犬の下痢はなぜ季節の変わり目に増加するのか?
犬の下痢は季節の変わり目に多いと言われていますが、その原因には以下のようないくつかの理由が存在します。
気温や湿度の変化
季節の変わり目に犬の下痢が増える主な原因は、気温や湿度の変化です。
春や秋には気温が上がったり下がったりすることが多く、身体がストレスを感じると消化器系の働きが悪くなり、下痢を引き起こすことがあります。
アレルギーや感染症の流行
季節の変わり目はアレルギーや感染症が流行しやすい時期でもあります。これらの病気が原因で下痢を引き起こすことがあります。
特に注意が必要なのが、感染性の病気です。例えば、犬パルボウイルス感染症や犬コロナウイルス感染症などがあります。これらのウイルスは、感染力が強く、犬同士の接触によって簡単に感染が広がります。
また、犬の下痢が増える季節には、寄生虫による病気も増えます。特に、犬回虫や犬条虫などの寄生虫が原因で下痢が起こることがあります。
外出が多くなる
犬の下痢が増える季節には、外出時の注意も必要です。
特に公園やドッグランなど、他の犬と接触する機会が多い場所では、感染症や寄生虫に注意しましょう。
潜在病気を見抜く!下痢を起こす病気
犬の下痢は、単に季節の変わり目や食事の変化が原因で起こることもありますが、それだけでなく、潜在的な病気が原因であることもあります。
下痢を起こす病気の代表的なものは、以下になります。
感染症
犬パルボウイルス感染症や犬コロナウイルス感染症、犬ジステンパーなど、ウイルス性の感染症が下痢の原因となることがあります。
また、細菌性の感染症や寄生虫感染症も、下痢を引き起こすことがあります。
腸炎
急性腸炎や慢性腸炎は、犬の腸の炎症が原因で下痢を引き起こします。これらの病気は、食物アレルギーや感染症、ストレスなどが原因で発症することがあります。
消化器系の疾患
腸炎とは別に胃腸の機能不全や膵炎、肝疾患など、消化器系全体に関連する病気も、下痢を引き起こす原因となることがあります。
病気の可能性が隠れている下痢のサインとは
前述しましたように、犬の下痢の原因として、単に季節の変わり目や食事の変化以外に、潜在的な病気が隠れている場合があります。そのような犬の潜在的な病気を見抜くためには、下痢の状態や持続期間に注意することが大切です。
もし愛犬に以下のようなサインがあらわれた場合は、病気が隠れている可能性があります。
- 「下痢が長期間続く」
- 一時的な食事の変化やストレスによる下痢は、通常数日で治まります。しかし、下痢が1週間以上続く場合は、潜在的な病気が原因である可能性があります。
- 「血便や脱水症状がある」
- 下痢が激しい場合や血便がある場合、重度の腸炎や感染症が隠れている可能性があります。また、下痢によって脱水症状が起こると、犬の健康に深刻な影響を及ぼすことがあります。
- 「ほかの症状が伴う」
- 下痢だけでなく、発熱、嘔吐、食欲不振、体重減少、無気力などの症状が同時にあらわれる場合、病気が原因である可能性が高まります。
このように犬の潜在的な病気が疑われる場合は、早期に獣医師に相談することが大切です。早期に正確な診断を立てることで適切な治療法やケア方法をおこなうことができ、愛犬の回復を早めることができます。
また、潜在的な病気を予防するために、定期的な健康チェックやワクチン接種を受けることで、感染症や寄生虫感染を防ぐことができます。そして、適切な食事や運動、ストレス管理にも注意を払い、犬の免疫力を維持することが大切です。
「季節の変わり目」の犬の下痢対策としての予防とケア方法について
季節の変わり目の下痢が増える時期を乗り切るために、下痢対策をしっかりおこなうことで、愛犬の健康を守ることができます。
ここでは、季節の変わり目の犬の下痢対策について、予防とケア方法を徹底解説します。
予防対策
食事の管理:季節の変わり目には、犬の食欲が変化しやすく、下痢の原因となることがあります。消化のよい食材を選び、食事の量や与えるタイミングにも注意しましょう。また、急な食事の変更は避け、徐々に切り替えるように心掛けてください。
- 清潔な環境の維持
- 犬の住環境を清潔に保つことで、感染症や寄生虫感染を防ぐことができます。特に、トイレの掃除や消毒をこまめに行い、犬の寝床も定期的に洗濯しましょう。
- お散歩中の注意
- 散歩中の犬の様子をよく観察しましょう。犬が何か食べてしまうと、それが原因で下痢を引き起こすことがあります。特に、季節の変わり目には、腐った食べ物や有毒な植物が落ちていることがありますので、注意が必要です。
- ストレスの軽減
- ストレスは、犬の下痢の原因となることがあります。愛犬がリラックスできる環境を整え、適度な運動や触れ合いを提供して、ストレスを軽減させましょう。
ケア方法
- 水分補給
- 下痢を起こしている犬は、脱水症状を引き起こすことがあります。適切な水分補給を心掛け、いつでも水が飲める状態を維持しましょう。
- 消化を助けるサプリメントの利用
- 犬の下痢が続く場合、消化を助けるサプリメントを与えることを検討しましょう。プロバイオティクスや酵素などのサプリメントが、犬の腸内環境を整える助けとなります。
- 獣医師との連携
- 下痢が長期間続く場合や、他の症状が伴う場合は、早めに獣医師に相談しましょう。獣医師は、適切な診断と治療方法を提案してくれます。また、必要に応じて、獣医師と連携しながら愛犬のケアを行いましょう。
- 体調変化の観察
- 犬の下痢が始まったら、その他の体調変化も注意深く観察しましょう。食欲や活動量、排泄物の状態など、変化がある場合は速やかに獣医師に相談しましょう。
- 短期間の絶食
- 下痢がひどい場合や、嘔吐も伴う場合は、短期間の絶食を検討してください。ただし、絶食を行う際は、必ず獣医師と相談して行ってください。絶食後には、消化のよい食材や療法食を徐々に与えることで、犬の消化器官に負担をかけずに回復を促しましょう。
まとめ
犬の下痢は、季節の変わり目の一次的な症状のこともありますが、ときには隠れた病気のサインであることがあります。
愛犬の下痢が続く場合や、ほかの症状があらわれた場合は、速やかに獣医師に相談し、適切なケアを行いましょう。
愛犬の健康を守ることができるよう努めてください。隠れた病気を見逃さず、愛犬と共に健康で楽しい日々を送れることを願っています。
執筆者
アニホック動物病院グループ
総獣医師長/株式会社TYL 取締役
藤野 洋(ふじの ひろし)氏
日本大学生物資源科学部(旧 農獣医学部) 獣医学科卒業後、獣医師としてペットの総合商社に入社。主に獣医師として小動物臨床に従事しながら、ペット用品及び生体販売、フランチャイズ展開の知見を深める。2007年3月に株式会社フジフィールド創業。動物病院とトリミングサロンのドミナント多店舗展開を行い、複数店舗の開業/運営を果たす。2017年3月に株式会社フジフィールドをファンドに株式譲渡。動物病院のグループ化とIPOの土台を築くために、譲渡先であるファンド出資の会社にて代表取締役としてM&A推進と既存グループ動物病院及び店舗の運営全般を行う。2021年2月TYLに取締役として参画。