そもそも肛門腺絞りって？
1.肛門腺とは
肛門腺とは、お尻の穴の左右にある2つのいわゆる「ニオイ袋」のことです。スカンクがお尻から強烈な悪臭を出して敵に対抗することはよく知られていますが、実はこの匂いも肛門腺から出ています。
またお友達わんこと会ったときに挨拶でお尻を嗅ぎ合ったり、マーキングをしたりする
際にも、わんこ同士の大切な情報源となる匂いは肛門腺から分泌されています。
2.肛門腺絞りは何を絞るの？
肛門腺からは独特の分泌物が出ています。この分泌物は通常、排便時にウンチと一緒に排出されるのですが、中には排出が上手くいかずに健康トラブルに発展してしまう場合があります。
この健康トラブルについては後述しますが、トラブルを防ぐためにも重要なのが定期的な肛門腺絞り。絞るにはややコツがありますが、慣れてくればトリミングサロンや動物病院を頼らなくても飼い主さん自身で絞ってあげることができます。
要注意！肛門腺絞りをしないと起こること
1.お尻を舐めたり気にする
肛門腺絞りをしないと肛門腺に分泌物が溜まってぷっくりと膨らんできます。するとわんこもムズムズして違和感を覚えはじめるため、しきりにお尻を舐めたりお尻を気にするそぶりを見せはじめます。
2.お尻をズリズリして歩く
お尻のムズムズが続くと自分で何とかしようと、お尻をズリズリと床にこすりつけながら歩くような行動を見せはじめます。
ですが当然ながら、この行為だけでは肛門腺の分泌物をスッキリ出すことは不可能。かえってお尻を怪我してしまうリスクもあるので注意が必要です。
3.肛門嚢炎
ここまでご紹介した2つの行動は、いわば「肛門腺絞りをするべきサイン」。これらの異変に気付いた時点ですぐに肛門腺絞りを行えば、大事に至ることはほとんどありません。
ですがもしも気づかずに放置してしまうと、溜まった分泌液の中に細菌が発生し、肛門嚢炎を引き起こしてしまう可能性があります。
4.肛門嚢破裂
肛門嚢炎の段階でも適切な処置を行わずにいると、肛門嚢の中が分泌物でいっぱいになってしまった結果、肛門腺破裂という恐ろしい事態に陥りかねません。
肛門腺が破裂するとお尻の斜め下辺りに穴が開き、血や膿が出ます。破裂だなんて想像するだけで恐ろしいですが、わんこの痛みも想像するだけで辛いです。
5.肛門嚢摘出
重度の肛門嚢炎・肛門嚢破裂となってくると、外科手術による肛門嚢摘出が検討されます。体質的な問題でしっかり肛門腺絞りをしていても肛門嚢炎を繰り返してしまう子もいるため、そういった場合には再発防止とQOL向上のために摘出を行うことがあります。
肛門嚢を摘出したからといって寿命が短くなるなどの影響はありませんが、外科手術ですので麻酔などのリスクも心配になります。
まとめ
いかがでしたでしょうか？肛門腺絞りと言えば「何となくお尻のあたりを絞って分泌物を出すケアのことだろうな」くらいのイメージだったかもしれませんが、その重要性がわかっていただけたでしょうか。
肛門腺絞りの必要性は個体差がありますから不要な子は一切不要なのですが、普段トリミングなどで肛門腺絞りのケアを受けていない場合には、定期的に肛門腺のチェックをしてあげることをオススメします。
