犬のお腹がキュルキュル鳴る理由とは?
愛犬のお腹が「キュルキュル」とか「ゴロゴロ」と鳴っていると、なんだか心配になりますよね。わりと胃腸の弱い犬にお腹がキュルキュル鳴る症状がよくみられると言われていますが、なぜ音が鳴るのでしょうか?
犬でも人間でもお腹がキュルキュル鳴るのは、胃や腸などの消化管が動いているサインです。そのため、元気な犬でもお腹がキュルキュル鳴る場合もありますし、体調が悪い犬でもお腹がキュルキュルなります。
つまり、そのお腹の鳴りが犬にとって問題がないものかどうかを判断する必要があります。
フードが体に合っていない
犬にとっても、人間と同じように自分の胃腸に合うフード・合わないフードがある子がいます。
自分の胃腸に合わないフードの場合、消化の過程で胃腸に負担がかかったり腸内環境が悪かったりして、腸の動きが異常となりキュルキュル鳴ってしまうことがあります。
胃腸が疲れている
胃酸が過剰分泌している状態、つまり胃腸が疲れて機能が正常に働いていない場合、犬のお腹がキュルキュルとなることがあります。あまりお腹が空かなくなってしまう老犬や体が弱っている犬に、この症状がみられることがあります。
胃腸が消化運動をしている
胃で食べ物を消化中にも音がなることがありますし、食後に食べ物の消化が進み、食べ物が腸へと移動していくと共に、胃が動いたり腸のぜん動運動が活発になってキュルキュルと音が鳴ったりすることがあります。
お腹の中にガスが溜まっている
便秘になっている場合は、腸内でガスがたくさん発生して溜まりやすくなってしまい、お腹がキュルキュル鳴ることがあります。
お腹が鳴る以外にも、おならやゲップが増える、うんちが硬いために排便時にきばってもなかなか出ず痛そうにする、出る便が固く量が少ない、などの症状が見られることもあります。
ストレスを感じている
人間と同じで犬もストレスを感じると、自律神経が乱れるせいで胃腸の動きが乱れ、お腹が「キュルキュル」「ゴロゴロ」と鳴ったり、痛くなるといった症状が現れることがあります。
お散歩に連れて行ってほしいのに、なかなか飼い主さんに連れて行ってもらえない、甘えたいのになかなか甘える時間がない、来客があった、ホテルに預けられたなどが犬のストレスとなることがあります。
異物を飲み込んでしまった
犬が異物を誤飲してしまったとき、お腹がキュルキュルと鳴ることがあります。落ち着きがなかったり、吐くような仕草が見られた場合は危険な状態にある可能性があります。
もし、愛犬の誤飲に心当たりがある場合は、すぐにかかりつけの動物病院に連れていきましょう。
お腹が減っている
人間同様、空腹時に犬のお腹がキュルキュル鳴ることがあります。食べものを受け入れるための準備を整えているための動きで、音が鳴っていると考えられます。
犬のお腹がキュルキュル鳴る場合に考えられる病気
犬は病気が原因でお腹かキュルキュル鳴ることもあります。病気の場合はすぐに治療が必要な危険なケースもありますので、愛犬に当てはまる症状がないか確認しましょう。
膵炎
膵炎とは、膵臓に炎症を起こすことで、膵臓内の消化酵素が膵臓自体を溶かしてしまい重度の場合死に至る危険な病気です。 膵炎を起こした際に、お腹からキュルキュルといった音が鳴ることがあります。
症状としては、腹痛や嘔吐、下痢、食欲不振や震えなどが挙げられます。また、腹部に激しい痛みを感じると、フセの体勢でお尻だけ持ち上げるポーズをとることもあります。
愛犬がこのポーズをとっている場合は、膵炎などの理由で腹痛を起こしている可能性が高いので、早急に動物病院を受診しましょう。
腸閉塞
腸閉塞とは、異物の誤飲やさまざまな原因により腸が塞がれている状態で、命を落とす可能性もある危険な病気です。
初期症状としては、食欲不振、嘔吐、腹痛、便秘、下痢、腹部膨満(お腹が膨らむ)などが挙げられ、腸が塞がってしまうことでキュルキュルと音が鳴ることがあります。
これらの症状がみられ、かつ愛犬が何かを誤飲した可能性がある場合、早急に動物病院を受診しましょう。
過敏性胃腸炎
過敏性胃腸炎は人間と同じように、犬もストレスとの関連が深いともいわれていますが、明確な原因は分からないケースが多い病気です。
キュルキュルとお腹の音が鳴るほかに、急な腹痛や下痢、慢性的な軟便などの症状も挙げられます。原因が分からないことが多いため、このような症状がみられたら、獣医師に相談の上、適切な対応をとることが大切です。
寄生虫
回虫や瓜実条虫などの寄生虫が犬の体内に入り込むことで、消化器官に住み着いてお腹がキュルキュルと鳴ることがあります。
症状としては、食欲低下、消化不良による下痢、腹部膨満、粘血便などが挙げられます。愛犬にこのような症状がみられた場合は寄生虫の可能性があるので、動物病院で詳しく検査を受けましょう。
胃捻転
胃捻転とは、胃がねじれてしまう急性の病気です。急に胃が拡張すると起こることが多く「胃拡張・捻転症候群」とも呼ばれています。突然発症し、短時間で死に至ることもある危険な病気です。
原因は食後の激しい運動、早食いや一気飲み、胃下垂などといった要因が複雑に関連しているといわれています。
症状としては、お腹の音が鳴る以外にも、えずきや嘔吐、腹部膨満、虚脱などがあり、これらの症状がみられる場合は、早急に動物病院を受診しましょう。
