあるので気をつけましょう。
また、抱っこする前にピーピー鳴るおもちゃなどでじゃれさせてしまうと興奮してしまい、抱っこするときにも暴れて危ないのでやめましょう。
起きているときは基本的に、家の中を安全な状態にして自由に探索させてそれを見守りましょう。やたら抱っこしたり、名前を呼んだり、撫でまわしたりしないようにします。
撫でてほしい時は犬の方から「撫でてー」と寄ってくるようになりますし、座っていれば膝にもたれかかってくるようになります。
抱っこは慣れさせるものではありません。必要最低限にしましょう。
③シャンプーは日本独自のもの?
本来、犬はシャンプーをしなくても自然の汚れは落ちるようにできています。シャンプーを頻繁にするのは実は日本独自の最近の習慣で、ヨーロッパなどではほとんどしないのが普通です。
まして子犬は体も出来上がっていない状態なので、犬用のシャンプーでもすすぎが十分でないと皮膚病の原因になりかねません。
濡れた状態も風邪をひきやすいのでドライヤーなどで乾かすとなると、子犬にとってはかなりのストレスになります。
外でゴロゴロして糞のように臭いものを体につけてしまったら、そこだけ石鹸を泡立ててつまみ洗いをしてきれいにふき取る程度にしましょう。体臭の原因がシャンプーだという場合も多いので、特に子犬には必要ありません。
④コミュニケーションとしての顔舐め
顔は舐めさせない方がいいの?
子犬に限らず、犬は人を舐めるのが好きですね。特に顔や口元を舐めたがる事があります。
犬の口の中や唾液には人間に感染する菌がいるので舐めさせないようにした方が良いという情報もありますが、あまり神経質になる必要はないと思います。免疫力が極端に下がっているときやアレルギーのある場合は自己管理に気をつけるべきですが、手洗いやうがいなどの当たり前のことをきちんとしていれば問題ないと思います。
余談ですが、私が妊娠中に受けた病院の妊婦教室で「現在の管理された犬猫との触れ合いはほとんど問題なく、自分の中にいる菌が免疫力低下などで暴れだした方がよほど怖い」と教わりました。口の中まで舐めさせたり反対に犬の口を舐めたりしなければ大丈夫です。
どうして顔や手を舐めるの?
犬も猫も仲間同士の友好的な毛づくろいとして、眠そうにうっとりしながらお互いに舐めあう素敵なコミュニケーションをもっています。これをソーシャルグルーミングといいますが、飼い主も仲間と思ってくれているのです。
子犬の場合は親に甘えるしぐさとしても口元を舐めますが、成犬でも寝る前や起き抜けのまったり気持ちよい時、出かけていた飼い主が帰ってきた時などに手や顔を舐めにくるのは嬉しい気持ちが行動に出ているのです。
寝る前などは一緒の布団にいると、顔だけでなく手とか腕とかうっとりしながら丁寧に舐めてくれます。
そんな時はお返しにやさしいタッチでゆっくりゆっくりグルーミングのように撫でてあげましょう。
このようなコミュニケーションは犬にも人にも幸福感をもたらすセロトニンというホルモンの分泌が実験でも証明されており、双方の精神的安定と免疫力のアップにつながります。
犬の口は人の手の役目
犬の口の使い方は多用です。ソーシャルグルーミングはコミュニケーションとしての口の使い方のひとつであり、「物を運ぶ」「知らないものを確かめる」「子犬をあやす」「相手をなだめる」など人が手を使ってすることを犬は口を使ってします。
また、嫌なことを伝える時も口を使います。飼い主に叱られた時、ブラッシングなどのお手入れ中、訓練中などに口元や手をペロっと舐めるのは、犬が相手との関係を友好的にするために使うカーミングシグナルと同じです。人の言葉でいったら「優しくして、痛くしないで、怒らないで、落ち着いて」などと伝えているのです。
だから家族が喧嘩口調で話していたり、子どもを叱ったりすると愛犬が飛んできて怒っている方の人間の口を舐めにくるのはよくあることです。
そんな様子を見たら、その嫌がっていることを強要せずにやめてあげましょう。
まとめ
子犬期は毎日食べて寝て排泄して遊んで、日々すごいスピードで体重も増えて大きくなります。あっという間に子犬期は終わってしまいますから、しっかり向き合ってあげることが最も大切なことだと思います。
子犬は赤ちゃんと同じですので、目を覚ました時にお母さんがいないと不安になります。
ただでさえ早くに親兄弟と離されてるのですから、一人で留守番させる事がないように家族で協力しましょう。
外はもちろん室内も危ないものは片付けて、自由に探索させて判断能力を養いましょう。行き届かないまでも、犬のお母さんになったつもりで見守るべきなのです。
成犬の問題行動はほとんどが不安とストレスによるものといわれています。
子犬期を安心してのびのびと暮らした犬は自分で考える判断能力もあり、飼い主との信頼関係もしっかり構築されます。
大切なのは自由に心地よく過ごさせること。ケージなどで一人ぼっちにしておいて、出した時だけおもちゃでじゃれさせたり、走らせたり、抱っこや撫でまわしたりして、またケージに入れるパターンは情緒不安定を作っているようなものですから絶対にやめましょう。
犬は人の表情や声のトーンも驚くほどよく観察していますから、家族が仲良く穏やかで落ち着いたコミュニケーションができるのが理想です。
ユーザーのコメント
50代以上 女性 小麦母さん
そんな事もあり一軒家に住み替えたのですが性格は変わらず。今もワンワン、キャンキャン吠えています。もっと子犬の時に人や犬と触れ合っていたらもっともっと他の人に可愛がってもらえたのにと後悔しております。
でも、家族にはとっても優しい我が家の愛犬なのです。
女性 カミリアのまま
でも、後悔しても遅く、臆病で人も犬も怖がり、少しの音でワンワン吠え…ドッグランもいけません。散歩も嫌いで、震えてしまいうまく歩けません。
本当に反省しています。
今は、たくさんコミュニケーションをとるようにしています。お散歩は、無理せず焦らずのんびりと行くようにしています。
元気いっぱいで、イタズラばかりのおてんば娘に成長しています!