イギリスでトレンドになった「犬を食べるフリ」の動画とは
SNSに動画や画像をアップすると誰でも数万人の注目を集められることがあります。特にかわいい動物が絡んでいると、その傾向は強くなります。
そんな現象を反映するトレンドの1つとしてイギリスで流行しているのが、TikTokにアップされた愛犬の耳や前足を食べるフリをする動画です。Eat your dog challengeと名付けられた一連の動画は、バリボリと何かを食べている音に合わせて犬の耳や前足を掴んで噛むフリをするというものです。
チャレンジに参加した動画の中には数百万の「いいね」や再生数をカウントしているものもあります。このようなトレンドに対して臨床動物行動学者が「非常に心配している」と警告を発しました。
動画に登場する犬たちのストレスサイン
視聴者が「おもしろい」「かわいい」と笑っている犬の反応の中には、明らかなストレスを示しているものがたくさんあります。
「クジラ目」と呼ばれる目を大きく見開いて白目がのぞいている状態は可愛いどころか、犬が不快であることを表現しています。他にも後ろに引いた耳、体の筋肉の硬直など様々なストレスサインが確認できます。
犬にストレスを与えた状態で耳や前足に自分の顔を近づけることは、いつ噛まれても不思議ではない行動です。「うちの犬はおとなしいし絶対に噛まないから大丈夫」という人もいるかもしれません。
その場合、犬のストレスは攻撃という形ではなく飼い主への不信から来る不安障害へと発展する可能性があると、この行動学者は指摘しています。
動画を見て真似をする人が増えると、潜在的に犬の咬傷事故が増える原因となります。何より犬が「不快だから止めて」というサインを出しているのを無視して笑っていることで、犬と飼い主の信頼関係は崩壊します。
日本のSNSでも同様のことがたくさん起こっている
上記で紹介したのはイギリスでの事例ですが、これは世界中で見られる現象で日本もまた例外ではありません。
様々なSNSの媒体で、ペットの動物にイタズラを仕掛けて混乱したり驚いたりする様子を面白がっているものは沢山あります。不自然な抱き方をされて怖がっている動物に「かわいい」というコメントが付いているのも珍しいことではありません。
「犬のストレスサインは沢山あり過ぎるし難しくて覚えられない」と思う方は、単純に「自分だったらイタズラやドッキリを仕掛けられて驚いているところを笑われたらどう思うだろう?」と考えてみてください。
犬と人間は違うと言う人もいるかもしれません。けれど「人間がされて嫌なことは犬にもしない」という大原則を守っていれば、とりあえず大きな問題に発展することは避けられます。
TikTokのトレンドに警告を出した動物行動学者の言葉は、全ての飼い主が知っておくべきです。
「ペットはおもちゃでも再生数を稼ぐための小道具でもありません。人間の娯楽のために搾取されたり屈辱を受けたりするべきではありません。人間にとっての”イタズラ”はペットに苦痛と混乱を引き起こし、深刻な行動上の問題を引き起こす可能性があります。」
まとめ
動画SNSでトレンドになっている犬へのイタズラに対して、イギリスの臨床行動学者が「深刻な問題につながる可能性が高い」として警告を発したという話題をご紹介しました。
SNSにペットの姿をアップすることが悪いのではありません。犬や猫が自然な姿でくつろいだり楽しんだりしている様子は多くの人の心を和ませます。
「うちの子の可愛い姿をたくさんの人に見てもらいたい」と思うのは自然なことですが、大切なうちの子が幸せであることは大前提です。
また自分では動画や画像をアップしないという方も、動物にイタズラをして笑っているような投稿に「いいね」や再生をしないことも大切です。
ユーザーのコメント
20代 男性 匿名