犬のお腹がキュルキュル鳴る場合の病院に行くべき症状
愛犬のお腹がキュルキュル鳴っていたとしても、「食欲がある」「元気に遊ぶ」といった時には大きな問題になることは少ないでしょう。その場合は、一日ほど様子を見てあげてください。
しかし、お腹がキュルキュル鳴る以外にも、下記のような症状が「複数」現れている、または「数日以上続いている」ときには注意が必要です。
- そわそわして落ち着かない
- 排泄しようと何度もきばる
- 食欲が落ちている、または全く食べない
- 吐きたそうにえずいている、または嘔吐する
- 下痢、軟便
- 元気がなくて震える
- よだれが多く、ハアハアと荒い呼吸をしている
- お尻だけを上げて伸びをするようなポーズを繰り返す(祈りのポーズ)
- 血便
こういった症状が重なるなら、「お腹が痛い」「気持ち悪い」などのサインであったり、治療が必要な病気の症状であったりするのだと理解してあげましょう。特に「祈りのポーズ」は犬の腹痛のサインです。
また、下痢や嘔吐が1日のうちに何度も繰り返されるようであれば、「急性膵炎」や手術や投薬が必要な状態であることも考えられます。早く動物病院に連れて行って治療をしてあげてください。
上のような症状が現れている場合、何か異物を食べてしまった可能性も考えられます。家の中でなくなっているものや壊されているものがないか確認してみましょう。
よだれが多く、荒い呼吸をしている時は原因が何であれ緊急を要するでしょう。犬の状態を連絡し、すぐに動物病院に連れて行きましょう。
犬のお腹がキュルキュル鳴るときの対処法
愛犬のお腹がキュルキュル鳴るのを止めてあげるにはいったいどうしてあげたら良いのでしょうか?
腸内環境の改善を行う
胃腸を健康に保つことは、愛犬の長生きをサポートする秘訣の1つです。乳酸菌やサプリメントなどを与えて、腸内の善玉菌を増やし動きを良くしてあげると、腸内環境が改善されて、ぜん動運動が活発になったり、ガスの発生が抑えられることもあります。
犬に与えても問題のない整腸剤として「ビオフェルミン」と「エビオス」がありますので、試して見るもの良いかもしれません。ただし、必ず下記の関連記事に目を通して、愛犬の体に合った用量を守ってください。
腸内環境を整える身近な食べものとしては「ヨーグルト」がおすすめです。ただし、砂糖が入っていない無糖ヨーグルトを与えましょう。水に溶かしても良いですし、フードのトッピングとしても使えます。
絶食(24時間)させてみる
愛犬のお腹がキュルキュルとなっているけど、いつも通りに元気でれば24時間の絶食を行って様子を見るようにしましょう。絶食をさせることで不要物を体内から排出させる時間を確保することができます。
ごはんの回数を増やす(ただし量はそのまま)
犬のお腹がキュルキュルなる原因が空腹だった場合、ご飯の回数を増やして空腹になる時間を調整してみましょう。また、カロリーオーバーにならないように、1日のご飯の量はそのままでフードを小分けにしてください。
その他に、食物繊維が多い野菜や果物をトッピングすると良いかもしれません。食物繊維はお腹に残りやすいので、空腹にさせない対策としておすすめです。
犬のお腹がキュルキュル鳴る時にマッサージしても良い?
信頼する人に触れられることは、犬にとってはリラックスや精神的な安らぎにつながり、とても良いことです。正しいマッサージ方法であれば十分効果があると思われます。次に紹介する動画を参考にして、愛犬にマッサージを試して見るものいいかもしれません。
ただし、腸の動きを活発にするためのマッサージは、触る強さや腸の位置を間違うと逆効果になる場合があることを覚えておきましょう。
犬のお腹がキュルキュル鳴るときに草を食べるのは?
あまり多くはありませんが、お腹がキュルキュル鳴る前後に犬が草を食べる行動をとることがあるそうです。はっきりとした理由は分かっていませんが、子犬から老犬まで特に年齢に関わらず、草を食べて吐くことでお腹の調子をリセットしようとしているのではないかと言われています。
ただし、普段からよく草を食べるという犬も多くいますし、ただ単に草の食感が好きで食べていたり、自分で食べ物を手に入れていた頃の名残だという言う人もいます。
犬が草を食べることと胃腸の調子が悪いことが本当に関連しているのかについては何とも言えないようです。
まとめ
犬のお腹がキュルキュル鳴る原因は、空腹時やストレス、運動不足や、ご飯が体質にあっていないなど様々な原因があげられますが、基本的には体内環境が乱れ、胃腸の調子が弱っている時にゴロゴロ、キュルキュルとお腹が鳴るわんちゃんが多いようです。
日頃からよくお腹がキュルキュル鳴ってしまう犬には、胃腸の調子を整える乳酸菌などのサプリメントを与えたり、毎日の食事内容の見直しをしてあげることが有効だと考えられます。
明らかに調子が悪そうな時、不調が長く続く時は、お腹がキュルキュル鳴っていてもいなくても、何か病気があるのかもしれません。飼い主さんの自己判断だけではなく、動物病院で診てもらいましょう。
適度な運動、適切な食事、腸内環境の改善が、お腹がキュルキュル鳴ってしまう犬にとって大切なことですので、日頃から気を付けて愛犬の健康管理をしてあげてくださいね。